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第63回

エストロゲン低下によって更年期の女性に起こるのはどれか。(第109回)

①骨量の低下
②内臓脂肪の減少
③脳血流量の増加
④HDLコレステロールの上昇

  1. 骨量の低下
    エストロゲンは骨形成を促進し、骨吸収を抑制するため、エストロゲンの低下は骨量の減少につながる。
  2. 内臓脂肪の減少
    エストロゲンの低下は内臓脂肪の蓄積を起こす。
  3. 脳血流量の増加
    エストロゲンは脳血流量の増加に関与しており、エストロゲン低下により脳血流量は低下する。
  4. HDLコレステロールの上昇
    エストロゲンの低下は、HDLコレステロールの低下とLDLコレステロールの上昇を招く。

エストロゲンはさまざまな器官・組織を標的とし恒常性を維持している。そのためエストロゲンの低下は、生殖器官以外にもさまざまな症状を招く。更年期以降の骨量減少(骨粗鬆症)、脂質異常症、高血圧、心疾患は、エストロゲン減少と関連があるといわれている。

更年期女性のホルモン補充療法によってリスクが低くなるのはどれか。(第110回)

①乳 癌
②骨粗鬆症
③子宮体癌
④静脈血栓症

  1. 乳 癌
    HRTの副作用として、乳癌の危険性が増加するといわれ、乳癌またはその既往がある場合はHRTは禁忌である。
  2. 骨粗鬆症
    骨粗鬆症はHRTによりリスクが低下する疾患の1つである。
  3. 子宮体癌
    子宮体癌(子宮内膜癌)はHRTでリスクが上昇する可能性のある疾患である。現在の子宮内膜癌の場合はHRTは禁忌であるが、子宮内膜癌の既往の場合は慎重投与ないしは条件付きで投与が可能となる。
  4. 静脈血栓症
    静脈血栓塞栓症はHRTによりリスクが上昇する可能性のある疾患のため、静脈血栓塞栓症やその既往がある場合はHRTは禁忌である。

更年期女性のホルモン補充療法(HRT)は、更年期障害があり、内分泌学的に低エストロゲン血症と高ゴナドトロピン血症(高LH、高FSH)を呈する場合に行うことが原則である。

配偶子の形成で正しいのはどれか。(第109回)

①卵子の形成では減数分裂が起こる。
②精子の形成では極体の放出が起こる。
③成熟卵子はXまたはY染色体をもつ。
④精子は23本の常染色体と1本の性染色体をもつ。

  1. 卵子の形成では減数分裂が起こる。
    胎児期の卵巣に入った卵祖細胞は46本(44+XX)の染色体をもつが、減数分裂により常染色体22本と性染色体1本(X)となる。
  2. 精子の形成では極体の放出が起こる。
    精祖細胞は46本(44+XY)の染色体をもつが、二度の減数分裂により極体となり精子(22+XまたはY)となる。極体の放出が起こるわけではない。
  3. 成熟卵子はXまたはY染色体をもつ。
    成熟卵子は、常染色体22本と性染色体1本(X)をもつ。
  4. 精子は23本の常染色体と1本の性染色体をもつ。
    精子は、常染色体22本+性染色体1本(XまたはY)の計23本の染色体をもつ。

配偶子とは卵子と精子のことで、胎児期に精子は精祖細胞、卵子は卵祖細胞から分化する。

精神保健活動における二次予防はどれか。(第100回)

①精神科デイケアで生活技能訓練<SST>を行う。
②精神疾患をもつ人々に、再燃を予防するための教育を行う。
③地域の住民を対象に、ストレスマネジメントの講演会を行う。
④会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。

  1. 精神科デイケアで生活技能訓練<SST>を行う。
    精神科デイケアでの生活技能訓練(SST)は、社会復帰を進めていく活動なので、三次予防である。
  2. 精神疾患をもつ人々に、再燃を予防するための教育を行う。
    精神疾患をもつ人の再発防止を目的とした教育なので、三次予防である。
  3. 地域の住民を対象に、ストレスマネジメントの講演会を行う。
    地域住民を対象とした健康増進、病気の発生予防の活動なので、一次予防である。
  4. 会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
    うつ傾向と判定された人の状態が重篤にならないように、早期発見・早期介入するための行為は、二次予防である。

精神保健活動における一次予防は、健康の増進を図って病気の発生を防ぐなどの予防をすること、二次予防は、病気になった人を早期発見し、早期治療を行い、病気の進行を抑え、病気が重篤にならないように努めること、三次予防は、病気が進行した後の、治療、再発防止、機能の回復・維持、リハビリテーション、社会復帰を進めていくことである。

アルコール依存症の一次予防はどれか。2つ選べ。(第109回)

①年齢確認による入手経路の制限
②スクリーニングテストの実施
③精神科デイケアへの参加
④小学生への健康教育
⑤患者会への参加

  1. 年齢確認による入手経路の制限
    一次予防は、精神障害の予防のための環境整備・教育・情報提供などであり、アルコールの入手について年齢制限を行うことは依存症への最初の予防である。
  2. スクリーニングテストの実施
    スクリーニングテストは依存症の早期発見につながるので、二次予防となる。
  3. 精神科デイケアへの参加
    精神科デイケアへの参加は、リハビリテーションの一環として社会復帰に向けて行われる活動であり、三次予防となる。
  4. 小学生への健康教育
    アルコール依存症にならないために低年齢からの健康教育は、一次予防である。
  5. 患者会への参加
    患者会(断酒会、AAなど)への参加は、再発防止などのための三次予防の活動である。

精神障害の危機介入では、一次予防から三次予防までの3つの予防概念が提唱されている。

精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。(第109回)

①うつ病患者の復職支援
②住民同士のつながりの強化
③精神保健に関する問題の早期発見
④ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供

  1. うつ病患者の復職支援
    うつ病患者の回復過程において、社会復帰、社会参加に対して行われる働きかけであり、三次予防である。
  2. 住民同士のつながりの強化
    住民同士のつながりの強化は、問題の早期発見、早期介入につながる二次予防の意味合いがあり、また住民同士の健康維持につながる環境整備として一次予防にもなる。
  3. 精神保健に関する問題の早期発見
    精神保健に関する問題を早期発見して、早期治療につなげることは二次予防となる。
  4. ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
    障害に対する知識の提供は、人々の健康の維持・増進を図る活動であり、一次予防である。

精神障害の予防段階は、一次予防から三次予防が定められている。

Aさん(23歳、女性)は、トラックの横転事故に巻き込まれて一緒に歩いていた友人が死亡し、自分も軽度の外傷で入院している。看護師がAさんに「大変でしたね」と声をかけると、笑顔で「大丈夫ですよ。何のことですか」と言うだけで、事故のことは話さない。Aさんは検査の結果、軽度の外傷以外に身体的な異常や記憶の障害はない。この現象はどれか。(第103回)

①解 離
②昇 華
③合理化
④反動形成

  1. 解 離
    解離は苦悩を避けるために、自分の人格(多重人格)や記憶の一部を一時的だが徹底的に変更することである。Aさんは友人が死亡した事実を認めることが苦痛のため記憶を変更(なかったことに)した。
  2. 昇 華
    昇華(置き換え)は、欲求を本来のものとは別の対象に置き換えることで充足することであり、Aさんは事故の事実を置き換えてはいない。
  3. 合理化
    合理化は、満たされなかった欲求に対して、理論化して考えることにより自分を納得させることである。イソップ寓話の『すっぱい葡萄』で、狐は木になる葡萄を取ろうとするが、上の葡萄が届かないため、「届かない位置にあるのはすっぱい葡萄だ」と自分を納得させた。Aさんは起こった事故を理論的に解釈し、納得しようとはしていない。
  4. 反動形成
    反動形成は、受け入れがたい衝動、観念が抑圧され、無意識的なものとなり、意識や行動レベルでは正反対のものに置き換わることであり、本心と裏腹なことを言ったり、その思いと正反対の行動をとったりする。Aさんは妙に明るく振る舞うなど、現実に反した行動はとっていない。

防衛機制とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況にさらされたときに、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。Aさんは友人を目の前で失い、そのショックから防衛機制が働いていると考えられる。

難病患者が自分の病気について学ぶことで不安を解消しようとする防衛機制はどれか。(第107回)

①否 認
②昇 華
③知性化
④合理化
⑤反動形成

  1. 否 認
    否認は、自分が認めたくないことを、実際ないこと(自分は病気ではない)のように無視して考えることである。
  2. 昇 華
    昇華は、自分の欲求を、他の社会的に認められること(例えばスポーツ)で解消することである。
  3. 知性化
    知性化は、知的な言葉や知識を用いて考えたりすることで、強い(苦しい)感情に直面することを避けることである。知識を得ることで不安を解消する。
  4. 合理化
    合理化とは、満たされなかった欲求に対して、自分なりの都合の良い理由をつけて正当化することである。
  5. 反動形成
    反動形成とは、欲求が満たされないときに、その欲求と反対の欲求を発展させ心の安定を保つことである(例:負け犬の遠吠え)。

防衛機制とは、受け入れがたい状況、または潜在的に危険な状況にさらされたときに、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。

禁煙のための問題解決型のコーピング行動はどれか。(第95回)

①病院の禁煙外来を受診する。
②喫煙できないイライラを飲酒で解消する。
③節煙でも効果は同じと考える。
④喫煙したくなったら一口吸って消す。

  1. 病院の禁煙外来を受診する。
    禁煙というストレスから遠ざかる対処行動として、禁煙外来受診で環境を変えることにより禁煙を正当化する。選択肢のなかでは、[1]が最も積極的な問題解決をめざしているといえる。
  2. 喫煙できないイライラを飲酒で解消する。
    情動志向のコーピング行動である。ストレスを飲酒により解決しようとしている。
  3. 節煙でも効果は同じと考える。
    節煙により禁煙ストレスから考え方を変えて遠ざかる情動志向のコーピングである。
  4. 喫煙したくなったら一口吸って消す。
    一口の節煙でストレスを解決しようとする情動志向のコーピングである。

日常生活の中で人は常にストレスを受けている。ストレス反応の解消やストレッサーの除去などを目的とした心の健康を保つ行動がコーピング行動である。ラザルスが提唱した。

メタボリックシンドロームの診断に必須の診断基準項目はどれか。(第103回追試)

①腹囲
②脂質
③血圧
④血糖

  1. 腹 囲
    必須項目として、腹囲(ウエスト周囲径)で内臓脂肪の蓄積について評価する。男性85cm以上・女性90cm以上が該当する。
  2. 脂 質
    必須項目に加え、①脂質代謝異常・②高血圧・③高血糖のうち2つ以上該当すれば、メタボリックシンドロームと診断される。脂質は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。
  3. 血 圧
    選択肢[2]の解説のとおり、血圧は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。
  4. 血 糖
    選択肢[2]の解説のとおり、血糖は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。

メタボリックシンドロームの診断は2段階に分けられる。必須項目として、ウエスト周囲径で内臓脂肪蓄積を評価するのに加えて、①トリグリセリド(中性脂肪)およびHDLコレステロール値で脂質代謝異常、②高血圧、③高血糖、を評価し、必須項目+①~③項目のうち2項目以上が該当するとメタボリックシンドロームと診断される。

災害後の成人にみられにくい反応はどれか。(第106回改変)

①不安で眠れなくなる。
②激しい怒りを表現する。
③言動が子どものように幼くなる。
④自分だけが無事で申し訳ないと思う。

  1. 不安で眠れなくなる。
    災害後のストレス反応として、不安で眠れなくなることがある。
  2. 激しい怒りを表現する。
    災害後のストレス反応として、激しい怒りを起こしやすい。
  3. 言動が子どものように幼くなる。
    災害後には、過活動や興奮状態がみられるが、退行は起こしにくい。赤ちゃん返り(退行)は防衛機制である。
  4. 自分だけが無事で申し訳ないと思う。
    災害後は、罪業的になりやすい。

災害などの大きな心的外傷体験をすると、非常に強烈な身体的・精神的ストレスを感じ、さまざまな症状が現れる。その症状が現れる期間により、急性ストレス障害(ASD)と心的外傷後ストレス障害(PTSD)に分けられる。

リエゾン精神看護の活動はどれか。(第108回)

①行動制限の指示
②向精神薬の処方
③他科への転棟指示
④コンサルテーションへの対応

  1. 行動制限の指示
    行動制限の指示は医師が行う。
  2. 向精神薬の処方
    向精神薬の処方は医師が行う。
  3. 他科への転棟指示
    他科への転棟指示は医師が行う。
  4. コンサルテーションへの対応
    コンサルテーションは患者のケアを改善していくための専門家間の相互関係のプロセスである。身体疾患をもつ患者が抱える精神的な問題について、リエゾンナースは他領域の看護師に、問題解決対応ができるようにコンサルテーションを行う。

リエゾン精神看護とは、精神看護の知識と技術を用いて「からだとこころをつなぐ」ことにより、身体疾患をもつ患者が抱える精神的な問題や課題に対応していく看護領域である。

リエゾン精神看護の活動はどれか。(第108回)

①行動制限の指示

②向精神薬の処方
③他科への転棟指示
④コンサルテーションへの対応

  1. 行動制限の指示
    行動制限の指示は医師が行う。
  2. 向精神薬の処方
    向精神薬の処方は医師が行う。
  3. 他科への転棟指示
    他科への転棟指示は医師が行う。
  4. コンサルテーションへの対応
    コンサルテーションは患者のケアを改善していくための専門家間の相互関係のプロセスである。身体疾患をもつ患者が抱える精神的な問題について、リエゾンナースは他領域の看護師に、問題解決対応ができるようにコンサルテーションを行う。

リエゾン精神看護とは、精神看護の知識と技術を用いて「からだとこころをつなぐ」ことにより、身体疾患をもつ患者が抱える精神的な問題や課題に対応していく看護領域である。

歩道を歩いている途中で立ち止まってしまったAさん。「ブロックの継ぎ目を踏んではいけないという考えが、頭のなかで繰り返され動けない」と言う。Aさんの症状はどれか。(第96回)

①連合弛緩
②観念奔走
③思考途絶
④強迫観念

  1. 連合弛緩
    連合弛緩とは、言いたいことはだいたいわかるが思考のまとまりの悪い、思考過程(思路)の障害である。統合失調症にみられる。
  2. 観念奔走
    観念奔走(観念奔逸)は、観念が次々にわき起こり、思路が最初の目標から外れ、思考全体がまとまらない状態である。躁状態に多くみられる、思考過程(思路)の障害である。
  3. 思考途絶
    思考途絶は、急に思考の流れが止まってしまう思考停止の状態である。統合失調症でみられる、思考過程(思路)の障害である。
  4. 強迫観念
    強迫観念は、自分の意思に反して繰り返し出現する観念で、打ち消そうとしても何度も繰り返し沸き上がってくる。その観念を打ち消すために、繰り返し確認行為(強迫行為)を行ったりする。強迫性障害でみられる、思考形式の障害である。

思考障害は①思考過程(思路)の障害、②思考形式の障害、③思考内容の障害に分けることができる。

精神疾患と神経伝達物質の組合せで関係が深いのはどれか。(第98回)

①統合失調症 ― ドパミン
②アルツハイマー型認知症 ― セロトニン
③神経症 ― アドレナリン
④うつ病 ― アセチルコリン

  1. 統合失調症 ― ドパミン
    統合失調症ではドパミンの過剰な放出による幻覚・妄想などの陽性症状が出現すると考えられている。抗精神病薬は、主にドパミン受容体を遮断することで、陽性症状などに効果をもたらす。
  2. アルツハイマー型認知症 ― セロトニン
    アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという蛋白質の蓄積により、脳細胞が壊れて脳が小さく萎縮してしまうために症状が現れる。
  3. 神経症 ― アドレナリン
    神経症(神経症性障害)は、無意識の葛藤により症状を示し、現実検討障害を起こさない精神機能の障害である。不安障害、強迫性障害、解離性(転換性)障害、身体表現性障害、その他の神経症性障害などをいう。障害によりセロトニン、ノルアドレナリン、GABAなどとの関連がある。
  4. うつ病 ― アセチルコリン
    うつ病は、神経伝達物質のうち、モノアミンといわれる、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンの減少により起こるといわれている。

精神疾患と神経伝達物質の関係について整理しておこう。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉で正しいのはどれか。(第110回)

①パニック障害に対して有効である。
②抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも強い。
③うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する。
④抗うつ効果の評価は使用開始後3日以内に行う。

  1. パニック障害に対して有効である。
    SSRIは、主にうつ病、うつ状態の治療に使われる抗うつ薬であるが、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、外傷後ストレス障害などにも有効とされている。
  2. 抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも強い。
    SSRIは三環系抗うつ薬に比べ、抗コリン作用による口渇、便秘、排尿障害、眼圧上昇などの副作用が少ない。
  3. うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する。
    うつ病は通常6~8週間で症状が改善するが、改善まで長期に及ぶ場合もある。また再燃、再発の頻度が高いため、症状がおさまり治ったと思っても、様子を見ながら投薬を続ける必要がある。
  4. 抗うつ効果の評価は使用開始後3日以内に行う。
    一般的に効果が発現するのに1~2週間程度かかる。少なくとも3~4週間投与を継続して評価する必要がある。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、放出されたセロトニンの細胞内への再取り込みを阻害することで脳内のセロトニン濃度を上昇させ、神経伝達をスムーズにし、抗うつ作用および抗不安作用を示す薬である。

集団精神療法の効果が最も期待できるのはどれか。(第96回)

①過眠症
②自閉症
③躁状態
④薬物依存症

  1. 過眠症
    過眠症は、夜間十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に耐え難い眠気が生じる状態で、社会生活、学校生活に支障をきたす。集団精神療法は患者同士の相互作用が深く関わってくる治療法なので、過眠症は対象にならない。
  2. 自閉症
    自閉症にはまず他者とのコミュニケーションの問題がある。集団の場面に参加できない場合が多いと予測されるため、まずは個人的な対応が効果的である。
  3. 躁状態
    躁状態の治療としては、主に薬物療法が行われる。躁状態では、個人でも集団でも精神療法を受ける状態にはならない。
  4. 薬物依存症
    薬物依存症は患者同士の相互作用が治療効果に深く関わるため、集団精神療法が有効である。集団認知行動療法プログラム (スマープ SMARPP:少人数制のグループミーティング型の治療法)やセルフヘルプグループへの参加などがある。

集団精神療法は、1対1で行う個人療法に対して、集団場面で行う精神療法をいう。参加者同士が互いに共感しながら、それぞれの問題を解決していく。

電気けいれん療法の適応となるのはどれか。(第96回)

①うつ病
②悪性症候群
③見当識障害
④パーキンソン症候群

  1. うつ病
    重症のうつ病は電気けいれん療法の適応となる。
  2. 悪性症候群
    悪性症候群は電気けいれん療法の適応とならない。
  3. 見当識障害
    見当識障害は電気けいれん療法の適応とならない。
  4. パーキンソン症候群
    パーキンソン症候群は電気けいれん療法の適応とならない。

電気けいれん療法(ECT)は、薬物療法では期待する効果が得られない場合などに行われる。現在は筋弛緩薬を投与し、通電しても無けいれんの状態である修正電気けいれん療法(m-ECT)が行われる。対象疾患は重症のうつ病、難治性の統合失調症などである。

精神疾患患者の家族の感情表出〈expressed emotion:EE〉について正しいのはどれか。(第103回)

①家族の訴えが明確になる。
②認知行動療法の技法である。
③統合失調症の再発に関連がある。
④家族のストレス対処として効果的である。

  1. 家族の訴えが明確になる。
    家族の感情表出(EE)は家族の訴えを明確にするためのものではない。
  2. 認知行動療法の技法である。
    家族の感情表出は患者に対する言動や態度の影響をみたものである。認知行動療法の技法とは関係がない。
  3. 統合失調症の再発に関連がある。
    感情表出(EE)は統合失調症患者の再発の研究から導き出されたことである。家族の感情表出が高い(high EE)と、再発の危険性が高い。
  4. 家族のストレス対処として効果的である。
    感情表出(EE)は家族のストレス対処を目的にしたものではない。

家族の精神疾患患者に対する言動や態度(批判的に接する、かばいすぎてしまう)による感情表出(EE)の病気再発への影響が、統合失調症患者の予後に関する研究により明らかになっている。現在では看護師の感情表出も、患者に影響を及ぼすと考えられている。

セルフヘルプグループで適切なのはどれか。(第95回)

①異なる問題を抱えている個人の集団である。
②家族はメンバーに含まれない。
③リーダーは看護師が務める。
④治癒・回復者はメンバーに含まれる。

  1. 異なる問題を抱えている個人の集団である。
    解法のポイントの通り、同じ問題に苦しんでいる人たちが集まり、「自」らを「助」け合うグループである。
  2. 家族はメンバーに含まれない。
    家族も参加し、家族としての苦しみについても一緒に考え、助け合う。家族を対象としたグループもある。
  3. リーダーは看護師が務める。
    セルフヘルプグループは、当事者組織なので、当事者の中からリーダーは選ばれる。
  4. 治癒・回復者はメンバーに含まれる。
    治癒・回復者も自らの体験を通してさまざまな有効な発言ができるため、当然、メンバーになれる。

セルフヘルプグループ(自助グループ)は、悩みを抱えた人が同様な問題を抱えている個人や家族とともに、当事者同士の自発的なつながりで結びついた集団のことある。

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