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第66回

開心術後1日の成人患者。脈拍数116/分、整、血圧88/78mmHg。時間尿量は徐々に減少し、ぐったりとして反応は鈍い。考えられるのはどれか。(第95回)

①心室性期外収縮
②皮下気腫
③心タンポナーデ
④麻酔覚醒遅延

  1. 心室性期外収縮
    脈拍が「116/分、整」とあることから心室性期外収縮ではない。
  2. 皮下気腫
    皮下気腫だけでは、血圧が低下したり、ぐったりとして反応が鈍かったりといった状況は考えにくい。皮下気腫が発生するに至った原因によってはこれらの症状が出ることもあるが、設問のとおり考えると、皮下気腫が原因で起こっている症状とは考えられない。
  3. 心タンポナーデ
    血圧の低下、脈圧の減少、ぐったりとして反応が鈍いことから考えると心タンポナーデを起こしていると考えられる。
  4. 麻酔覚醒遅延
    ぐったりとして反応は鈍いとあるが、意識が消失しているという情報はないため、麻酔覚醒遅延とは考えにくい。

心タンポナーデとは、心囊に体液や血液が大量に溜まることにより心臓の動きが抑制されてしまうことをいう。開心術後の合併症として覚えておくとよい。

皮膚が温かいショック患者で考えられるのはどれか。(第99回改変)

①心原性ショック
②出血性ショック
③エンドトキシンショック
④アナフィラキシーショック

  1. 心原性ショック
    心原性ショックは皮膚が温かいショックではない。
  2. 出血性ショック
    出血性ショックは四肢末端が冷たく血圧も低下する。
  3. エンドトキシンショック
    エンドトキシンショックでは、血管拡張物質が大量に生産されるために、血圧が低下しても末梢循環が維持されるウォームショック(四肢末梢が温かいのに血圧が低下する)となる。
  4. アナフィラキシーショック
    アナフィラキシーショックでは蕁麻疹や喘鳴などが生じる。皮膚が温かいショックではない。

皮膚が温かいショックとは別名ウォームショックといわれ、四肢末梢が温かいのに血圧が低下する状態をいう。エンドトキシンショックでみられる。血管拡張物質が大量に産生されるために、血圧が低下しても末梢循環が維持されるためである。

播種性血管内凝固<DIC>で正しいのはどれか。(第101回)

①フィブリノゲン分解産物<FDP>値の減少
②血漿フィブリノゲン濃度の低下
③プロトロンビン時間の短縮
④血小板数の増加

  1. フィブリノゲン分解産物<FDP>値の減少
    フィブリノゲン分解産物が検出されるのは、フィブリノゲンおよびフィブリンがプラスミンによって分解された証が血中にあるということである。血栓形成と線溶反応を表していることから、DICではこの値が上昇する。
  2. 血漿フィブリノゲン濃度の低下
    血漿フィブリノゲン濃度が低下する原因には、血栓症や線溶亢進がある。DICは血栓ができ、線溶亢進が起こるため血漿フィブリノゲン濃度が低下する。
  3. プロトロンビン時間の短縮
    プロトロンビン時間は凝固機能全般を反映する検査である。DICではプロトロンビン時間は延長する。
  4. 血小板数の増加
    DICでは、全身の血管に微小血栓が大量につくられるために血小板がそれに消費される。よって血小板数は減少する。

播種性血管内凝固症候群(DIC)とは、凝固活性化により全身の血管内に微小血栓が多発することである。微小血栓が過剰につくられるために凝固因子や血小板が消費されて、出血傾向となる。また、凝固活性化に対し血栓を溶解しようとする働きである線溶活性化も起こり出血の原因となる。

40歳の男性。会社員。3年前の定期健康診査で徐脈を指摘されていた。3か月前から時折、めまいを感じることがあったが放置していた。本日、会社から帰宅途中に意識消失発作があり、アダムス・ストークス症候群の疑いで入院した。脈拍数32/分、血圧120/80mmHg。意識は清明。めまいを訴えている。診断のために行われる検査で適切なのはどれか。(第96回)

①12誘導心電図検査
②磁気共鳴画像検査
③心臓カテーテル検査
④胸部エックス線撮影

  1. 12誘導心電図検査
    アダムス・ストークス症候群では、P波とQRS波が無関係に発生する心電図となる。これを調べるためには12誘導心電図検査が有用である。
  2. 磁気共鳴画像検査
    磁気共鳴画像検査では不整脈を調べることはできない。
  3. 心臓カテーテル検査
    心臓カテーテル検査では不整脈を調べることはできない。
  4. 胸部エックス線撮影
    胸部エックス線撮影では不整脈を調べることはできない。

不整脈によって脳への血流が減少することから、めまいや失神が起こることをアダムス・ストークス症候群という。不整脈を診断するためには心電図検査が有効である。

55歳の男性。営業職、10年前に定期健康診断で高血圧症と脂質異常症(高脂血症)とを指摘され、薬物治療を続けていた。2年前から階段昇降時に胸部圧迫感を感じていた。今朝、駅の階段を登ったところ、胸痛と息苦しさとが出現し、労作性狭心症の疑いで入院した。身長170cm、体重84kg、脈拍数84/分、整、血圧162/80mmHg。入院後の12誘導心電図は正常である。血清クレアチンキナーゼ(CK)、AST(GOT)の上昇はみられない。入院直後に行われる処置で適切なのはどれか。(第95回改変)

①心電図の持続モニタリング
②中心静脈圧の測定
③動脈ラインの確保
④IABP(大動脈内バルーン・パンピング)

  1. 心電図の持続モニタリング
    労作性狭心症が疑われる場合は心電図の持続モニタリングは必須であり、第1選択の検査であるといっても過言ではない。
  2. 中心静脈圧の測定
    中心静脈圧の測定は、右心不全を疑うときに測定する。
  3. 動脈ラインの確保
    動脈ラインを確保して観血的血圧測定を行うのは、心拍出量を測定する必要があるときである。
  4. IABP(大動脈内バルーン・パンピング)
    IABP(大動脈内バルーン・パンピング)は、心臓の働きが悪いときに心臓をサポートする補助循環装置である。

心疾患が疑われるときは、まず心電図検査が行われる。労作性狭心症では必須の検査である。また労作性狭心症では労作時に心筋が酸欠状態となるため、その状態をつくり出して検査する運動負荷心電図検査などが行われる。

Aさん(64歳、男性)は、人工心肺装置を使用した冠動脈バイパス術〈CABG〉を受け、ICUに入室した。手術時間10時間、手術中の輸液量6,200mL、出血量480mL、尿量980mLであった。術後4日。人工呼吸器を離脱し、意識は清明である。経鼻酸素によって酸素飽和度は正常範囲を維持している。左前腕の点滴チューブからカテコラミンが少量投与され、循環機能は安定している。この日の夜、急にAさんの独り言が多くなり、「天井に虫がいる」、「怖いから家に帰る」と繰り返し、点滴チューブを引っ張る動作が見られ、翌朝までほとんど眠っていなかった。術後5日の看護で適切なのはどれか。(第102回)

①家族の面会を制限する。
②天井の虫は幻覚であると説明する。
③モーニングケア後に睡眠薬を与薬する。
④点滴チューブを病衣の袖に通して見えないようにする。

  1. 家族の面会を制限する。
    家族との面会は症状を改善することにもつながるため、面会を制限する必要はない。
  2. 天井の虫は幻覚であると説明する。
    天井の虫は幻覚であると説明することは、症状の改善とはならない。
  3. モーニングケア後に睡眠薬を与薬する。
    ICU症候群を起こす原因に時間の感覚がなくなることや昼夜逆転がある。モーニングケア後に睡眠薬を与薬することは、さらに時間の感覚がなくなることになり、適切ではない。
  4. 点滴チューブを病衣の袖に通して見えないようにする。
    混乱していることから点滴チューブの事故抜去の危険があるため、点滴チューブを患者から見えないようにすることは安全確保の看護として適している。

ICUで治療を受ける患者の特性を考えるとよい。ICUで治療を受けている患者が中枢神経系に機能異常や器質的な合併症が認められないにもかかわらず精神症状が発現した場合をICU症候群という。患者はICUでは多くの医療機器につながれ、ベッド上の安静を余儀なくされ、家族との面会も制限される。医療機器からのアラーム音や、室内の照明などによって昼夜逆転や時間の感覚が狂ったりする。このようなストレスが重なって、精神障害が誘発されるといわれている。設問に、急にAさんの独り言が多くなり、「天井に虫がいる」、「怖いから家に帰る」と繰り返すとあるため、ICU症候群を起こしている可能性がある。

Aさん(54歳、男性)は、10年前に心筋梗塞を発症し、2年前に慢性心不全と診断され外来受診を続けてきた。1週前からトイレ歩行時に息苦しさがあり、4日前から夜に咳と痰とがみられ眠れなくなっていた。本日、Aさんは定期受診のため来院し、心不全の増悪と診断され入院した。入院時、体温36.3℃、呼吸数24/分、脈拍96/分、整で、血圧124/72mmHgであった。心エコー検査で左室の駆出率28%であった。体重は1週間で4kg増加し下肢の浮腫がみられる。このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。(第104回)

①ショック状態の可能性が高い。
②左心不全の症状はみられない。
③NYHA心機能分類のⅠ度に該当する。
④浮腫は右心不全の症状によると考えられる。

  1. ショック状態の可能性が高い。
  2. 左心不全の症状はみられない。
  3. NYHA心機能分類のⅠ度に該当する。
  4. 浮腫は右心不全の症状によると考えられる。

右心不全は左心不全に続いて起こることが多い。「左心不全→肺うっ血→肺高血圧→右心拍出量の低下→右室拡張末期圧上昇→拡張期流入血液量の低下→右房圧の上昇→大静脈の圧の上昇」の順に起こる。上記の血液の流れを考えると、静脈に血液がたまってしまう症状があることが理解できる。具体的には、下肢の浮腫、肝腫大、腹水、頸静脈の怒張などがみられる。Aさんは両心不全を起こしていると考えられる。

Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞と診断された。このときの検査所見として適切なのはどれか。(第106回)

①心電図のST上昇
②左肺呼吸音の減弱
③クレアチンキナーゼ〈CK〉の下降
④胸部エックス線写真での心陰影の縮小

  1. 心電図のST上昇
    急性心筋梗塞の心電図ではST上昇が特徴的な所見としてみられる。
  2. 左肺呼吸音の減弱
    左肺呼吸音の減弱は急性心筋梗塞の所見としてみられない。心音の聴診でⅢ音、Ⅳ音が聴取されることがある。
  3. クレアチンキナーゼ〈CK〉の下降
    クレアチンキナーゼはトロポニンTとともに急性心筋梗塞で有意に上昇する所見である。
  4. 胸部エックス線写真での心陰影の縮小
    胸部エックス線写真は、急性心筋梗塞で特徴的な所見はみられない。

急性心筋梗塞では、12誘導心電図検査、血液検査(クレアチンキナーゼ、トロポニンT)、心エコー検査などが行われる。

Aさん(64歳、女性、主婦)は、50歳で高血圧症と診断され、降圧薬を服用している。栄養指導を受け、食事療法も実施している。趣味はサイクリングと海外旅行である。数か月前からサイクリング中に息苦しさやめまいを感じるようになったため、かかりつけ医から紹介された病院を受診した。外来受診時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍40/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。Aさんは完全房室ブロックが疑われた。Aさんに行われる検査で優先されるのはどれか。(第110回)

①心臓超音波検査
②12誘導心電図検査
③心臓カテーテル検査
④運動負荷心電図検査

  1. 心臓超音波検査
    心臓超音波検査の優先度は低い。
  2. 12誘導心電図検査
    診断は心電図からなされるため、12誘導心電図検査が最も優先される。
  3. 心臓カテーテル検査
    心臓カテーテル検査の優先度は低い。
  4. 運動負荷心電図検査
    運動負荷心電図検査は、運動負荷を与えて安静時には明確にならない心機能の評価を行う。優先度は低い。

房室ブロックは心房から心室への興奮伝導が遅延または途絶した状態である。Ⅰ度からⅢ度に分類され、12誘導心電図検査によって鑑別される。

令和元年(2019年)の国民生活基礎調査による有訴者率(人口千対)で正しいのはどれか。(第106回改変)

①2.5
②102.5
③302.5
④502.5

  1. 2.5
    2.5ではない。
  2. 102.5
    102.5ではない。
  3. 302.5
    302.5であった。
  4. 502.5
    502.5ではない。

病気やけが等で自覚症状のある者を有訴者という。令和元年(2019年)の有訴者率(人口千対)は302.5であった。

消化管の異常とその原因の組合せで正しいのはどれか。(第98回改変)

①麻痺性腸閉塞(イレウス) ― 腸捻転症
②絞扼性腸閉塞(イレウス) ― 胆石発作
③弛緩性便秘 ― 糖尿病自律神経障害
④痙攣性便秘 ― 硫酸モルヒネの内服

  1. 麻痺性腸閉塞(イレウス) ― 腸捻転症
    麻痺性腸閉塞(イレウス)は機能的腸閉塞の1つで、腸管の運動麻痺が原因で起こる。腸捻転症は絞扼性腸閉塞(イレウス)である。
  2. 絞扼性腸閉塞(イレウス) ― 胆石発作
    絞扼性腸閉塞(イレウス)は機械的腸閉塞の1つで、腸管の絞扼、腸重積症、血流障害を伴う腸捻転が原因で起こる。
  3. 弛緩性便秘 ― 糖尿病自律神経障害
    弛緩性便秘は、高齢者、自律神経障害、内分泌異常、低カリウム血症によって引き起こされる。糖尿病自律神経障害も原因の1つである。
  4. 痙攣性便秘 ― 硫酸モルヒネの内服
    硫酸モルヒネの内服で引き起こされるのは、麻痺性腸閉塞(イレウス)である。

弛緩性便秘とは大腸の蠕動運動が低下し、腸内容物が停滞することによって内容物の水分が多量に吸収され硬便になることで、さらに便秘が助長される状態をいう。高齢者、自律神経障害、内分泌異常、低カリウム血症によって引き起こされる。

胃食道逆流症で正しいのはどれか。2つ選べ。(第109回)

①青年期に多い。
②高脂肪食の摂取を勧める。
③食後は左側臥位で休息する。
④下部食道括約筋の弛緩が関与する。
⑤H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。

  1. 青年期に多い。
    胃食道逆流症には高齢者に多い逆流性食道炎と、若年女性に多い非びらん性胃食道逆流症がある。食事の欧米化などによって逆流性食道炎が多くなっており青年期が多いとはいえない。
  2. 高脂肪食の摂取を勧める。
    生活指導として、過食を避ける、高脂肪食を避ける、就寝前3時間の食事を避ける、肥満であれば減量するなどを行う。したがって高脂肪食の摂取は勧められない。
  3. 食後は左側臥位で休息する。
    食後は左側臥位ではなく、逆流を防ぐためファウラー位など上半身を起こした体位で過ごす。
  4. 下部食道括約筋の弛緩が関与する。
    下部食道括約筋の弛緩による逆流防止機能の低下が原因である。
  5. H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。
    薬物療法としては、①胃酸分泌の抑制、②消化管運動機能の改善、③食道粘膜保護がある。H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌を抑制するため治療に使われる。

胃食道逆流症は、胃の内容物が何らかの原因により口腔内に逆流し、胸焼けや呑酸が生じる疾患である。逆流性食道炎が含まれる。

成人の鼠径ヘルニアで正しいのはどれか。(第108回)

①内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられる。

②患者の男女比は約1:3である。
③やせている人に多い。
④保存的治療を行う。

  1. 内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられる。
    鼠径ヘルニアは鼠径部の外側で生じる外鼠径ヘルニアと、鼠径部の内側で生じる内鼠径ヘルニアに分けられる。
  2. 患者の男女比は約1:3である。
    鼠径ヘルニアは男性に多い。
  3. やせている人に多い。
    鼠径ヘルニアでも内鼠径ヘルニアは肥満傾向の中高年男性に多い。
  4. 保存的治療を行う。
    鼠径ヘルニアは自然治癒を期待できないため、原則として手術が適応となる。

鼠径ヘルニアは鼠径靱帯の頭側に脱出するヘルニアで、還納されずに嵌頓ヘルニアとなると腸管壊死の危険がある。

ビタミンと欠乏症の組合せで正しいのはどれか。(第101回)

①ビタミンB1 ― ウェルニッケ脳症
②ビタミンC ― 脚 気
③ビタミンD ― 新生児メレナ
④ビタミンE ― 悪性貧血

  1. ビタミンB1 ― ウェルニッケ脳症
    ビタミンB1欠乏症では、脚気、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群が生じる。
  2. ビタミンC ― 脚 気
    ビタミンC欠乏症では、壊血病が生じる。脚気はビタミンB1欠乏症で生じる。
  3. ビタミンD ― 新生児メレナ
    ビタミンDの欠乏症では、くる病が生じる。新生児メレナはビタミンK欠乏症で生じる。
  4. ビタミンE ― 悪性貧血
    ビタミンE欠乏症では、溶血性貧血、神経脱落症状が生じる。悪性貧血はビタミンB12欠乏症で生じる。

ビタミンの欠乏症はさまざまな疾患を引き起こす。各解説を参照のこと。

食道静脈瘤破裂をきたしたとき、一時的な止血に使用するのはどれか。(第101回)

①胃 管
②腹腔内ドレーン
③Swan-Ganz<スワンーガンツ>カテーテル
④S-B(Sengstaken-Blakemore<ゼングスターケンーブレークモア>)チューブ

  1. 胃 管
    胃管では破裂した静脈瘤を圧迫止血することはできない。
  2. 腹腔内ドレーン
    腹腔内ドレーンは術後に滲出液を排液する目的などで使用される。また食道静脈瘤は腹腔内に出血するものではない。腹腔内ドレーンでは止血もできない。
  3. Swan-Ganz<スワンーガンツ>カテーテル
    スワン-ガンツカテーテルは、先端にバルーンがついた肺動脈カテーテルである。中心静脈圧、右室圧、肺動脈圧、肺動脈楔入圧などが測定できる。また心拍出量を計測できる。食道静脈瘤破裂で一時的な止血に使用するものではない。
  4. S-B(Sengstaken-Blakemore<ゼングスターケンーブレークモア>)チューブ
    S-Bチューブは食道静脈瘤破裂の一時的な止血に使われる。

食道静脈瘤破裂で一時的な止血に使用するのはS-Bチューブである。S-Bチューブを経鼻的に食道から胃内へ挿入し、バルーンを膨らませて固定し留置することで、食道・胃静脈瘤の圧迫止血ができる。

63歳の男性。妻と2人暮らし。肝機能異常を指摘されていたが、自覚症状がなく積極的な治療を受けていなかった。最近、倦怠感があり受診したところ肝機能データが悪化しており、腹腔鏡検査と肝生検のため入院することになった。慢性心房細動のためにβ遮断薬、血栓予防のために低用量アスピリンを内服している。腹腔鏡検査についての説明で正しいのはどれか。(第97回)

①アスピリンの内服を中止する。
②検査当日の朝は流動食を摂取する。
③気管挿管し全身麻酔下で行う。
④穿刺針から生理食塩水を注入して腹部を膨らませる。

  1. アスピリンの内服を中止する。
    腹腔鏡検査では、創部ができることから、出血を助長するアスピリンやワルファリンなどの抗凝固薬の内服は中止する。
  2. 検査当日の朝は流動食を摂取する。
    検査当日の朝は禁飲食とする。
  3. 気管挿管し全身麻酔下で行う。
    腹腔鏡検査は、局所麻酔と鎮静薬を使用して行われる。
  4. 穿刺針から生理食塩水を注入して腹部を膨らませる。
    腹腔鏡検査は、腹腔内に気腹用の気腹針を挿入し、二酸化炭素を注入して腹部を膨らませて行う。

腹腔鏡検査では、腹部に孔を開け、内視鏡を挿入する。

60歳の男性。会社役員。10年前にC型肝炎と診断され通院治療を続けている。1か月前の定期受診で肝細胞癌を指摘され、TAE<肝動脈塞栓療法>を受けることとなった。TAEの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。(第99回)

①腹部を穿刺して行う。
②治療後5~6時間穿刺部を圧迫する。
③治療後1日は絶食である。
④治療後に発熱することがある。
⑤治療ではエタノールを使用する。

  1. 腹部を穿刺して行う。
    大腿動脈を穿刺する。腹部は穿刺しない。
  2. 治療後5~6時間穿刺部を圧迫する。
    大腿動脈を穿刺することから、治療後5~6時間は穿刺部を圧迫して止血する必要がある。
  3. 治療後1日は絶食である。
    治療後1日絶食にする必要はない。
  4. 治療後に発熱することがある。
    治療後の副作用に発熱、腹痛、嘔気、食欲不振などがある。
  5. 治療ではエタノールを使用する。
    治療で使用する塞栓物質は、ゼラチンスポンジ、金属コイル、マイクロスフィアなどである。

TAEでは、局所麻酔をして大腿動脈からカテーテルを挿入し、腫瘍に栄養を送っている肝動脈を塞ぐことで癌を死滅させる。

腎機能障害のある患者にみられる浮腫の原因はどれか。(第103回追試)

①リンパ管閉塞
②カリウム貯留
③血管透過性亢進
④血漿膠質浸透圧低下

  1. リンパ管閉塞
    腎機能障害から浮腫の原因になるのは、尿中に蛋白が漏れ出すことによって低蛋白血症となることから引き起こされる。リンパ管閉塞を起こして浮腫になるのではない。
  2. カリウム貯留
    高カリウム血症の症状は筋力低下や不整脈である。
  3. 血管透過性亢進
    正常血管では、分子量の大きい蛋白質はほとんど通過しないが、病的な血管では蛋白質などの高分子物質も透過する状態となる。これを血管透過性亢進という。腎機能障害でみられる浮腫の原因ではない。
  4. 血漿膠質浸透圧低下
    腎機能障害では糸球体の濾過機能が障害され、尿中へ血漿蛋白が排出され、低蛋白血症となる。血漿蛋白で変化するのが、血漿膠質浸透圧であり、腎機能障害でみられる浮腫である。

血漿の浸透圧は血漿中に溶解している電解質によって維持されている。一方、膠質浸透圧とは、水を血管内に保とうとする力のことをいい、膠質浸透圧はアルブミンによって維持されている。

炎天下で運動していた青年がめまい、頭痛および嘔気を訴えた。他に出現しやすいのはどれか。(第96回)

①頻 尿
②浮 腫
③頻 脈
④血圧上昇

  1. 頻 尿
    熱中症で頻尿が出現するとは考えにくい。
  2. 浮 腫
    熱中症で浮腫が出現するとは考えにくい。
  3. 頻 脈
    熱中症では発汗と不感蒸泄の増加によって循環血液量が減少するため、頻脈となる。
  4. 血圧上昇
    熱中症では多量の発汗とともに体内の水分や塩分などが消失することで血圧が低下する。

炎天下で運動していた青年がめまい、頭痛および嘔気を訴えた、ということから熱中症を起こしていると考えられる。熱中症の症状はそのほかに、血圧低下、頻脈、皮膚の蒼白、多量の発汗、極度の脱力などが出現する。

腎臓疾患患者の食事療法で正しいのはどれか。(第98回)

①浮腫、乏尿および高血圧がある場合は脂質を制限する。
②慢性腎不全の代償性多尿期ではナトリウム制限はない。
③血中の尿素窒素値が上昇している場合はカルシウムを制限する。
④急性腎不全の乏尿期の水分摂取量は前日の尿量+500mL以内とする。

  1. 浮腫、乏尿および高血圧がある場合は脂質を制限する。
    浮腫、乏尿および高血圧がある場合は脂質ではなく塩分を制限する。
  2. 慢性腎不全の代償性多尿期ではナトリウム制限はない。
    慢性腎不全の代償性多尿期でもナトリウムを制限する必要がある。
  3. 血中の尿素窒素値が上昇している場合はカルシウムを制限する。
    血中の尿素窒素値が上昇している場合は蛋白質を制限する。
  4. 急性腎不全の乏尿期の水分摂取量は前日の尿量+500mL以内とする。
    急性腎不全の乏尿期の水分摂取量は前日の尿量+500mL以内とするのは適切である。

腎臓疾患患者には、蛋白質制限、カリウム制限、塩分制限、十分なカロリー摂取が基本である。

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