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第67回

透析導入患者の原疾患として最も多いのはどれか。(第102回)

①慢性糸球体腎炎
②多発性囊胞腎
③ループス腎炎
④糖尿病腎症

  1. 慢性糸球体腎炎
    慢性糸球体腎炎は3番目に割合が多い原疾患である。
  2. 多発性囊胞腎
    多発性囊胞腎は5番目に割合が多い原疾患である。
  3. ループス腎炎
    ループス腎炎は全身性エリテマトーデスによって引き起こされる腎障害である。治療にはステロイド療法が選択される。
  4. 糖尿病腎症
    糖尿病腎症は透析を始める原疾患として最も多くなっている。
  5. 腎硬化症
    腎硬化症は2番目に割合が多い原疾患である。

日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」〔令和元年(2019年)12月31日現在〕によると、透析導入の原因は割合が多い順に、①糖尿病性腎症、②腎硬化症、③慢性糸球体腎炎、④原疾患不明、⑤多発性囊胞腎、⑥急速進行性糸球体腎炎、⑦慢性腎盂腎炎、間質性腎炎、⑧自己免疫性疾患に伴う腎炎である。

インスリン製剤について正しいのはどれか。(第107回)

①経口投与が可能である。
②冷凍庫で長期保存できる。
③皮下注射は同じ部位に行う。
④飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。

  1. 経口投与が可能である。
    現在治療で用いられているインスリン製剤はすべて注射であり、経口投与はできない。
  2. 冷凍庫で長期保存できる。
    インスリン製剤は凍結によって変性したり、注入器一体型の場合は注入器故障の原因となるため、開封前は冷凍ではなく2~8℃の冷所で保存する。
  3. 皮下注射は同じ部位に行う。
    インスリン製剤を同じ部位に繰り返し注射すると、皮下組織の萎縮や硬結、肥厚が生じインスリンの効果が減弱したり穿刺時の痛みが強くなるため、前回の注射部位から2cm以上は離して注射する。
  4. 飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。
    インスリン製剤や注入器は、飛行機に搭乗する際は手荷物として機内に持ち込むことができる。

インスリン製剤は糖尿病患者に用いられる薬剤で、投与してから作用発現までの時間と作用の持続時間によっていくつかの種類に分けられる。

2型糖尿病患者への食事指導で正しいのはどれか。(第95回)

①摂取カロリーは標準体重から算出する。
②インスリン治療中はカロリー制限をしない。
③糖質による摂取カロリーは全体の30%以下にする。
④肥満がある場合には1,200kcal/日以下とする。

  1. 摂取カロリーは標準体重から算出する。
    2型糖尿病患者への食事指導では、標準体重と身体活動量から摂取カロリーを算出する。
  2. インスリン治療中はカロリー制限をしない。
    インスリン治療中でも摂取カロリー制限は必要である。
  3. 糖質による摂取カロリーは全体の30%以下にする。
    標準体重と身体活動量から算出された摂取カロリーのうち、40〜60%を糖質(炭水化物)により摂取する。
  4. 肥満がある場合には1,200kcal/日以下とする。
    めやすとするエネルギー摂取量は、目標体重×エネルギー係数で算出する。肥満患者では、エネルギー係数を小さく設定して算出することがある。一律で1,200kcal/日以下とするわけではない。

2型糖尿病の食事指導のうち摂取カロリーは、標準(目標)体重と身体活動量より算出する。体重1kg当たり、軽い労作では、25〜30kcal、普通の労作では、30〜35kcal、重い労作では、35kcal以上、となっている。

甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。(第107回)

①徐 脈
②便 秘
③眼球突出
④皮膚乾燥
⑤手指振戦

  1. 徐 脈
    徐脈は身体所見として現れない。
  2. 便 秘
    便秘は身体所見として現れない。
  3. 眼球突出
    眼球突出は身体所見として現れる。
  4. 皮膚乾燥
    皮膚乾燥は身体所見として現れない。
  5. 手指振戦
    手指振戦は身体所見として現れる。

甲状腺ホルモンの分泌が亢進した病態を甲状腺機能亢進症(バセドウ病)という。甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態での身体所見には、甲状腺腫、眼球突出、頻脈、動悸、息切れ、倦怠感、発汗、手指の振戦、体重減少などがある。

糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。(第108回)

①眼球突出
②甲状腺腫大
③頻 脈
④満月様顔貌

  1. 眼球突出
    眼球突出は、バセドウ病などでみられる。
  2. 甲状腺腫大
    甲状腺腫大は、バセドウ病などでみられる。
  3. 頻 脈
    頻脈は、バセドウ病やさまざまな疾患でみられる。
  4. 満月様顔貌
    糖質コルチコイドの過剰症であるクッシング症候群では、脂肪の沈着により中心性肥満や満月様顔貌(ムーンフェイス)などが生じる。

クッシング症候群は、糖質コルチコイド過剰をきたすすべての疾患にみられる。糖質コルチコイドは副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンで、糖新生の促進作用や、抗炎症作用、免疫抑制作用がある。ステロイドとして医薬品で用いられる。

Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病および高血圧症と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。(第105回)

①副甲状腺
②甲状腺
③副 腎
④卵 巣

  1. 副甲状腺
    原因となるホルモンを分泌しているのは副腎であり、副甲状腺ではない。
  2. 甲状腺
    原因となるホルモンを分泌しているのは副腎であり、甲状腺ではない。
  3. 副 腎
    原因となるホルモンを分泌しているのは副腎である。
  4. 卵 巣
    原因となるホルモンを分泌しているのは副腎であり、卵巣ではない。

クッシング症候群の症状には、満月様顔貌、水牛様脂肪沈着、中心性肥満、筋力低下、皮膚は薄く萎縮、紫斑ができやすい、傷が治りにくい、腹部の紫紅色皮膚線条、高血圧、腎結石、糖尿病、骨粗鬆症、易感染、女性では月経不順、多毛症などがある。

脳血管造影を行う患者の看護について最も適切なのはどれか。(第104回)

①前日に側頭部の剃毛を行う。
②検査30分前まで食事摂取が可能である。
③検査中は患者に話しかけない。
④穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認する。

  1. 前日に側頭部の剃毛を行う。
    カテーテル穿刺部位である上腕や鼠径部を清潔にするために剃毛をすることもあるが側頭部の剃毛は行われない。
  2. 検査30分前まで食事摂取が可能である。
    検査では造影剤を使うため、まれにショック状態となる人がいる。そのため検査の3時間前には食事を止める。
  3. 検査中は患者に話しかけない。
    検査中に何が起こるかわからないため、絶えず患者の状態を観察し声をかけるようにする。
  4. 穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認する。
    穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認するのは、血腫の形成や末梢循環障害を発見するために重要である。

脳血管造影の検査当日の朝は食事は禁止される。点滴を挿入し、検査室で検査が行われる。上腕または鼠径部に局所麻酔をし、そこから動脈内にカテーテルを穿刺する。穿刺部位を清潔にするために剃毛をすることもある。造影剤を注入して血管の状態をX線撮影する。

疾患と確定診断のために用いられる検査との組合せで最も適切なのはどれか。(第105回)

①脳 炎 ― 脳脊髄液検査
②パニック障害 ― 脳波検査
③特発性てんかん ― 頭部MRI
④パーソナリティ障害 ― 頭部CT

  1. 脳 炎 ― 脳脊髄液検査
    脳炎を疑うときは、頭蓋内圧亢進がない限り、まずは脳脊髄液検査を行う。
  2. パニック障害 ― 脳波検査
    パニック障害の診断は主に問診から行われる。
  3. 特発性てんかん ― 頭部MRI
    特発性てんかんは、CTやMRIなどの画像検査では異常がみられない。てんかんで用いる検査は、脳波検査である。
  4. パーソナリティ障害 ― 頭部CT
    パーソナリティ障害の診断は問診によって行われる。

それぞれの疾患の主な検査方法を知っておくとよい。

腸閉塞と原因の組合せで正しいのはどれか。(第101回改変)

①絞扼性腸閉塞 ― 粘液水腫
②単純性腸閉塞 ― 腸捻転症
③麻痺性腸閉塞(イレウス) ― 脊髄損傷
④けいれん性腸閉塞 ― モルヒネの内服

  1. 絞扼性腸閉塞 ― 粘液水腫
    絞扼性(複雑性)腸梗塞は、腸管が物理的に閉塞する機械的腸梗塞のうち腸管への血流障害を伴うものをいう。術後の癒着や腸重積、ヘルニア嵌頓などが原因である。
  2. 単純性腸閉塞 ― 腸捻転症
    単純性(閉塞性)腸梗塞は、腸管が物理的に閉塞する機械的腸梗塞のうち腸管の血流障害を伴わないものをいう。術後の癒着や大腸癌などが原因である。
  3. 麻痺性腸閉塞(イレウス) ― 脊髄損傷
    麻痺性腸梗塞(イレウス)は、腸管の神経や筋の障害によって腸管の正常な運動が停止して生じる腸梗塞で、脊髄損傷や術後腸管麻痺、薬剤などが原因である。
  4. けいれん性腸閉塞 ― モルヒネの内服
    けいれん性腸閉塞は、腸管のけいれんによって生じる腸閉塞で、鉛中毒や腹部打撲などが原因である。

腸閉塞は腸管の流れが何らかの原因によって阻害された状態をいう。機械的腸閉塞と機能的腸閉塞に大別される。

令和2年(2020年)の日本の総人口に最も近いのはどれか。(第110回改変)

①1億人
②1億600万人
③1億2,600万人
④1億4,600万人

  1. 1億人
    1億人ではない。
  2. 1億600万人
    1億600万人ではない。
  3. 1億2,600万人
    令和2年(2020年)10月1日現在の国勢調査人口等基本集計による総人口は1億2,614万6千人であった。1億2,600万人が最も近い。
  4. 1億4,600万人
    1億4,600万人ではない。

2021年2月に実施された第110回看護師国家試験では、2018年の総人口が出題された。

アルツハイマー病で正しいのはどれか。(第97回改変)

①頭部CTで多数の梗塞巣を認める。
②発症年齢が遅いほど知的機能低下が著しい。
③長期記憶よりも短期記憶の方が長く保たれる。
④物盗られ妄想がみられる。

  1. 頭部CTで多数の梗塞巣を認める。
    アルツハイマー病の頭部CTでは大脳皮質と海馬の萎縮がみられる。多数の梗塞巣を認めるのはラクナ梗塞の特徴で、血管性認知症などが生じる。
  2. 発症年齢が遅いほど知的機能低下が著しい。
    アルツハイマー病では脳の萎縮に伴って症状が進行する。そのため発症年齢と知的機能低下の程度は比例しない。
  3. 長期記憶よりも短期記憶の方が長く保たれる。
    アルツハイマー病では、まず記銘力障害が生じ、短期記憶よりも長期記憶のほうが長く保たれる特徴がある。
  4. 物盗られ妄想がみられる。
    事実でないのに財布などを盗まれたと思い込んでしまう物盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症でよくみられる症状である。

アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は、認知症を主体とし老年期に発症することが多い疾患である。

胸腺腫に合併する疾患で多くみられるのはどれか。(第107回)

①Parkinson〈パーキンソン〉病
②筋ジストロフィー
③重症筋無力症
④多発性硬化症
⑤多発性筋炎

  1. Parkinson〈パーキンソン〉病
    胸腺腫ではパーキンソン病の合併頻度は高くない。
  2. 筋ジストロフィー
    胸腺腫では筋ジストロフィーの合併頻度は高くない。
  3. 重症筋無力症
    胸腺腫では高頻度で重症筋無力症の合併がみられる。
  4. 多発性硬化症
    胸腺腫では多発性硬化症の合併頻度は高くない。
  5. 多発性筋炎
    胸腺腫では多発性筋炎の合併頻度は高くない。

胸腺腫は胸腺に発生する腫瘍で40歳以上に好発する。胸腺腫では重症筋無力症の合併がみられる。

開頭術を受けた患者の看護で適切なのはどれか。(第108回)

①頭部を水平に保つ。

②緩下薬は禁忌である。
③髄膜炎症状の観察を行う。
④手術後1週間は絶飲食とする。

  1. 頭部を水平に保つ。
    開頭術では脳を機械的に刺激するため脳浮腫が起こりやすい。脳浮腫による頭蓋内圧亢進で脳ヘルニアが生じると生命維持に影響があるため、頭蓋内圧が亢進しないようにベッドは水平ではなく20~30度ギャッチアップした状態とする。
  2. 緩下薬は禁忌である。
    便秘によって排便時に努責をかけると、頭蓋内圧亢進で脳ヘルニアが生じるなど生命維持に影響がある。そのため緩下薬を使用して努責をかけない環境をつくることが必要である。努責をかけるので浣腸は禁忌である。
  3. 髄膜炎症状の観察を行う。
    通常、脳やその周りを満たす脳脊髄液は無菌であるが、手術による操作や術後の髄液漏などによって病原体が侵入すると髄膜炎を起こしやすい。そのため、開頭術後は髄膜炎症状の観察を行う。
  4. 手術後1週間は絶飲食とする。
    開頭術後は麻酔から覚醒し、意識障害などがなければ術後1日目から飲食が可能である。

開頭術は、頭蓋内の腫瘍除去や止血などのために行う手術で、頭蓋骨などをいったん取り除いて行う手術である。

もやもや病で正しいのはどれか。2つ選べ。(第109回改変)

①指定難病ではない。
②遺伝的要因は関与しない。
③病変はくも膜下腔にある。
④進行性の脳血管閉塞症である。
⑤ウイルス感染によって誘発される。

  1. 指定難病ではない。
    もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は指定難病である。小児では脳虚血症状が多く、成人は頭蓋内出血をきたしやすい特徴がある。
  2. 遺伝的要因は関与しない。
    遺伝的要因が疑われ、関係する遺伝子が明らかになっている。
  3. 病変はくも膜下腔にある。
    ウィリス動脈輪はくも膜下腔にある。内頸動脈終末部の狭窄あるいは閉塞とその周囲の異常血管網が病変である。
  4. 進行性の脳血管閉塞症である。
    もやもや病は日本人に多発する原因不明の進行性脳血管閉塞症である。
  5. ウイルス感染によって誘発される。
    ウイルス感染との関連は指摘されていないが、炎症との関連は指摘されている。

5肢のうち3つが正答とされた問題であったので、改変して掲載した。

Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群で正しいのはどれか。(第110回)

①若年者に多い。
②遺伝性疾患である。
③骨格筋に病因がある。
④症状に日内変動がある。
⑤抗ガングリオシド抗体が出現する。

  1. 若年者に多い。
    罹患年齢は幅広く、若年者に多いとはいえない。
  2. 遺伝性疾患である。
    遺伝性疾患ではない。
  3. 骨格筋に病因がある。
    ギラン・バレー症候群は末梢神経を障害する自己免疫疾患である。骨格筋に病因はない。
  4. 症状に日内変動がある。
    症状は通常、発症から2~4週間以内に最も強くなり、その後はゆっくり回復していく。
  5. 抗ガングリオシド抗体が出現する。
    ギラン・バレー症候群では抗ガングリオシド抗体が出現する。

ギラン・バレー症候群は左右対称性の筋力低下をきたす自己免疫疾患である。発症前に何らかの感染症にかかっている症例が多い。

交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。(第108回)

①自己導尿は自宅で行う。
②仕事中は飲水を制限する。
③車椅子には体圧分散マットを使用する。
④残業する場合の休憩時間は不要である。
⑤職場の担当者に自分の病気について伝える。

  1. 自己導尿は自宅で行う。
    自己導尿は自宅以外でも実施可能である。
  2. 仕事中は飲水を制限する。
    仕事中でも自己導尿が可能なので、水分制限は必要ない。また、疾患としても脊髄損傷は水分制限は必要ない。
  3. 車椅子には体圧分散マットを使用する。
    この患者は運動麻痺だけでなく、感覚障害も生じていると考えられる。運動麻痺で同じ体勢でいることによる血流障害や、感覚障害によって褥瘡が発生しても気がつかないリスクがある。車椅子を使用する場合には体圧分散マットを使用して、血流障害や褥瘡発生のリスクを小さくすることが必要である。
  4. 残業する場合の休憩時間は不要である。
    残業の有無にかかわらず、必要な場合には休憩時間をとって休息する。
  5. 職場の担当者に自分の病気について伝える。
    障害へのサポートや必要な制度を紹介してもらうなどのために自分の病気について担当者に伝えることは必要である

脊髄は損傷を受けると元通りになることは少ない。そのため、残存機能を最大限活用して日常生活を送れるようにサポートしていく。

Aさん(65歳、男性、会社員)は、午後2時、会議の最中に急に発語しづらくなり、右上下肢に力が入らなくなったため、同僚に連れられて救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。来院時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3、瞳孔径は両側2.0mm。呼吸数18/分、脈拍60~80/分、不整で、血圧176/100mmHg。右上下肢に麻痺がある。午後4時、Aさんの頭部CTの所見で特に異常は認められなかったが、MRIの所見では左側頭葉に虚血性の病変が認められた。この後の治療でまず検討されるのはどれか。(第104回)

①血流の再開
②脳浮腫の予防
③出血性素因の除去
④脳血管攣縮の治療

  1. 血流の再開
    状況設定文に虚血性の病変が認められたとあるため、血栓などが脳血管を閉塞させている原因を取り除き血流を再開させることが治療として検討される。
  2. 脳浮腫の予防
    脳梗塞に伴う脳浮腫の予防は大切であるが、まず検討される選択肢ではない。
  3. 出血性素因の除去
    状況設定文に虚血性の病変が認められたとあるため、脳出血ではないことから、出血性素因の除去は治療として考えにくい。
  4. 脳血管攣縮の治療
    脳血管攣縮はくも膜下出血の後、4〜14日くらいを経て起こる。脳血管攣縮は起こしていないと考えられる。

設問に虚血性の病変が認められたとあるため、虚血性の脳疾患である脳梗塞の治療について理解しておくとよい。脳梗塞は血栓などが脳血管を閉塞させることで起こる。よって治療は血栓溶解療法などの血流を再開させる方法がとられる。

Aさん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側 3.0mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温 36.8℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%であった。ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状や徴候はどれか。(第107回)

①Kussmaul〈クスマウル〉呼吸
②膝蓋腱反射の低下
③企図振戦
④瞳孔散大

  1. Kussmaul〈クスマウル〉呼吸
    クスマウル呼吸は深く大きな呼吸を規則的に繰り返す呼吸で、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などでみられる。くも膜下出血では出現しない。
  2. 膝蓋腱反射の低下
    膝蓋腱反射の低下は、ビタミンB1欠乏症による脚気や、頸椎症、糖尿病性神経障害、ギラン・バレー症候群などでみられる。くも膜下出血では出現しない。
  3. 企図振戦
    企図振戦は手や足などを意図する場所に近づけようとすると出現する不規則なふるえで、小脳の異常などで出現する。くも膜下出血では出現しない。
  4. 瞳孔散大
    瞳孔散大は頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアで生じるため、くも膜下出血と診断されているAさんの注意すべき観察点である。

Aさんはくも膜下出血の手術前の状態であり、生命維持に影響する再出血や脳ヘルニアの徴候を早期に発見する必要がある。

麻痺すると猿手を生じるのはどれか。(第102回)

①総腓骨神経
②橈骨神経
③尺骨神経
④正中神経

  1. 総腓骨神経
    総腓骨神経麻痺では、足関節の背屈ができなくなる下垂足や尖足となる。
  2. 橈骨神経
    橈骨神経麻痺では、手関節の背屈ができなくなる下垂手となる。
  3. 尺骨神経
    尺骨神経麻痺では、手内筋が萎縮し、鉤爪変形や鷲手と呼ばれる症状が起こる。
  4. 正中神経
    正中神経麻痺のうち、低位麻痺が起こると母指球筋が萎縮することによって猿手が起こる。

神経の麻痺が起こると生じる特有の症状を覚えておくとよい。

慢性副鼻腔炎についての説明で適切なのはどれか。(第105回)

①1週間の内服で症状が軽減すれば受診の必要はない。
②発症後1週は空気感染の危険性がある。
③眼窩内感染を起こす危険性がある。
④透明の鼻汁が特徴的である。

  1. 1週間の内服で症状が軽減すれば受診の必要はない。
    慢性副鼻腔炎とは、鼻漏や鼻づまりなど慢性的な炎症が12週間以上続く状態をいうため、1週間の内服で症状が軽減すれば受診しなくてよいというものではない。
  2. 発症後1週は空気感染の危険性がある。
    慢性副鼻腔炎は空気感染はしない。
  3. 眼窩内感染を起こす危険性がある。
    副鼻腔は眼窩に近接しているため、眼窩内感染を引き起こすことがある。
  4. 透明の鼻汁が特徴的である。
    慢性副鼻腔炎の特徴は膿様の鼻汁である。

慢性副鼻腔炎は細菌感染によって起こることが多い疾患である。症状には鼻閉、嗅覚障害、頭重感、膿様の鼻汁などがある。

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