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国家試験対策問題
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第72回 国家試験対策過去問題

国家試験

ソーシャルサポートネットワークで正しいのはどれか。(第96回)

①個人の対人関係調整力
②障害者の社会復帰訓練
③社会福祉職の専門業務
④社会的なつながりによる援助

  1. 個人の対人関係調整力
    個人の対人関係調整力はソーシャルスキルとも呼ばれる。
  2. 障害者の社会復帰訓練
    障害者の社会復帰訓練は社会リハビリテーションである。障害者が社会の中で生活でき、より豊かで満足できる人間関係が築けるようにすることが主な目的である。
  3. 社会福祉職の専門業務
    社会福祉職の専門業務はソーシャルワークともいう。社会における困りごとを福祉を活用して解決すること、あるいはそのしくみを構築したり改善したりすることも含まれる。
  4. 社会的なつながりによる援助
    ソーシャルサポートネットワークとは、その人の地域生活を支えるための援助してくれる(してくれるであろう)人間関係のことである。医療職や福祉職によるフォーマルネットワークと、家族や友人、地域住民によるインフォーマルネットワークがある。

ソーシャルは「社会的」という意味であるが、ソーシャルワーク、ソーシャルスキルなど似た言葉があるので区別できるようにしておきたい。

ソーシャルサポートで道具的(手段的)サポートはどれか。(第98回)

①物 資
②愛 情
③情 報
④肯 定

  1. 物 資
    物資は道具的サポートである。
  2. 愛 情
    愛情は情緒的サポートである。その他の情緒的サポートには共感や励ましなどがある。
  3. 情 報
    情報は情報的サポートに分類される。
  4. 肯 定
    肯定は評価的サポートである。その他の評価的サポートには称賛などがある。

ソーシャルサポートは、道具的(手段的)サポート(問題解決に必要な物やサービスの提供)、情報的サポート(問題解決に必要な情報の提供)、情緒的サポート(共感や愛情の提供)、評価的サポート(行動や仕事などの適切な評価の提供)の4 つに分けられる。

法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。(第107回)

①児童福祉法 ― 受胎調節の実地指導
②地域保健法 ― 市町村保健センターの設置
③健康増進法 ― 医療安全支援センターの設置
④学校保健安全法 ― 特定給食施設における栄養管理

  1. 児童福祉法 ― 受胎調節の実地指導
    受胎調節の実地指導は母体保護法第15条によって規定されている。
  2. 地域保健法 ― 市町村保健センターの設置
    市町村保健センターは地域保健法第18条によって規定され、市町村が設置することができる。地域住民に対し、健康相談、保健指導、健康診査など地域保健に関する事業を行う。
  3. 健康増進法 ― 医療安全支援センターの設置
    医療安全支援センターの設置は医療法第6条によって規定されている。
  4. 学校保健安全法 ― 特定給食施設における栄養管理
    特定給食施設における栄養管理は、健康増進法第21条によって規定されている。

福祉に関わる法律とその規定内容を整理しておこう。

平成27年(2015年)からの健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題でないのはどれか。(第103回改変)

①社会生活を営むために必要な機能の維持および向上
②切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
③子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
④学童期・思春期から成人期に向けた保健対策

  1. 社会生活を営むために必要な機能の維持および向上
    社会生活を営むために必要な機能の維持および向上は、健康日本21(第二次)における国民の健康増進の推進に関する基本的な方向の1つである。健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題ではない。
  2. 切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
    切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策は、健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題の1つである。
  3. 子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
    子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくりは、健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題の1つである。
  4. 学童期・思春期から成人期に向けた保健対策
    学童期・思春期から成人期に向けた保健対策は、健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題の1つである。

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策、子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり、学童期・思春期から成人期に向けた保健対策が健やか親子21(第2次)の3つの基盤課題である。

がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」の業務はどれか。(第108回)

①就労の斡旋
②がん検診の実施
③がんについての情報提供
④セカンドオピニオン外来の開設

  1. 就労の斡旋
    がん相談支援センターの業務のうち、就労に関するものは就労に関する相談(産業保健総合支援センターや職業安定所などとの効果的な連携による提供が望ましい)であり、斡旋は行っていない。
  2. がん検診の実施
    がん検診は実施しない。がん相談支援センターの業務のうち、がん検診に関するものはがんの予防や早期発見等に関する一般的な情報の提供である。
  3. がんについての情報提供
    がんの治療に関する一般的な情報の提供はがん相談支援センターの業務に含まれる。
  4. セカンドオピニオン外来の開設
    セカンドオピニオン外来は開設しない。がん相談支援センターの業務のうち、セカンドオピニオンに関するものはセカンドオピニオンの提示が可能な医師や医療機関の紹介である。

がん診療連携拠点病院内で相談支援を行う機能を有する部門ががん相談支援センターである。がんの病態や標準的治療法など、がんの治療に関する一般的な情報の提供のほか、セカンドオピニオンの提示が可能な医師や医療機関の紹介、がん患者の療養生活に関する相談、就労に関する相談などが業務である。

難病医療費助成制度の対象疾患で正しいのはどれか。(第99回改変)

①原因は判明している。
②治療方法は確立している。
③医療費の公費負担がある。
④令和元年7月現在の対象疾患数は196である。

  1. 原因は判明している。
    発病の機構が明らかでない、つまり原因は判明していないものが難病の条件である。
  2. 治療方法は確立している。
    治療方法が確立していない希少な疾患であることが難病の条件である。
  3. 医療費の公費負担がある。
    指定難病に診断され、重症度分類に照らし合わせて一定以上の重症度の者を対象として、医療費の公費負担がある。
  4. 令和元年7月現在の対象疾患数は196である。
    平成27年(2015年)に難病の患者に対する医療等に関する法律が施行されたことで対象疾患(110疾患)は大きく広がり(同年7月に196疾患を追加)、令和元年(2019年)7月には333になった。

難病はよく出題されるトピックである。平成27年(2015年)に難病の患者に対する医療等に関する法律が施行され、法律による医療費助成が始まっている。

平成30年(2018年)の国民健康・栄養調査において女性の朝食欠食率が最も高い年代はどれか。(第103回追試改変)

①20歳代
②30歳代
③40歳代
④50歳代

  1. 20歳代
    平成30年(2018年)の女性の朝食欠食率が最も高い年代は20~29歳の18.9%であった。
  2. 30歳代
    平成30年(2018年)の女性の30~39歳の朝食欠食率は12.7%であった。
  3. 40歳代
    平成30年(2018年)の女性の40~49歳の朝食欠食率は12.6%であった。
  4. 50歳代
    平成30年(2018年)の女性の50~59歳の朝食欠食率は13.0%であった。

平成30年(2018年)の「国民健康・栄養調査」において、男女ともに朝食の欠食率が最も高い年代は20~29歳である。男女ともにわずかな差ではあるが20歳代-30歳代-40歳代の順に低い。

トータル・ヘルスプロモーション・プラン〈THP〉で実施されるのはどれか。(第108回)

①がん検診
②健康測定
③一般健康診断
④特定健康診査

  1. がん検診
    労働安全衛生法第70条の2の規定により厚生労働大臣が公表した健康保持増進のための指針(THP指針)には、がん検診は含まれない。
  2. 健康測定
    THP指針には、各種の健康指導を継続的かつ計画的に行うため、各労働者に対し定期的に健康測定を実施するとある。
  3. 一般健康診断
    THP指針には、一般健康診断は含まれない。ただし、健康測定の一部について労働安全衛生法第66条の規定の健康診断をもって代替することや、問診の一部について労働安全衛生法第66条の規定に基づく心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の結果を利用することも可能であるが、これらを利用する場合には労働者本人の同意が必要である。
  4. 特定健康診査
    特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律第18条、国民健康保険法第82条に基づいて、40~74歳の被保険者・被扶養者に対して実施が義務づけられている。

トータル・ヘルスプロモーション・プラン(THP)は事業者および労働者が行う身体、精神両面にわたる健康保持増進対策のことで、労働安全衛生法で努力義務として定められている。

職業における疾病予防の対策のうち三次予防はどれか。(第104回)

①健康教育の実施
②人間ドックの受診勧奨
③じん肺健康診断の実施
④職場復帰後の適正配置

  1. 健康教育の実施
    健康教育の実施は健康増進と疾病予防が目的なので一次予防である。
  2. 人間ドックの受診勧奨
    人間ドックの受診勧奨は疾病の早期発見と早期治療が目的なので二次予防である。
  3. じん肺健康診断の実施
    じん肺健康診断の実施疾病の早期発見と早期治療が目的なので二次予防である。
  4. 職場復帰後の適正配置
    職場復帰後の適正配置は疾病や障害の悪化防止と社会復帰支援に含まれるので三次予防である。

三次予防は疾病や障害の悪化防止と社会復帰支援をめざす。

Koplik〈コプリック〉斑がみられる疾患はどれか。(第102回)

①麻疹
②手足口病
③帯状疱疹
④ヘルパンギーナ

  1. 麻 疹
    コプリック斑は麻疹に感染し、カタル期で発熱して間もない時期に口腔粘膜にできる白い斑点である。なお近年、麻疹以外に風疹やパルボウイルス感染でも生じることが研究でわかってきたので注意が必要である。
  2. 手足口病
    手足口病では発熱と同時に、手掌・足底・口腔内に小水疱ができる。コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型などが原因ウイルスである。
  3. 帯状疱疹
    水痘-帯状疱疹ウイルスの初感染で水痘となり、初感染の後に神経節などに潜伏していたウイルスが再活性化すると帯状疱疹となる。潜伏していた神経の支配領域の皮膚に帯状の水疱ができる。帯状疱疹は成人や高齢者に好発し、治癒した後も帯状疱疹後神経痛が残ることがある。
  4. ヘルパンギーナ
    ヘルパンギーナはコクサッキーウイルスによるもので、発熱や感冒様の症状とともに咽頭に紅暈(発疹の周りの発赤)をもつ小水疱ができる。

感染症の中には特有の症状や所見が現れるものもある。各疾患の症状や所見を整理しておこう。

保健師助産師看護師法に基づくのはどれか。(第97回)

①業務停止
②債務不履行
③損害賠償責任
④業務上過失致死傷罪

  1. 業務停止
    保健師助産師看護師法第14条で、罰金以上の刑を受けた者、業務に関し犯罪や不正の行為があった者、心身の障害により業務を適正に行うことができない者、麻薬・大麻・あへんの中毒者など、保健師・助産師・看護師としての品位を損するような行為をした場合には、戒告・3年以内の業務停止・免許取り消しの処分をすることができると規定している。
  2. 債務不履行
    債務とは、ある者 (債務者) が相手方 (債権者) に対して一定の行為 (通常はお金の受け渡し) を義務とすることである。つまり債務不履行とは債務者が債務を返さないことをいう。民法で規定されている。
  3. 損害賠償責任
    損害賠償とは事故や不法行為などにより他人に何らかの損害を与えた場合に、その損害を埋め合わせることである。民法で規定されている。
  4. 業務上過失致死傷罪
    「業務上の過失」とは社会生活で他人の生命や身体に危害を加えるおそれのある行為(機械の運転など)を反復・継続して行う際に、必要とされる注意を怠ることをいう。業務=仕事ではないので注意する。業務上過失致死傷罪は刑法で規定されている。

民法や刑法の法律用語が出てくる問題である。なお、解説[1]で触れている戒告とは職務上の義務違反に対して本人に将来を戒める旨の申渡しをする処分をいう。

看護師の業務で正しいのはどれか。(第104回)

①グリセリン浣腸液の処方
②褥婦への療養上の世話
③酸素吸入の流量の決定
④血液検査の実施の決定

  1. グリセリン浣腸液の処方
    薬剤の処方は医師の業務である。浣腸液であっても同様である。
  2. 褥婦への療養上の世話
    褥婦への療養上の世話は看護師の業務である。
  3. 酸素吸入の流量の決定
    酸素吸入をするかどうかの判断と、方法や流量の決定は医師の業務である。
  4. 血液検査の実施の決定
    血液検査を実施するかどうかの判断と、検査項目の指示等は医師の業務である。

保健師助産師看護師法における看護師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者と定義されている。治療行為に関する指示や決定は医師の業務である。

看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。(第106回)

①罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。

②事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。
③民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
④刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

  1. 罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。
    看護師が受ける行政処分は保健師助産師看護師法によるもので、相対的欠格事由に該当する、①罰金以上の刑に処せられた者、②保健師助産師看護師業務に関し犯罪または不正の行為のあった者などが対象となり、戒告、3年以内の業務停止、免許取消の処分が下りる可能性がある。
  2. 事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。
    看護師が受ける行政処分は事案の報告、必要があれば意見陳述を経て医道審議会・保健師助産師看護師分科会の看護倫理部会で処分について審議する。審議結果は、厚生労働大臣へ答申される。行政処分を行う必要がないと判断された者については、戒告または不問として大臣に答申される。つまり、事故の程度にかかわらず業務停止になるのではなく、処分について審議・答申を経てどのような行政処分となるか決定される。
  3. 民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
    業務上過失致死傷罪に問われるとしたら、民事責任ではなく刑法による刑事責任を問われる。民事責任を問われる場合には、民法により注意義務違反等で損害賠償が請求される。
  4. 刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。
    所属施設が問われる使用者責任は民法第715条で「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」と規定されている。刑法ではなく、民法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

医療行為の過程で起こった事故を医療事故という。看護師などの医療従事者は医療事故を起こした場合、民事上・刑事上・行政上の法的責任を問われる。

麻薬の取り扱いで正しいのはどれか。(第100回)

①看護師は麻薬施用者免許の申請ができる。
②病棟での麻薬の保管は劇薬と同一の扱いにする。
③使用後、アンプルに残った薬液は病棟で破棄する。
④麻薬を紛失したら、麻薬管理者は都道府県知事に届け出る。

  1. 看護師は麻薬施用者免許の申請ができる。
    麻薬施用者(麻薬を処方する者)と麻薬管理者を区別すること。施用者免許は医師、歯科医師、獣医師が取得できる。麻薬施用者免許は、麻薬を使用するすべての医師等が取得しなければならない。2人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設は、麻薬管理者を置く必要がある。麻薬管理者の免許は、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師が取得できる。看護師はいずれの免許も取得できない。
  2. 病棟での麻薬の保管は劇薬と同一の扱いにする。
    病棟での麻薬の保管は毒薬、劇薬といった他の薬品と区別して保管しなくてはならない。麻薬は鍵のかかる堅固な設備内に保管することが定められている。この堅固な設備とは、麻薬専用の固定した金庫あるいは容易に移動できない金庫のことである。
  3. 使用後、アンプルに残った薬液は病棟で破棄する。
    使用後にアンプルに残った薬液は病棟では破棄せず、その医療施設の麻薬管理責任者に返却する。
  4. 麻薬を紛失したら、麻薬管理者は都道府県知事に届け出る。
    麻薬を紛失した場合には麻薬管理者(いない場合は麻薬施用者)が麻薬事故届を都道府県知事に届け出なくてはならない。盗まれた、災害等で流出したなどの場合も同様である。

麻薬の取り扱いは規定が多く難問となりやすい。過去問で問われた内容は完璧に覚えておきたい。

救急医療体制とその内容の組合せで正しいのはどれか。(第103回)

①初期救急医療体制 ― 休日・夜間急患センター
②第2次救急医療体制 ― 高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
③第3次救急医療体制 ― 在宅当番医
④広域救急患者搬送体制 ― へき地巡回診療車

  1. 初期救急医療体制 ― 休日・夜間急患センター
    初期救急医療体制には休日・夜間急患センター、在宅当番医制度などがある。
  2. 第2次救急医療体制 ― 高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
    第2次救急医療体制として病院群輪番制病院、共同利用型病院が入院を要する救急医療を担っている。高度の診療機能を持つ24時間救命救急センターは第3次救急医療体制であり該当しない。
  3. 第3次救急医療体制 ― 在宅当番医
    第3次救急医療体制として救命救急センター、高度救命救急センターなどがある。在宅当番医は初期救急医療体制であり該当しない。
  4. 広域救急患者搬送体制 ― へき地巡回診療車
    広域救急患者搬送体制としてドクターヘリの配置、広域救急医療情報共有システムなどがある。へき地巡回診療車は医療機関へのアクセスが悪い地域への巡回診療であり、救急医療ではない。

きちんと考えれば正答にたどりつける問題。再び出題されるときには難化しやすいのでしっかり対策しよう。

ハヴィガースト, R. J. の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。(第108回)

①成長に伴い発達課題は消失する。
②各発達段階の発達課題は独立している。
③身体面の変化と発達課題は無関係である。
④発達課題の達成は個人の生活と関連する。

  1. 成長に伴い発達課題は消失する。
    成長段階ごとに果たすべき発達課題があり、次の段階へ至るためには要求される課題を適切に果たす必要がある。発達課題は成長に伴って消失するわけではない。
  2. 各発達段階の発達課題は独立している。
    各発達段階の発達課題は独立しておらず、次の段階に至るためには要求される課題を適切に果たす必要がある。
  3. 身体面の変化と発達課題は無関係である。
    例えば性成熟という身体面の変化と第1子を家族に迎えるという発達課題のように、身体面の変化と発達課題は密接に関係している。
  4. 発達課題の達成は個人の生活と関連する。
    発達課題の達成は個人の経験や生活、行動と関連している。

ロバート・J・ハヴィガーストはアメリカの教育学者で、発達の特定の時期に個人が達成すべきさまざまな発達課題を示した。

看護師の対応で適切なのはどれか。(第99回)

①多床室で、ベッド上で排便中の患者からのナースコールに「出ましたか」とインターホン越しに尋ねた。
②患者に病気の診断名について説明をしていた医師に緊急連絡が入り席を立ったので、代わりに説明した。
③エネルギー摂取制限があるにもかかわらずケーキを食べていた患者から「これ1回だけだから誰にも言わないで」と言われたが、患者の許可を得て担当のスタッフに報告した。
④高齢患者の家族から「自分で着替えなくなるから寝衣は換えないように」と言われたのでそのとおりにした。

  1. 多床室で、ベッド上で排便中の患者からのナースコールに「出ましたか」とインターホン越しに尋ねた。
    インターホンだと、同室者に排泄に関する情報を聞かれてしまい、患者には羞恥心が生じると考えられるため不適切である。直接病室に出向いて他の患者に聞かれないくらいの声の大きさで聞いたほうがよい。
  2. 患者に病気の診断名について説明をしていた医師に緊急連絡が入り席を立ったので、代わりに説明した。
    診断名に関する説明は医師が行うことである。そのため、緊急連絡で医師が席を立った場合には患者に待ってもらうか、再度説明する機会を調整する。
  3. エネルギー摂取制限があるにもかかわらずケーキを食べていた患者から「これ1回だけだから誰にも言わないで」と言われたが、患者の許可を得て担当のスタッフに報告した。
    「誰にも言わないで」と言われているが、患者に許可を得ているのでスタッフに伝えることは問題ない。
  4. 高齢患者の家族から「自分で着替えなくなるから寝衣は換えないように」と言われたのでそのとおりにした。
    家族の希望だけをもとにケアをするかしないかを判断するのは不適切である。家族の意見も尊重する必要はあるが、患者にケアが必要かどうか患者から情報収集をして看護師が判断する必要がある。

看護師が患者に提供する「看護」とは何かを考えながら、対象となる患者の立場になって考えることが求められる。

患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。(第103回)

①患者は自分の医療情報を見ることができる。
②患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
③患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
④患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
⑤患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。

  1. 患者は自分の医療情報を見ることができる。
    患者は、いかなる医療上の記録であろうと、そこに記載されている自己についての情報を知る権利がある。
  2. 患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
    患者は、自分自身に関わる自由な決定を行うための自己決定権がある。よって、一度同意した治療方針であっても、いつでも拒否や変更ができる。
  3. 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
    セカンド・オピニオンとは、診断や治療について今担当している医師とは別の医師などに意見を求めることである。患者はいかなる治療段階でも他の医師の意見を求める権利がある。
  4. 患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
    患者には自己決定権があるため、検査や治療について説明を受け、同意や拒否をするのは家族ではなく患者である。
  5. 患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
    患者情報は患者の同意がなければ第三者に開示してはならない。

医療従事者が知っておくべき患者の権利の代表である、リスボン宣言をもとに解答しよう。

クリティカルシンキングで適切でないのはどれか。(第99回)

①看護過程のどの段階においても有効である。
②物事を否定的にみる思考過程である。
③問題解決的アプローチを可能にする。
④看護研究に応用できる。

  1. 看護過程のどの段階においても有効である。
    クリティカルシンキングは看護過程のどの段階においても有効である。
  2. 物事を否定的にみる思考過程である。
    「否定的」とはそのことを「打ち消し、否定する」ことであり、批判的に物事をとらえるクリティカルシンキングの考え方とは異なる。
  3. 問題解決的アプローチを可能にする。
    クリティカルシンキングは、物事を批判的にとらえることでよりよい問題解決に役立つ。
  4. 看護研究に応用できる。
    看護研究をはじめさまざまな研究は、そのプロセスでクリティカルシンキングが求められる。

クリティカルシンキングとは批判的に考えることをいう。理論や根拠をもとにじっくりよく考え、思考の結果をよりよいものにするために行う。

患者と看護師の関係において、ラポールを意味するのはどれか。(第106回)

①侵されたくない個人の空間
②人間対人間の関係の確立
③意図的な身体への接触
④自己開示

  1. 侵されたくない個人の空間
    侵されたくない個人の空間は、パーソナルスペースである。ラポールを意味しない。
  2. 人間対人間の関係の確立
    ラポールは人間対人間の二者の関係の確立である。
  3. 意図的な身体への接触
    意図的な身体への接触はタッチングである。ラポールを意味しない。
  4. 自己開示
    自己開示は自分のプライベートな情報を相手に伝えることである。ラポールを意味しない。

ラポールとは「信頼・親近感」を意味し、二者の間に信頼し合って感情の交流ができる関係が成立している状態のことである。

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