Q.1
成人の血圧測定に用いる上腕用マンシェットの幅はどれか。(第97回)
①20cm
②14cm
③9cm
④5cm
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正解:2
- 20cm
20cmでは幅がありすぎる。 - 14cm
14cmが該当する。 - 9cm
9cmでは幅が小さすぎる。 - 5cm
5cmでは幅が小さすぎる。
血圧は、マンシェットの幅が狭すぎると高めに、広すぎると低めになる。上腕用マンシェットは測定周囲長の40%が適切であるとされ、成人では12~14cmであることが多い。
Q.2
聴力検査に用いるのはどれか。(第103回追試)
①サーモグラフ
②オージオメータ
③スパイロメータ
④パルスオキシメータ
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正解:2
- サーモグラフ
サーモグラフは熱分布を表したものである。 - オージオメータ
オージオメータ(audiometer)は聴力検査に用いる。audio-という接頭辞は「聴」の意味。観客や聴衆の意味のaudience(オーディエンス)を思い出そう。倍音を持たない特定の高さのみの音である基本の音を純音といい、これを使うため純音オージオメータともいう。 - スパイロメータ
スパイロメータは肺機能測定器である。 - パルスオキシメータ
パルスオキシメータは脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定器である。
検査機器の名称と機能を整理しておこう。
Q.3
誤嚥を防ぐための食事介助で適切なのはどれか。(第100回)
①パサパサした食べ物を準備する。
②患者の体位は、頸部を後屈させ下顎を挙上させる。
③食物を口に運んだスプーンは上方へ抜き取る。
④飲み込んだのを確認してから、次の食物を口に入れる。
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正解:4
- パサパサした食べ物を準備する。
パサパサした食べ物は口腔内の水分を吸収してしまうため誤嚥しやすい。 - 患者の体位は、頸部を後屈させ下顎を挙上させる。
嚥下するときに頸部を伸展すると誤嚥しやすい。頸部を少し前屈させるとよい。 - 食物を口に運んだスプーンは上方へ抜き取る。
食物を口に運ぶときは舌の中央に食物を乗せ、スプーンはまっすぐに引き抜く。 - 飲み込んだのを確認してから、次の食物を口に入れる。
飲み込んだのを確認してから次の食物を口に入れるのが誤嚥予防になる。飲み込んでいない場合、口腔内にある食物の量が増えると嚥下しにくくなり、咀嚼が済んだ食物と済んでいない食物が混ざるからである。
嚥下のときに頸部をやや前屈させるのは誤嚥予防でよく出題される。
Q.4
成人において胃食道逆流を防ぐために食後30分から1時間程度とるとよい体位はどれか。(第108回)
①左側臥位
②半側臥位
③仰臥位
④坐 位
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正解:4
- 左側臥位
左側臥位では胃と食道・気管がほぼ同じ高さとなる。解剖学的に右側臥位よりも左側臥位のほうが逆流は起こりにくいが坐位には劣る。 - 半側臥位
半側臥位は仰臥位と側臥位の中間の体位で、体位ドレナージや褥瘡予防のためにとる。胃と食道・気管がほぼ同じ高さとなり逆流予防効果はない。 - 仰臥位
仰臥位では胃と食道・気管がほぼ同じ高さとなり、選択肢の中では最も胃食道逆流が起こりやすい。 - 坐 位
経鼻経管栄養の注入中と、注入後30分から1時間は上体を起こした体位を保持することを思い出してほしい。重力によって逆流を防ぐことができる。同じように胃食道逆流を防ぐには坐位とする。
胃内容物が食道内に逆流し、胸やけなどを引き起こすものを胃食道逆流という。
Q.5
女性患者の床上排泄において洋式便器をあてる位置を図に示す。適切なのはどれか。(第101回)
①1
②2
③3
④4
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正解:1
- ①
適切なあて方である。 - ②
床上で使う洋式便器は殿部を乗せる部分のほうが幅の広いほうである。その点は合っているが、肛門に流れてきた尿を受けるには開口部の縁が近すぎる。 - ③
床上で使う洋式便器は殿部を乗せる部分のほうが幅の広いほうである。 - ④
床上で使う洋式便器は殿部を乗せる部分のほうが幅の広いほうである。
床上で使う洋式便器は、殿部を乗せる部分のほうが幅の広いほうである。そのほうが安定し、排泄物を受ける部分の開口部が広くなる。そのうえで肛門部が開口部の中央にくるようにする。
Q.6
成人男性の間欠的導尿においてカテーテルを挿入する長さで適切なのはどれか。(第104回)
①6~8cm
②12~14cm
③18~20cm
④24~26cm
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正解:3
- 6~8cm
6~8cmでは短い。 - 12~14cm
12~14cmでは短い。 - 18~20cm
18~20cm挿入するのが正しい。 - 24~26cm
24~26cmでは長い。
成人男性の尿道の長さは16~18cmなので、膀胱内に留置される長さを考慮して導尿の際、カテーテルは18~20cm挿入する。解剖学的走行を考慮し、挿入角度は腹壁に対して80~90度とする。尿道球部に達したら抵抗を感じるので、角度を下腿側に傾けて挿入を容易にする。
Q.7
日本の令和2年(2020年)における女性の平均寿命はどれか。(第102回改変)
①81.41年
②83.39年
③87.74年
④89.64年
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正解:3
- 81.41年
81.41年は令和元年(2019年)の男性の平均寿命である。 - 83.39年
83.39年ではない。 - 87.74年
令和元年の女性の平均寿命は87.74年であった。前年よりも0.29年延びた。 - 89.64年
89.64年ではない。
令和2年(2020年)の女性の平均寿命は87.74年であった。
Q.8
日本の令和2年(2020年)における男性の平均寿命はどれか。(第105回改変)
①71.64年
②75.64年
③81.64年
④85.64年
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正解:3
- 71.64年
71.64年ではない。 - 75.64年
75.64年ではない。 - 81.64年
81.64年が正しい。 - 85.64年
85.64年ではない。
男性の令和元年(2019年)の平均寿命は81.41年で、令和2年(2020年)は81.64年に伸びた。なお、女性の令和元年(2019年)の平均寿命は87.45年で、令和2年(2020年)は87.74年であった。
Q.9
令和2年(2020年)の日本の出生数に最も近いのはどれか。(第110回改変)
①60万人
②80万人
③100万人
④120万人
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正解:2
- 60万人
60万人ではない。 - 80万人
令和2年(2020年)の出生数は84万835人であり、80万人が最も近い。 - 100万人
100万人ではない。 - 120万人
120万人ではない。
令和2年(2020年)の出生数は84万835人で、過去最低の数値となっている。
Q.10
令和元年(2019年)国民健康・栄養調査において、女性でやせ(BMI<18.5)の割合が最も高いのはどれか。(第101回改変)
①20~29歳
②30~39歳
③40~49歳
④50~59歳
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正解:1
- 20~29歳
選択肢のなかで、やせ(BMI<18.5)の者の割合が最も高いのは20~29歳(20.7%)である。 - 30~39歳
30~39歳(16.4%)ではない。 - 40~49歳
40~49歳(12.9%)ではない。 - 50~59歳
50~59歳(10.6%)ではない。
女性はやせの者、男性は肥満者について問われることが多い。近年、わずかな差となっており正確な知識が必要である。国民健康・栄養調査において、20歳以上の女性でやせ(BMI<18.5)の者の割合が最も高い階級は20~29歳(20.7%)である。
Q.11
振動が原因となる職業性疾病はどれか。(第104回)
①中皮腫
②熱中症
③高山病
④白ろう病
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正解:4
- 中皮腫
石綿(アスベスト)が原因で起こる健康障害には中皮腫のほか、石綿肺、肺癌などがある。振動によるものではない。中皮腫は中皮細胞から発生する悪性の腫瘍のことで、胸膜や腹膜に生じることが多い。 - 熱中症
高温、多湿の環境にさらされることによって起こる全身的な急性障害を総称して熱中症という。振動によるものではない。 - 高山病
高所では気圧が下がるため空気が薄くなり、空気に含まれている酸素の量も減少する。この環境の変化に順応することができずに特徴的な症状を呈すると、高山病と診断される。食欲不振や眩暈などの「山酔い」状態から高所肺水腫や高所脳浮腫といった生命の危険を伴う状態まである。振動によるものではない。 - 白ろう病
白ろう病はチェーンソーやグラインダーなどによる工具・機械・装置などの振動が局所に伝わったことによる末梢循環障害・末梢神経障害・運動器障害である。白ろうとは「白いろうそく」のことで、レイノー現象により末梢が白くなることからきている。
職業性疾病の原因について整理しておこう。
Q.12
医療保険制度で正しいのはどれか。(第95回)
①健康診断は給付対象外である。
②高額療養費は医療給付に含まれない。
③国民健康保険の保険者は国である。
④医療給付は現金給付が原則である。
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正解:1
- 健康診断は給付対象外である。
健康診断、予防接種、正常な分娩などは給付の対象外である。 - 高額療養費は医療給付に含まれない。
医療機関などでの支払い額が、1か月で定められた限度額を超えた場合に、超えた分が高額療養費として給付される。高額療養費は医療給付に含まれる。 - 国民健康保険の保険者は国である。
国民健康保険の保険者は平成30年(2018年)から都道府県と市町村となった。財政基盤の強化のため、都道府県が運営において中心的な役割を担うことになった。 - 医療給付は現金給付が原則である。
医療給付は現物給付が原則で、窓口で支払っているのは一部負担金である。
公的医療保険の給付対象となるのは診察、処置・手術、薬剤・治療材料、入院・看護、在宅療養・看護、食事療養、生活療養、訪問看護などである。
Q.13
介護保険制度における施設サービス費の利用者負担のうち、最も高い割合はどれか。(第102回改変)
①1割
②2割
③3割
④5割
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正解:3
- 1割
平成12年(2000年)の介護保険法施行から施設サービス費・居宅サービス費の利用者負担は1割でスタートした。令和元年(2019年)でも利用者の約90%が1割負担であるというデータがある(介護保険事業報告)。 - 2割
平成27年(2015年)に介護保険法が改正され、一定以上所得者の自己負担が2割に引き上げられた。 - 3割
平成30年(2018年)に介護保険法が改正され、とくに所得の高い層の自己負担が3割に引き上げられ、利用者自己負担の最大は3割となった。3割負担が最も高い。 - 5割
5割ではない。
施設サービス費の利用者負担について、近年の動向も踏まえて押さえておこう。
Q.14
介護保険の給付はどれか。(第105回)
①年金給付
②予防給付
③求職者給付
④教育訓練給付
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正解:2
- 年金給付
年金給付には、老齢給付、障害給付、遺族給付の3つがある。 - 予防給付
予防給付は介護保険によって支給される給付である。 - 求職者給付
求職者給付は雇用保険によって支給される給付である。 - 教育訓練給付
教育訓練給付は雇用保険によって支給される給付である。
介護保険によって支給される給付は、要支援1・2の認定者が対象の予防給付、要介護1~5の認定者が対象の介護給付がある。
Q.15
「障害の程度や特質にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有すること」を示すものであり「障害者や高齢者を特別視せず、可能な限り通常の市民生活を送ることができるようにする」という考え方はどれか。(第98回)
①アドボカシー
②パターナリズム
③ヘルスプロモーション
④ノーマライゼーション
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正解:4
- アドボカシー
アドボカシーは、障害者や高齢者など弱い立場にある人の権利や主張を擁護し代弁することである。 - パターナリズム
パターナリズムは、権威のある人の主張や決定に従うことである。 - ヘルスプロモーション
ヘルスプロモーションはオタワ憲章で提唱された。人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするためのプロセスである。 - ノーマライゼーション
障害者と健常者を区別せずに可能な限り通常の社会生活を送るようにするのがノーマライゼーションである。
それぞれの概念を理解していれば容易に解ける問題である。
Q.16
看護師が行う患者のアドボカシーで最も適切なのはどれか。(第108回)
①多職種と情報を共有する。
②患者の意見を代弁する。
③患者に害を与えない。
④医師に指示を聞く。
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正解:2
- 多職種と情報を共有する。
チーム医療の説明である。多職種との連携が必要な場面もあるが最も適切とはいえない。 - 患者の意見を代弁する。
患者の意見を代弁したり権利主張を支援することを指す。 - 患者に害を与えない。
倫理原則の無危害の原則の説明である。 - 医師に指示を聞く。
看護師が患者のアドボカシーを行うことは、医師の指示が必要な医行為ではない。
アドボカシーとは「権利擁護」と訳され、患者の意見を代弁したり権利主張を支援することを指す。小児や高齢者など弱者にとって重要である。アドボカシーを実行する人をアドボケーターとよぶ。
Q.17
保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。(第98回)
①看護研究
②秘密の保持
③記録の保存
④関係機関との連携
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正解:2
- 看護研究
保健師助産師看護師法において、看護研究は看護師に義務付けられていない。 - 秘密の保持
保健師助産師看護師法において、保健師、看護師、准看護師は正当な理由がなく、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定されている。この秘密の保持は保健師、看護師、准看護師でなくなった後も同様である。なお、助産師の守秘義務は、刑法に規定されている。 - 記録の保存
保健師助産師看護師法において、記録の保存は看護師に義務付けられていない。 - 関係機関との連携
保健師助産師看護師法において、関係機関との連携は看護師に義務付けられていない。
保健師助産師看護師法では免許・試験・業務・処分と再教育研修・守秘義務・名称独占などについて規定している。
Q.18
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を評価する上で最も重要なのはどれか。(第98回)
①家族の意向
②本人の満足感
③生存期間の延長
④在院日数の短縮
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正解:2
- 家族の意向
家族の意向で評価することはできない。 - 本人の満足感
対象者本人の生活の満足感や幸福感をいう。 - 生存期間の延長
生存期間の延長で評価することはできない。 - 在院日数の短縮
在院日数の短縮で評価することはできない。
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の評価の軸はあくまで患者本人にある。QOLは対象者本人の生活の満足感や幸福感をいう。
Q.19
標準的な発育をしている児において体重が出生時の約2倍になる月齢はどれか。(第102回)
①1か月
②3か月
③6か月
④9か月
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正解:2
- 1か月
男子は1~2か月で4.78kg、女子は4.46kgに増えるが、約2倍にはならない。 - 3か月
男子は2~3か月で5.83kg、女子は3~4か月で6.16kgで約2倍となるため、答えは3か月となる。なお、1歳ころに出生時の約3倍になる。 - 6か月
6~7か月後に男子は8kg、女子は7kgを超える。約2倍にはならない。 - 9か月
9~10か月後に男子は8.73kg、女子は8.20kgが平均である。約2倍にはならない。
平成22年(2010年)の厚生労働省の「乳幼児身体発育調査」によると、出生時の平均体重は男子2.98kg、女子2.91kgであった。
Q.20
エリクソン,E. H. の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。(第108回)
①親 密
②同一性
③自主性
④基本的信頼
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正解:4
- 親 密
親密性は前成人期の心理・社会的発達段階である。 - 同一性
同一性の確立(アイデンティティの確立)は青年期の心理・社会的発達段階である。 - 自主性
自主性あるいは自発性は遊戯期の心理・社会的発達段階である。 - 基本的信頼
基本的信頼は乳児期の心理・社会的発達段階である。
エリクソンは、精神分析理論のもとに、人間のライフサイクルを8つの段階に分け、各発達段階の発達課題と心理・社会的危機を提示した。