Q.1
腎盂腎炎について正しいのはどれか。(第103回)
①両腎性である。
②初尿を用いて細菌培養を行う。
③肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
④原因菌はGram〈グラム〉陽性球菌が多い。
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正解:3
- 両腎性である。
片側の腎だけに起こることが多い。両側の場合もあるが、必ずしも両腎性であるとはいえない。 - 初尿を用いて細菌培養を行う。
初尿は雑菌が混入していることが多いため、中間尿を採取する必要がある。 - 肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
腎盂腎炎では、肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。 - 原因菌はGram〈グラム〉陽性球菌が多い。
原因菌は大腸菌など、グラム陰性桿菌が多い。
腎盂腎炎は尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって腎盂に達し、細菌感染が生じることで起こる。主な病原菌は大腸菌である。非常に強い炎症反応が生じ、症状には、高熱、悪寒、強い腰痛などが生じる。
Q.2
酸塩基平衡の異常と原因の組合せで正しいのはどれか。(第102回)
①代謝性アルカローシス ― 下 痢
②代謝性アシドーシス ― 嘔 吐
③代謝性アシドーシス ― 慢性腎不全
④呼吸性アシドーシス ― 過換気症候群
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正解:3
- 代謝性アルカローシス ― 下 痢
下痢はアルカリの喪失につながり、代謝性アシドーシスを引き起こす。 - 代謝性アシドーシス ― 嘔 吐
嘔吐は酸の喪失につながり、代謝性アルカローシスを引き起こす。 - 代謝性アシドーシス ― 慢性腎不全
慢性腎不全では酸の排泄障害が起こり代謝性アシドーシスとなる。 - 呼吸性アシドーシス ― 過換気症候群
過換気症候群では、CO2の排泄が過剰になるため、呼吸性アルカローシスとなる。
代謝性アルカローシスは呼吸以外の要因で水素イオン(H+)が過剰に排泄されアルカリ性に傾いた状態をいう。原因は、嘔吐、利尿薬の使用、低カリウム血症などである。代謝性アシドーシスは体内の水素イオン(H+)濃度が上昇し、重炭酸イオン(HCO3-)が低下する病態をいう。原因は、腎不全、下痢などである。
Q.3
代謝性アルカローシスになるのはどれか。(第96回)
①嘔 吐
②下 痢
③腎不全
④飢 餓
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正解:1
- 嘔 吐
嘔吐では、胃液の喪失によって代謝性アルカローシスになる。 - 下 痢
下痢では、腸液や膵液の喪失によって代謝性アシドーシスになる。 - 腎不全
腎不全では、水素イオンの排泄障害で代謝性アシドーシスになる。 - 飢 餓
飢餓では、脂肪酸分解の亢進によりケトン体が増加して、代謝性アシドーシスとなる。
アルカローシス(アルカリ血症)とは血液のpHが7.45より高くなった状態をいい、pHが7.35未満になった場合をアシドーシス(酸血症)という。その原因が呼吸の異常による呼吸性アルカローシス・呼吸性アシドーシスと、それ以外の原因による代謝性アルカローシス・代謝性アシドーシスとの4つに分類される。
Q.4
皮膚病変とその原因になる疾患の組合せで正しいのはどれか。(第97回)
①蝶形紅斑 ― 強皮症
②口腔粘膜色素沈着 ― 肝硬変
③手掌紅斑 ― アジソン病
④紫 斑 ― 血小板減少症
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正解:4
- 蝶形紅斑 ― 強皮症
蝶形紅斑は全身性エリテマトーデスでみられる特徴的な顔面の皮疹である。 - 口腔粘膜色素沈着 ― 肝硬変
肝硬変では、手掌紅斑などの皮膚所見がみられる。口腔内粘膜色素沈着は起こらない。 - 手掌紅斑 ― アジソン病
手掌紅斑は肝硬変や肝疾患患者にみられる皮膚所見の1つである。 - 紫 斑 ― 血小板減少症
血小板減少症などの出血傾向のある患者では紫斑がみられる。
紫斑とは、皮膚や粘膜の肉眼的に見ることができる出血のことをいう。硝子圧で消退しない。血小板減少症、汎血球減少症などの出血傾向のある患者で起こる。
Q.5
全身性エリテマトーデスの20歳代女性に対する生活指導で適切なのはどれか。(第98回)
①「紫外線を避けましょう」
②「妊娠は問題ありません」
③「摂取エネルギー量を制限しましょう」
④「毎日1万歩のウォーキングを行いましょう」
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正解:1
- 「紫外線を避けましょう」
日光にさらされることは増悪因子であるため、紫外線を避けるよう指導するのは適切である。 - 「妊娠は問題ありません」
妊娠は増悪因子の1つである。 - 「摂取エネルギー量を制限しましょう」
摂取エネルギー量を制限する必要はない。 - 「毎日1万歩のウォーキングを行いましょう」
全身性エリテマトーデス患者の生活では安静と運動のバランスが必要であり、翌日に疲れが残らない程度の運動量が目安である。1日1万歩を目標とするのは過剰である可能性が高い。
全身性エリテマトーデスの増悪因子には、ストレス、疲労、日光の曝露、寒冷、手術、感染症、妊娠などがある。これを踏まえて生活指導をする必要がある。
Q.6
一側の下肢切断術後の幻肢痛で正しいのはどれか。(第98回)
①断端面に生じる。
②切断の反対側肢に生じる。
③切断し喪失した部位に生じる。
④断端創部の治癒と同時に消失する。
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正解:3
- 断端面に生じる。
幻肢痛は断端面だけでなく、切除したはずの指先などに生じることもある。 - 切断の反対側肢に生じる。
幻肢痛は切断した側と同側肢に生じる。 - 切断し喪失した部位に生じる。
幻肢痛は、切断し喪失した部位に生じる。 - 断端創部の治癒と同時に消失する。
幻肢痛は断端創部が治癒しても症状が続き、難治性となることもある。
幻肢痛は、切断された四肢が現存しているように感じ、そこに生じる痛みのことである。
Q.7
関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。(第103回)
①滑膜炎
②骨髄炎
③骨軟骨炎
④関節周囲炎
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正解:1
- 滑膜炎
関節リウマチで起こる主な炎症は滑膜炎である。 - 骨髄炎
骨髄炎は骨髄に細菌が侵入して炎症を引き起こした状態をいい、他の部位で起こっている炎症が血液を介して発症する場合と、手術や骨折などによって発症する場合がある。 - 骨軟骨炎
骨軟骨炎は外傷などによって軟骨下の骨に負荷がかかることで起こる。 - 関節周囲炎
関節周囲炎とは関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して関節周囲の組織に炎症が起こることをいう。肩関節に起こったものを一般に五十肩と呼んでいる。
関節リウマチとは、関節の内面を覆っている滑膜に炎症を起こし、関節の痛みや腫れが起こる疾患である。特に朝、関節がこわばるような感じがあり動かしにくくなることを「朝のこわばり」と呼ぶ。関節リウマチは関節だけの疾患ではなく全身性の自己免疫性疾患で、発熱や倦怠感なども起こる。
Q.8
28歳の女性。会社員(経理系)。最近手指の関節に痛みを感じるようになったが、腱鞘炎と思い湿布薬やマッサージで様子を見ていた。しかし、徐々に肘関節に痛みとこわばりが出現し、微熱と全身倦怠感もみられるようになった。医師から「関節が少し腫れているようですね。診断のため血液検査をいくつかしましょう」と言われ、外来通院することになった。診断に役立つのはどれか。(第95回)
①C反応性蛋白(CRP)
②αフェトプロテイン(AFP)
③ヒト白血球抗原(HLA)
④ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
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正解:1
- C反応性蛋白(CRP)
C反応性蛋白(CRP)は、体内で炎症が起きている場合に高値となる。関節リウマチは炎症性の疾患であるため、CRPを測定することは診断に役立つと考えられる。 - αフェトプロテイン(AFP)
αフェトプロテイン(AFP)は、腫瘍マーカーとして用いられる。関節リウマチの診断には役立たないと考えられる。 - ヒト白血球抗原(HLA)
ヒト白血球抗原(HLA)は、臓器移植などで用いられる検査である。ある特定のHLAをもっているとリウマチ発症のリスクが高いことが明らかになっているが、必ず発症するわけではないため、診断には役立たないと考えられる。 - ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は妊娠検査や腫瘍マーカーとして用いられる。関節リウマチの診断には役立たないと考えられる。
女性で、関節の痛みとこわばり、微熱と倦怠感、関節の腫脹という所見から、関節リウマチが考えられる。
Q.9
過活動膀胱の説明で正しいのはどれか。(第105回)
①尿意切迫感がある。
②失禁することはない。
③水分を制限して治療する。
④50歳台の有病率が最も高い。
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正解:1
- 尿意切迫感がある。
過活動膀胱の特徴として尿意切迫感がある。 - 失禁することはない。
過活動膀胱の特徴として切迫性尿失禁がある。 - 水分を制限して治療する。
治療に膀胱訓練がある。尿を膀胱にためる訓練であり、水分制限をして治療をすることはない。 - 50歳台の有病率が最も高い。
「排尿に関する疫学的研究」(日本排尿機能学会誌)によると、80歳以上の有病率が最も高くなっている。
過活動膀胱は、何らかの原因によって正常な膀胱のコントロールが乱れ、少量の尿で膀胱が過剰に収縮してしまい、我慢できないほどの強い尿意切迫感が急激に起こることをいう。そのため、頻尿や夜間頻尿、切迫性尿失禁などの症状が起こる。
Q.10
1回の気管内吸引時間で適切なのはどれか。(第103回追試)
①10~15秒以内
②20~25秒以内
③30~35秒以内
④40~45秒以内
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正解:1
- 10~15秒以内
1回の吸引時間は10~15秒以内とする。 - 20~25秒以内
20~25秒以内では長く、低酸素症を起こす可能性がある。 - 30~35秒以内
30~35秒以内では長く、低酸素症を起こす可能性がある。 - 40~45秒以内
40~45秒以内では長く、低酸素症を起こす可能性がある。
気管内吸引は、気道を損傷しないよう-100~-150mmHgで行い、1回の吸引時間は10~15秒以内とする。吸引の間は無呼吸状態となることや気道内の空気も吸引していることから吸引時間が長いと低酸素症を起こす可能性がある。
Q.11
水腎症の原因で正しいのはどれか。2つ選べ。(第105回)
①前立腺癌
②陰囊水腫
③ループス腎炎
④神経因性膀胱
⑤腎アミロイドーシス
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正解:1、4
- 前立腺癌
前立腺癌は排尿障害が起こるため尿の流出が滞り、水腎症の原因となる。 - 陰囊水腫
陰囊水腫は尿管を閉塞させることはないため、水腎症の原因とはならない。 - ループス腎炎
ループス腎炎は尿管を閉塞させることはないため、水腎症の原因とはならない。 - 神経因性膀胱
神経因性膀胱は、排尿障害が起こるため腎臓からの尿の流出が滞り、水腎症の原因となる。 - 腎アミロイドーシス
腎アミロイドーシスは、腎機能の低下を引き起こす疾患であり、水腎症の原因ではない。
水腎症とは何らかの原因によって、尿管に閉塞が起こるなど、尿の流出が停滞してしまうことで腎臓や尿管が拡張することをいう。原因には尿路結石、尿管癌、前立腺癌、前立腺肥大症、腎囊胞、神経因性膀胱、外傷、感染などがある。
Q.12
手術後に無排卵になるのはどれか。(第109回)
①脳下垂体全摘出術
②単純子宮摘出術
③低位前方切除術
④片側卵巣切除術
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正解:1
- 脳下垂体全摘出術
脳下垂体を全摘すると卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモンが分泌されなくなるため、性周期が機能せず無排卵となる。 - 単純子宮摘出術
単純子宮摘出術は卵巣を残すので閉経前の女性であれば無排卵にはならない。 - 低位前方切除術
低位前方切除術は上部直腸を切除する手術であり、無排卵にはならない。 - 片側卵巣切除術
片側の卵巣が残っていれば性周期は成立するため無排卵にはならない。
排卵がなくなるからというだけで生殖器の手術を選ばず、メカニズムをきちんと考えて解答しよう。
Q.13
前立腺癌について正しいのはどれか。(第101回)
①骨への転移は稀(まれ)である。
②血清PSA値が上昇する。
③内分泌療法は無効である。
④α交感神経遮断薬が有効である。
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正解:2
- 骨への転移は稀(まれ)である。
前立腺癌は無症状だが、骨転移しやすい癌なので、転移骨部の疼痛や骨折などがきっかけで発見されることがある。 - 血清PSA値が上昇する。
前立腺癌の場合、血液検査でPSA値(前立腺特異抗原)が上昇する。前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇する場合がある。 - 内分泌療法は無効である。
前立腺癌の治療法として、前立腺全摘出術や放射線療法、ホルモン療法(内分泌療法)などがある。よって、ホルモン療法(内分泌療法)は前立腺癌に対して有効である。 - α交感神経遮断薬が有効である。
α交感神経遮断薬は前立腺肥大の排尿困難に対して用いられるが、前立腺癌には用いられない。
前立腺は男性のみに存在する器官で、近年前立腺癌は罹患率が増加している。
Q.14
乳癌について正しいのはどれか。(第104回)
①乳房の内側に多い。
②有痛性の腫瘤が特徴である。
③エストロゲン補充療法を行う。
④センチネルリンパ節生検により郭清する範囲を決める。
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正解:4
- 乳房の内側に多い。
乳癌の好発部位は外側上部で約50%がここに発生する。 - 有痛性の腫瘤が特徴である。
乳房では腫瘤が認められるが、通常、痛みはみられない。乳癌の初期は自覚症状に乏しいことが特徴である。 - エストロゲン補充療法を行う。
ホルモン療法では、抗エストロゲン剤が使用される。 - センチネルリンパ節生検により郭清する範囲を決める。
センチネルリンパ節生検によりリンパ節郭清の必要性や範囲が決定する。
センチネルリンパ節生検とは、腋窩リンパ節への癌の転移を調べる方法である。センチネルリンパ節は、乳癌の細胞が最初にたどりつくリンパ節であるため、そのリンパ節を特定し検査することで、癌の転移が起こっているかどうかを知ることができる。センチネルリンパ節生検を行い、癌細胞が確認されなければリンパ節郭清の必要がなくなり、術後のリンパ浮腫や手の浮腫などの合併症を防ぐことができる。
Q.15
手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。2つ選べ。(第106回)
①食 事
②洗 濯
③入 浴
④更 衣
⑤買い物
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正解:2、5
- 食 事
食事をすることはADLである。しかし、食事の支度・調理などの家事は含まない。 - 洗 濯
洗濯はIADLである。 - 入 浴
入浴はADLである。 - 更 衣
更衣はADLである。 - 買い物
買い物はIADLである。
ADLは日常生活上の基本的動作(食事・排泄・移動・更衣・入浴など)をいう。IADLはADL以外のより高度な手段的日常生活動作で広範囲に評価する指標であるので、違いをとらえておく。
Q.16
後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。(第110回)
①介護保険法
②老人福祉法
③高齢者の医療の確保に関する法律
④地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉
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正解:3
- 介護保険法
介護保険法は、超高齢化社会の到来や社会保障給付の増大により、新たに高齢者福祉を扱うシステムが必要となった背景を受けて、平成12年(2000年)に施行された。 - 老人福祉法
老人福祉法は、老人の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的として昭和38年(1963年)に施行された。 - 高齢者の医療の確保に関する法律
解法のポイントのとおり、平成20年(2008年)に高齢者の医療の確保に関する法律が施行され、後期高齢者医療制度が創設された。 - 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉
医療介護総合確保推進法は、効率的かつ質の高い医療提供体制、地域包括ケアシステムの構築、医療・介護の連携強化などを目的に、平成26年(2014年)に制定された。
少子高齢化が進行するなか、高齢者の医療費が膨れ上がり、負担能力に応じた負担を求める必要が出てきた。こういった背景から、従来の老人保健法を改正し、平成20年(2008年)に「高齢者の医療の確保に関する法律」が施行され、後期高齢者医療制度が創設された。
Q.17
高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。(第97回)
①症状が定型的に出現する。
②薬物副作用が発生しやすい。
③慢性化すると急激な変化は起こりにくい。
④環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい。
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正解:2
- 症状が定型的に出現する。
高齢者の症状の出現は非定型的であるため、発見が遅れやすい。 - 薬物副作用が発生しやすい。
薬物動態から考えると、高齢者は代謝・排泄がよくないので、薬物の副作用は発生しやすい。 - 慢性化すると急激な変化は起こりにくい。
慢性化するとさまざまな加齢現象も加わり、重症化や急激な変化、他の病変を起こしやすくなる。 - 環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい。
環境の変化があると対応しにくい。そのため、精神的にも落ち着かないなど、症状の変化が起こりやすい。
高齢者の薬物療法について、薬物動態と起こりやすい有害事象を知っておこう。
Q.18
加齢によるホルモンの基礎分泌量の変化で正しいのはどれか。(第101回)
①メラトニンは増加する。
②コルチゾルは変化しない。
③成長ホルモンは変化しない。
④副甲状腺ホルモンは減少する。
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正解:2
- メラトニンは増加する。
メラトニンの分泌は減少する。この影響により概日リズムが変調し、睡眠障害をきたすことがある。 - コルチゾルは変化しない。
副腎皮質・甲状腺・膵臓などから分泌されるホメオスタシス(恒常性)に関与するホルモンは、加齢による変化はない。よって、コルチゾルの分泌は基礎分泌も日内変動も変化しない。 - 成長ホルモンは変化しない。
成長ホルモンの分泌は減少する。この影響により筋肉量の減少が起こる。 - 副甲状腺ホルモンは減少する。
腸管からのカルシウム吸収の低下や、カルシウム摂取量の低下などにより、血漿カルシウム濃度が低下するため、副甲状腺ホルモンの分泌は増加する。副甲状腺ホルモンの分泌が増加することにより骨吸収が促進されるため、高齢者では骨折を起こしやすくなる。
ほとんどのホルモンの血中濃度は加齢とともに低下するが、高齢になっても同程度の濃度が保たれるホルモンや、より増加するホルモンもある。ホルモン濃度が下がらなくても、年齢を重ねるとホルモン受容体の感受性が低下するため、内分泌機能は全般的に低下する。
Q.19
老年期の精神機能で低下しやすいのはどれか。(第97回)
①理解力
②判断力
③洞察力
④記銘力
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正解:4
- 理解力
理解力は結晶性知能で、経験や知識により獲得されるものであるので、老年期にも低下しにくい。 - 判断力
判断力は結晶性知能に含まれ、老年期にも低下しにくい。 - 洞察力
洞察力は結晶性知能に含まれ、判断力や調合力などと同様に老年期にも低下しにくい。 - 記銘力
記銘力は流動性知能に含まれ、加齢によって衰えやすい。ほかに計算力が流動性知能に含まれる。
知能は流動性知能と結晶性知能に分けられる。
Q.20
流動性知能はどれか。(第104回)
①新聞を読む。
②町内会の役員を務める。
③結婚式のマナーを知っている。
④携帯電話に電話番号を登録する。
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正解:4
- 新聞を読む。
結晶性知能にあたる。 - 町内会の役員を務める。
結晶性知能にあたる。 - 結婚式のマナーを知っている。
結晶性知能にあたる。 - 携帯電話に電話番号を登録する。
流動性知能にあたる。
流動性知能は新しい状況に適応する能力であり、結晶性知能は知識や経験の積み重ねにより獲得していく能力である。