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国家試験対策問題
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第82回 国家試験対策過去問題

国家試験

神経伝達物質はどれか。(第106回)

①アルブミン

②フィブリン
③アセチルコリン
④エリスロポエチン

  1. アルブミン
    肝臓で産生されるアルブミンは血漿蛋白である。神経伝達はしない。
  2. フィブリン
    血漿蛋白の一種であるフィブリノーゲンからトロンビンの作用によってフィブリンができる。血液凝固に関わる。神経伝達はしない。
  3. アセチルコリン
    アセチルコリンは神経伝達物質であり、交感神経、副交感神経、運動神経などから分泌される。
  4. エリスロポエチン
    腎臓で産生されるエリスロポエチンはホルモンである。赤血球の産生を促進する。神経伝達はしない。

各物質の機能を整理しておこう。

股関節の運動を図に示す。内転はどれか。(第107回)


  1. 股関節を屈曲させ、下肢を挙上している。内転ではない。

  2. 注目している骨を中心軸から遠ざけているため、外転である。

  3. 注目している骨を中心軸に近づけており、内転に該当する。

  4. 大腿骨の軸を内側に回しているので内旋である。足先は外側に振れているからといって外旋と考えないように注意する。

内転とは関節の動きにおいて、注目している骨を中心軸に近づけることで、反対に中心軸から遠ざけるのは外転である。また、関節の動きにおいて骨の軸を内側に回すことを内旋、外側に回すことを外旋という。

外分泌器官はどれか。(第103回追試)

①涙 腺
②甲状腺
③胸 腺
④副 腎

  1. 涙 腺
    涙腺は外分泌腺である。
  2. 甲状腺
    甲状腺は内分泌腺である。
  3. 胸 腺
    胸腺はリンパ組織で構成されており、リンパ球が成熟・分化して血液に送り出される。また胸腺ホルモンを分泌する内分泌機能も指摘されているが、詳細はわかっていない。
  4. 副 腎
    副腎は皮質と髄質からなる内分泌腺である。皮質からは電解質コルチコイド・糖質コルチコイド・アンドロゲン、髄質からはアドレナリン・ノルアドレナリンが分泌される。

血液から分泌液を産生する腺上皮から導管を通して体表面や、消化管などの臓器の内腔に放出する腺を外分泌腺という。導管をもたず分泌液を血液中に放出する腺を内分泌腺という。内分泌腺からはホルモンが分泌される。

死の三徴候に含まれるのはどれか。(第103回)

①呼名反応の消失
②対光反射の消失
③肛門緊張の消失
④深部腱反射の消失

  1. 呼名反応の消失
    呼名反応の消失は含まれない。
  2. 対光反射の消失
    対光反射の消失は含まれる。
  3. 肛門緊張の消失
    肛門緊張の消失は含まれない。
  4. 深部腱反射の消失
    深部腱反射の消失は全身性の末梢神経障害などでみられる徴候である。

死の三徴候とは、①心臓停止、②呼吸停止、③瞳孔散大および対光反射の消失を指す。

臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。(第105回)

①低体温
②心停止
③平坦脳波
④下顎呼吸

  1. 低体温
    低体温は判定基準にはない。
  2. 心停止
    心停止は脳死ではなく死の三徴候に該当する。
  3. 平坦脳波
    選択肢の中では平坦脳波が該当する。
  4. 下顎呼吸
    下顎呼吸は判定基準にはない。

脳死の判定基準は、①深昏睡、②瞳孔散大、固定の確認、③脳幹反射消失の確認、④平坦脳波の確認(心電図も同時に確認し連続して30分以上かける)、⑤自発呼吸消失の確認、⑥①~⑤までの条件が満たされてから少なくとも6時間(生後12週~6歳未満の者では24時間)が経過しても変化がないことに該当した場合である。

キューブラー・ロス, E.による死にゆく人の心理過程で第5段階はどれか。(第110回)

①怒 り
②否 認
③死の受容
④取り引き

  1. 怒 り
    怒りは2段階目である。
  2. 否 認
    否認は1段階目である。
  3. 死の受容
    5段階目は死の受容が正しい。
  4. 取り引き
    取り引きは3段階目である。

キューブラー・ロスの死にゆく人の心理過程は5段階すべてを確実に覚えておこう。否認-怒り-取り引き-抑うつ-死の受容の5段階である。

血中濃度が上昇すると黄疸となるのはどれか。(第102回)

①グルコース
②ビリルビン
③クレアチニン
④総コレステロール

  1. グルコース
    グルコース(ブドウ糖)の血中濃度が上昇すると高血糖となる。空腹時血糖の基準値は、70~109mg/dLである。
  2. ビリルビン
    黄疸の原因物質は肝臓で代謝されるビリルビンが血液中に増えることで起こる。黄疸の原因は肝炎や肝硬変などの肝機能低下、溶血性貧血、胆石症、胆道系腫瘍などである。基準値は総ビリルビン値が0.2~1.0mg/dLである。2mg/dL以上で顕性黄疸となる。
  3. クレアチニン
    クレアチニンの血中濃度が上昇する主な原因は腎機能低下である。クレアチニンは通常糸球体で濾過されて尿中に排泄されるが、腎機能が障害されると排泄されず血中で濃度が上昇する。基準値は、男性は0.6~1.0mg/dL、女性は0.4~0.8mg/dLである。
  4. 総コレステロール
    総コレステロールの血中濃度が上昇すると高コレステロール血症となる。基準値は、120~219mg/dLである。平成15年(2007年)から高コレステロール血症と高脂血症を総称して、脂質異常症と呼ぶようになった。

各物質の血中濃度上昇の要因とそれにより起こる異常について整理しておこう。

胆汁が混入していることを示す吐物の色はどれか。(第98回)

①白
②黒
③赤
④緑


  1. 白ではない。

  2. 黒ではない。血液は胃酸の影響を受けるため、吐物が黒い場合には吐血の可能性がある。

  3. 赤ではない。吐物が赤い場合は新鮮な大量の出血の可能性がある。

  4. 胆汁が混入した吐物は黄色~緑色となる。これは胆汁が黄色~淡褐色をしているためで、空気に触れたり時間が経つと酸化して緑色っぽくなる。

胆汁には胆汁酸、ビリルビン(胆汁色素)、コレステロール、リン脂質が含まれている。胆汁が混入した吐物は黄色~緑色となる。

弛緩性便秘の患者に対する食事指導で適切なのはどれか。(第99回)

①水分摂取の制限
②脂肪の多い食品の摂取の制限
③塩分の多い食品の摂取の推奨
④食物残渣の多い食品の摂取の推奨

  1. 水分摂取の制限
    弛緩性便秘の予防には十分な水分摂取が必要である。制限はしない。
  2. 脂肪の多い食品の摂取の制限
    脂肪の多い食事を大量に摂ると下痢をすることからわかるように、適度の脂肪の摂取は弛緩性便秘の予防に効果がある。制限はしない。
  3. 塩分の多い食品の摂取の推奨
    塩分の多い食品の摂取は弛緩性便秘の予防と関係がない。電解質ではマグネシウムに緩下作用がある。
  4. 食物残渣の多い食品の摂取の推奨
    食物繊維が消化管で食物残渣となるので食物残渣の多い食品の摂取は推奨される。

弛緩性便秘では、食物繊維の不足や運動不足などにより腸蠕動の低下が起こる。なお、『慢性便秘症診療ガイドライン2017』では、慢性便秘(症)を、原因から器質性・機能性に、症状から排便回数減少型・排便困難型に、病態から大腸通過正常型・大腸通過遅延型・便排出障害に分類している。

災害時のトリアージで最優先治療群のトリアージタッグはどれか。(第102回)

①赤
②黄
③黒
④緑 


  1. 赤が最優先治療群である。

  2. 黄は非緊急治療群である。

  3. 黒は救命が不可能な不処置群である。

  4. 緑は軽処置群である。

トリアージはフランス語で「仕分ける、選別する」を意味し、災害現場などで治療優先度を決定することを指す。トリアージタッグは原則として右手首に装着され、色による治療優先度は赤(Ⅰ:最優先治療群)→黄(Ⅱ:非緊急治療群)→緑(Ⅲ:軽処置群)→黒(0:救命が不可能な不処置群)で表される。

呼吸困難とはどれか。(第104回)

①脈拍数の増加
②息苦しさの自覚
③動脈血酸素分圧〈PaO2〉の低下
④経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の低下

  1. 脈拍数の増加
    脈拍数の増加が起こっていることが呼吸困難という状態の説明ではない。
  2. 息苦しさの自覚
    患者が感じる息苦しさ、息が切れるといった自覚症状のことである。
  3. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉の低下
    動脈血酸素分圧(PaO2)や経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下した状態が呼吸困難の主な原因ではあるが、それらがみられなくても息苦しさ、息が切れるといった自覚症状があれば呼吸困難と判断する。
  4. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の低下
    選択肢[3]の解説のとおりである。

呼吸困難に数値的な定義はなく、患者が感じる息苦しさ、息が切れるといった自覚症状のことである。原因によっては呼吸状態が悪化して数値に変化が生じるが、例えば精神的な不安から呼吸困難を感じている場合は、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が低下するといった変化がないこともある。

浮腫が生じやすいのはどれか。(第105回)

①甲状腺機能亢進症
②過剰な運動
③低栄養
④熱中症

  1. 甲状腺機能亢進症
    甲状腺の疾患で浮腫が生じやすいのは甲状腺機能低下症であり、甲状腺機能亢進症ではない。甲状腺機能亢進症では基礎代謝が亢進し、眼球突出・体重減少・発汗過多などが生じる。
  2. 過剰な運動
    運動によって発汗が促され、静脈還流もよくなる。運動が過剰になっただけで浮腫が起こるとは考えにくい。
  3. 低栄養
    必要なエネルギーや蛋白質・脂質・ビタミンなどが十分ではない状態を低栄養という。特に低アルブミン血症になると血漿膠質浸透圧が低下して浮腫が生じやすい。
  4. 熱中症
    高温、多湿の環境にさらされることによって起こる全身的な急性障害を総称して熱中症という。水分や電解質を喪失し、脱水、電解質異常、けいれん、めまいなどが生じる。脱水となることが多いため浮腫が生じることは考えにくい。

浮腫の原因となる疾患を整理しておこう。

下血がみられる疾患はどれか。(第106回)

①肝囊胞

②大腸癌
③卵巣癌
④腎盂腎炎

  1. 肝囊胞
    肝囊胞は一般的に腹部超音波検査またはCT検査で発見されることが多いが、通常は無症状で治療の必要はない(多発性であったり、寄生虫などの原疾患がある場合を除く)。
  2. 大腸癌
    大腸癌は潰瘍や壊死によって出血しやすく、下血や腹痛、便秘などが主な症状である。
  3. 卵巣癌
    卵巣癌による出血は性器出血で、下血のように肛門からのものではない。
  4. 腎盂腎炎
    腎盂腎炎は腎実質の細菌感染症であり、多くは膀胱炎などから細菌が尿路を上行してくることで生じる。症状は尿混濁、発熱、背部叩打痛・腰背部痛・腹部鈍痛などである。下血は生じない。

消化管からの出血が肛門から排泄される場合を下血という。

潰瘍性大腸炎によって生じるのはどれか。(第107回)

①滲出性下痢
②分泌性下痢
③脂肪性下痢
④浸透圧性下痢

  1. 滲出性下痢
    腸管の炎症により血液成分や細胞内の液体などが滲み出て、便の水分量を増やすのが滲出性下痢である。腸管からの水分吸収が低下することも関係している。潰瘍性大腸炎やクローン病などで起こる。
  2. 分泌性下痢
    腸液の分泌が増える分泌性下痢は細菌やウイルスに感染して毒素が増えたことなどによって生じる。毒素産生大腸炎などで起こる。
  3. 脂肪性下痢
    脂肪性下痢は慢性膵炎などで小腸での脂肪の吸収が障害されて起こる。
  4. 浸透圧性下痢
    浸透圧性下痢は人工甘味料の過剰摂取、乳糖不耐症などで高浸透圧性物質が腸管内に水を引き込むことよって生じる。

下痢の分類と原因について整理しておこう。

ウイルスが原因で発症するのはどれか。(第103回)

①血友病
②鉄欠乏性貧血
③再生不良性貧血
④成人T細胞白血病〈ATL〉

  1. 血友病
    血友病は血液凝固因子の第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子の活性が遺伝的に低下していることによって起こる。
  2. 鉄欠乏性貧血
    鉄欠乏性貧血はヘモグロビンの成分である鉄の不足によって起こる。
  3. 再生不良性貧血
    再生不良性貧血の多くは原因不明である。ウイルスが原因であるとはいえない。
  4. 成人T細胞白血病〈ATL〉
    成人T細胞白血病(ATL)はヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV-1)の感染が原因である。感染経路は血液・精液・母乳であるとされる。

造血器疾患の原因について整理しておこう。

心的外傷後ストレス障害<PTSD>で正しいのはどれか。(第100回)

①数日間で症状は消失する。
②特定の性格を持った人に起こる。
③日常のささいな出来事が原因となる。
④原因になった出来事の記憶が繰り返しよみがえる。

  1. 数日間で症状は消失する。
    数日で症状が消失するのものは該当しない。
  2. 特定の性格を持った人に起こる。
    心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症しやすい特定の性格というものはない。
  3. 日常のささいな出来事が原因となる。
    衝撃の強い出来事がきっかけとなるため、日常のささいな出来事ではない。
  4. 原因になった出来事の記憶が繰り返しよみがえる。
    心的外傷後ストレス障害(PTSD)では再体験症状(フラッシュバック)がみられる。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)のキーワードは1か月以上という症状の持続期間、心的外傷を負うことになった出来事とそれに関連した刺激の回避、意図せず繰り返し出来事が思い起こされる侵入、睡眠や集中が妨げられる過覚醒などである。心的外傷後ストレス障害(PTSD)は災害や事件などの出来事に遭い、再体験症状(フラッシュバック)と回避・精神麻痺症状と過覚醒症状が1か月以上持続する。

腎機能を示す血液検査項目はどれか。(第108回)

①中性脂肪
②ビリルビン
③AST〈GOT〉
④クレアチニン
⑤LDL コレステロール

  1. 中性脂肪
    食事で摂取する脂質の大部分は中性脂肪(トリグリセリド)で、脂質異常症の診断基準の1つである。
  2. ビリルビン
    総ビリルビンは寿命を終えた赤血球からつくられた間接ビリルビンと、間接ビリルビンから肝臓でグルクロン酸抱合を受けてできた直接ビリルビンの合計である。2mg/dL以上で黄疸の指標となる。
  3. AST〈GOT〉
    AST(GOT)とALT(GPT)はトランスアミナーゼであり、肝細胞の壊死によって血液中に出てくる。肝機能の指標である。
  4. クレアチニン
    腎機能の指標である。筋収縮後の代謝産物であるクレアチニンは、腎臓でほぼ再吸収されずに排出されるため、腎機能が障害されると排泄されず血中で濃度が上昇する。
  5. LDL コレステロール
    LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロールであり、脂質異常症の診断基準の1つである。

各検査項目の意義を整理しておこう。

母体から胎児への感染はどれか。(第107回)

①水平感染
②垂直感染
③接触感染
④飛沫感染

  1. 水平感染
    水平感染はヒトからヒトへ直接病原微生物が伝わる感染様式だが、垂直感染は除外される。
  2. 垂直感染
    垂直感染とは、母体から胎児・児に直接病原微生物が伝わって感染する。具体的には胎盤を介した感染、産道を介した感染、母乳を介した感染である。
  3. 接触感染
    病原微生物をもつヒトとの濃厚接触(性行為など)、病原微生物をもつ動物との接触や咬傷などから感染することを接触感染という。
  4. 飛沫感染
    咳やくしゃみなどを通じて、直径5μm以上の飛沫粒子によって感染を生じるのが飛沫感染である。

感染様式を整理しておこう。

緩和ケアの説明で適切なのはどれか。(第110回)

①入院が原則である。
②家族もケアの対象である。
③創の治癒を目的としている。
④患者の意識が混濁した時点から開始する。

  1. 入院が原則である。
    入院が原則ではなく、緩和ケアは外来や在宅でも行うことができる。
  2. 家族もケアの対象である。
    生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族が対象となる。
  3. 創の治癒を目的としている。
    解法のポイントのとおり、緩和ケアの目的は創の治癒ではない。
  4. 患者の意識が混濁した時点から開始する。
    病気の進行にかかわらず早期から対象となる。患者の意識が混濁した時点からではない。

WHO(世界保健機関)の定義(2002年)では、「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」とされている。

抗ウイルス薬はどれか。(第99回)

①ペニシリン
②アシクロビル
③エリスロマイシン
④アンホテリシンB 

  1. ペニシリン
    ペニシリンは抗菌薬で、ウイルスには効果がない。
  2. アシクロビル
    アシクロビルは単純ヘルペスウイルス・水痘-帯状疱疹ウイルスによる感染症に使用される。なお、すべての抗ウイルス薬に当てはまるわけではないが、多くの薬剤名の「~ビル(-vir)」はウイルス(virus)に作用する薬物という意味でつけられている。
  3. エリスロマイシン
    エリスロマイシンは抗菌薬で、ウイルスには効果がない。
  4. アンホテリシンB
    アンホテリシンB(アムホテリシンB)は抗真菌薬である。ほぼすべての真菌に有効である。

採点除外となった問題であるが、ウイルスや真菌の治療に使う薬剤の代表的なものは覚えておきたい。

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