Q.1
①1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。(第111回)
①嘔 吐
②感 染
③低酸素血症
④気道粘膜の損傷
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正解:3
- 嘔 吐
吸引の方法が適切であれば1回の気管内吸引を30秒以上実施しても嘔吐は生じない。 - 感 染
吸引の方法が適切であれば1回の気管内吸引を30秒以上実施しても感染は生じない。 - 低酸素血症
気管内吸引を長く行うと、気管内分泌物だけでなく酸素を含む空気も吸引しているため、低酸素血症を招く。正しい。 - 気道粘膜の損傷
吸引圧が適切であれば1回の気管内吸引を30秒以上実施しても気道粘膜の損傷は生じない。
気管内吸引では気道の損傷を避けるため吸引圧は150mmHg、1回の吸引時間は15秒以内とする。
Q.2
AEDの使用方法で正しいのはどれか。(第102回)
①電極パッドは水で濡(ぬ)らしてから貼る。
②電極パッドは心臓をはさむ位置に貼る。
③通電時は四肢を押さえる。
④通電直後は患者に触れない。
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正解:2
- 電極パッドは水で濡(ぬ)らしてから貼る。
電極パッドを貼る皮膚に水分・汗・油分があるとパッドの密着性が低下し、電気ショックの効果が減弱・消失する。AED操作者が電気ショックを受ける可能性もある。 - 電極パッドは心臓をはさむ位置に貼る。
心室細動や心室性頻拍といった生命を脅かす不整脈の除去のために胸壁から直接電気を送るが、心臓に効率よく電気を送るには2つの電極パッドで心臓をはさむようにする必要がある。 - 通電時は四肢を押さえる。
通電時には患者およびAEDの機器やコード類、患者が触れているストレッチャーやベッドなどに触れない。触れているとAED操作者が電気ショックを受ける可能性がある。したがって四肢を押さえてはならない。 - 通電直後は患者に触れない。
患者に触れてはいけないのは通電時のみで、通電が終われば直後でも触れてよいので必要な救命処置を続ける。
AEDによる除細動の正しい使用方法について、熟知しておく必要がある。
Q.3
直流除細動器の使用目的はどれか。(第104回)
①呼吸の促進
②血圧の降下
③不整脈の治療
④意識レベルの評価
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正解:3
- 呼吸の促進
心臓の働きが回復することで呼吸機能が改善することがあるが、直流除細動器の使用目的そのものではない。 - 血圧の降下
血圧を降下させることが使用目的ではない。 - 不整脈の治療
直流除細動器は医師が手動で除細動を行う機器であり、看護師や一般市民も扱えるAED(automated external defibrillator:自動体外式除細動器)とは異なる。 - 意識レベルの評価
意識レベルの評価とは関係がない。
除細動は、心室頻拍や心室細動といった致死的な不整脈の治療のために実施する。
Q.4
包帯法の原則として適切なのはどれか。(第106回)
①患部を強く圧迫する。
②屈伸可能な関節は固定する。
③中枢から末梢に向けて巻く。
④使用部位によって包帯を使い分ける。
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正解:4
- 患部を強く圧迫する。
血液循環を阻害しないよう患部は圧迫しすぎないようにする。 - 屈伸可能な関節は固定する。
関節は良肢位を保ち、可能な限り固定せず可動域を保持する。 - 中枢から末梢に向けて巻く。
末梢に循環障害が起こらないよう末梢から中枢に向けて巻く。 - 使用部位によって包帯を使い分ける。
包帯にはさまざまな素材・形状のものがあり、使用部位や目的によって包帯を使い分ける。
包帯法の適切な手順を押さえておこう。
Q.5
斜線部が左肺の下葉を示すのはどれか。(第99回)
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正解:3
- ①
左の下葉は①のような形はしていない。 - ②
左の下葉は②のような形はしていない。 - ③
左の下葉は③のような形をしているため、聴診するには左の背部や左側胸部からアプローチする必要がある。 - ④
左の下葉は④のような形はしていない。
左右の肺の葉の数と連動して気管支も右は3つ、左は2つに分かれて肺のそれぞれの葉につながっている。
Q.6
医療用酸素ボンベと酸素流量計とを図に示す。酸素の流量を調節するのはどれか。(第104回)
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正解:3
- ①
1は酸素ボンベの栓(バルブ)である。回して開かないと酸素は流れないがここで流量は調節できない。開けるときはゆっくり回し、一度全開にしてから半回転戻すのがよい(全開であるのにさらに開けようとするのを防ぐため)。 - ②
2は酸素流量計の目盛りである。ここを見ながら流量を調節するが、実際に調節するのは3のつまみである。 - ③
3の酸素流量計の調節つまみを回して医師から指示された酸素流量に合わせる。酸素流量計にはコマ型とボール型の浮子のタイプがある。 - ④
4は酸素ボンベと減圧弁の接続部分である。減圧弁には圧力計と酸素流量計が接続される。
酸素ボンベは適切に扱わないと事故につながりかねないため、正しい知識をつけておこう。
Q.7
受精から着床開始までの期間はどれか。(第104回)
①1~2日
②6~7日
③13~14日
④20~21日
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正解:2
- 1~2日
1~2日ではない。 - 6~7日
受精後6~7日ころに着床を開始する。 - 13~14日
13~14日ではない。 - 20~21日
20~21日ではない。
卵管膨大部で受精した受精卵は卵割しながら子宮腔へ到達する。受精後6~7日ころに着床を開始し、さらに4日ほどかけて完了する。
Q.8
足浴の効果で最も期待されるのはどれか。(第106回)
①食欲増進
②睡眠の促進
③筋緊張の亢進
④皮膚温の低下
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正解:2
- 食欲増進
間接的に食欲増進が起こる可能性はあるが、睡眠の促進には劣る。 - 睡眠の促進
足浴の効果から得られるのは睡眠の促進である。 - 筋緊張の亢進
足浴によって筋緊張は緩和されると考えられる。 - 皮膚温の低下
足浴では、皮膚温は低下しない。
足浴の効果には冷えの解消(=皮膚温度の上昇、末梢循環の促進を含む)、リラックス、爽快感、自律神経系への刺激などが考えられる。
Q.9
療養施設、社会福祉施設等が集合して設置されている地域の昼間の騒音について、環境基本法に基づく環境基準で定められているのはどれか。(第106回)
①20dB以下
②50dB以下
③80dB以下
④110dB以下
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正解:2
- 20dB以下
20dB以下ではない。 - 50dB以下
50dB以下が正しい。なお、もっぱら主として住居の用とされる地域(地域類型A、B)では昼間55dB以下、夜間45dB以下である。 - 80dB以下
80dB以下ではない。 - 110dB以下
110dB以下ではない。
環境基本法に基づく騒音の環境基準では、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置されている地域(地域類型AA)の騒音の基準値は昼間50dB以下、夜間40dB以下とされている。
Q.10
注射針を皮膚に対して45~90度の角度で刺入するのはどれか。(第105回)
①皮内注射
②皮下注射
③筋肉内注射
④静脈内注射
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正解:3
- 皮内注射
皮内注射は皮下組織よりも上の部分に注入するため非常に浅く、皮膚をすくうように刺す。45~90度ではない。 - 皮下注射
皮下注射は真皮と筋肉組織の間の皮下組織に注入する。刺入角度は10~30度である。45~90度ではない。 - 筋肉内注射
筋肉内注射は筋肉組織に注入するため、45~90度の角度で刺入しなくてはならない。 - 静脈内注射
静脈内注射は静脈内に注射針が入る必要があるため、角度は10~20度必要である。
注射の刺入角度について整理しておこう。
Q.11
消毒薬に最も抵抗性が強いのはどれか。(第99回)
①細菌芽胞
②栄養型細菌
③DNAウイルス
④RNAウイルス
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正解:1
- 細菌芽胞
細菌芽胞は消毒薬に抵抗性をもち、有効な消毒薬はわずかしかない。グルタラールや過酢酸などが該当し、一定時間の浸漬が必要とされる。芽胞を死滅させるにはガス滅菌や高圧蒸気滅菌が適している。 - 栄養型細菌
栄養型細菌とは一般的な細菌の状態である。栄養型細菌でなくなったときには栄養や酸素の供給が不十分になって休眠状態となって芽胞に変わる。多くの栄養型細菌には消毒薬が有効である。 - DNAウイルス
消毒薬に対する抵抗性に関してDNAウイルスあるいはRNAウイルスであるかどうかは影響しない。 - RNAウイルス
解説[3]のとおりである。
消毒薬は有効な微生物によって、高水準消毒薬、中水準消毒薬、低水準消毒薬に分類される。
Q.12
インシデントレポートの目的はどれか。(第100回)
①再発の防止
②責任の追及
③処分の決定
④個人の反省
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正解:1
- 再発の防止
医療事故や医療事故につながる可能性のあるエラーの再発の防止が目的である。 - 責任の追及
責任追及や懲罰などを目的としないことが重要である。 - 処分の決定
処分の決定のためではなく、事実を分析し、要因を明確にして共有することを目的とする。 - 個人の反省
当事者個人が反省することを否定するものではないが、反省のために作成するものではない。事実を分析し、要因を明確にして共有することを目的とする。
インシデントレポートの目的は事実を組織として分析し、その要因を明確にして共有し、防止対策を立てることである。
Q.13
入院患者の本人確認の方法で最も適切なのはどれか。(第100回)
①病室でのベッドの位置
②ベッドネーム
③ネームバンド
④呼名への反応
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正解:3
- 病室でのベッドの位置
病室でのベッドの位置で確認するのはベッド移動が行われる可能性、認知症などで別の患者のベッドにいる可能性などがあり、確実とはいえない。 - ベッドネーム
ベッドネームによる確認はベッド移動が行われる可能性、認知症などで別の患者のベッドにいる可能性などがあり、確実とはいえない。 - ネームバンド
入院から退院まで患者の身体に装着するネームバンドは、最も本人確認するのに適している。 - 呼名への反応
呼名への反応による確認は、聞き間違いや見当識の障害などによる誤認の可能性があり、確実とはいえない。
患者誤認は医療過誤につながるため、確実な方法で回避する必要がある。
Q.14
標準予防策〈スタンダードプリコーション〉で感染源として取り扱うのはどれか。(第109回)
①汗
②爪
③唾 液
④頭 髪
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正解:3
- 汗
汗は対象ではない。 - 爪
爪は対象ではない。 - 唾 液
唾液は湿性生体物質なので対象である。 - 頭 髪
頭髪は対象ではない。
標準予防策(スタンダードプリコーション)では、すべての血液、体液(汗を除く)等(湿性生体物質)は、未知の未検査の病原体が含まれていることを前提として取り扱う。湿性生体物質は、喀痰・尿・便・膿のほか、粘膜や傷のある皮膚も対象となる。
Q.15
経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。(第109回)
①砕石位
②半坐位
③腹臥位
④Sims〈シムス〉位
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正解:2
- 砕石位
砕石位(載石位)は、会陰・腟・子宮・直腸・肛門の診察・手術などに適した体位である。 - 半坐位
半坐位(ファウラー位)が正しい。 - 腹臥位
腹臥位ではない。 - Sims〈シムス〉位
シムス位ではない。
過去に同様の内容で、ファウラー位が正答として出題されている(105回午後21)。経鼻経管栄養の注入時、および、注入後30分~1時間は、半坐位(ファウラー位)とし、上体を起こすことで栄養剤の逆流を防止できる。
Q.16
臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準で正しいのはどれか。(第108回)
①瞳孔径は左右とも3mm以上
②脳波上徐波の出現
③微弱な自発呼吸
④脳幹反射の消失
⑤浅昏睡
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正解:4
- 瞳孔径は左右とも3mm以上
判定基準では、瞳孔径は左右とも4mm以上である。 - 脳波上徐波の出現
判定基準では、平坦脳波の出現が必要である。 - 微弱な自発呼吸
判定基準では、自発呼吸の消失が必要である。 - 脳幹反射の消失
判定基準では、脳幹反射の消失が必要である。脳幹反射の詳細は対光反射・角膜反射・毛様脊髄反射・眼球頭反射・前庭反射・咽頭反射・咳反射である。 - 浅昏睡
判定基準では、深昏睡であることが必要である。
脳死の判定基準は①深昏睡、②瞳孔散大、固定の確認、③脳幹反射消失の確認、④平坦脳波の確認(心電図も同時に確認し連続して30分以上かける)、⑤自発呼吸消失の確認、⑥①~⑤までの条件が満たされてから少なくとも6時間(6歳未満の者では24時間)が経過しても変化がないことに該当した場合である。
Q.17
チアノーゼの際の皮膚の色に最も近いのはどれか。(第102回)
①青
②赤
③黄
④白
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正解:1
- 青
チアノーゼの際は、皮膚や粘膜が暗青・暗紫色になる。 - 赤
皮膚は末梢血管の拡張、皮膚の炎症、充血などによって赤くなる。 - 黄
皮膚が黄色になるのは、柑橘類などが原因の柑皮症や、黄疸の症状である。 - 白
寒冷刺激や精神的ストレスによって小動脈が発作的に収縮して、末梢の皮膚色が白色や暗青色から赤紫色を経て赤色に変化するのはレイノー現象である。
チアノーゼには、動脈血の酸素含量の低下による中枢性チアノーゼと、静脈血の酸素含量の低下による末梢性チアノーゼの2つがある。
Q.18
成人の乏尿の基準はどれか。(第98回)
①100mL/日以下
②200mL/日以下
③300mL/日以下
④400mL/日以下
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正解:4
- 100mL/日以下
1日100mL以下は無尿の基準である。 - 200mL/日以下
1日200mL 以下という基準はない。 - 300mL/日以下
1日300mL 以下という基準はない。 - 400mL/日以下
1日400mL以下は乏尿の基準である。
無尿と乏尿の基準は頻出である。
Q.19
生活習慣病はどれか。(第97回)
①髄膜炎
②虚血性心疾患
③関節リウマチ
④アルツハイマー病
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正解:2
- 髄膜炎
髄膜炎は、細菌やウイルスによって髄膜に炎症をきたす。生活習慣病ではない。 - 虚血性心疾患
虚血性心疾患は、心筋梗塞や狭心症であり、多くが動脈硬化に関与している。したがって生活習慣病である。 - 関節リウマチ
関節リウマチは、自己抗体による疾患である。生活習慣病ではない。 - アルツハイマー病
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、脳にアミロイドβ蛋白が蓄積することによって起こる。このメカニズムは明らかになっていないため、生活習慣の影響がないとはいえないが、現時点では生活習慣病とされていない。
- 平成30年(2018年)の生活習慣病の状況は、医療費ベースで多い順に悪性新生物、脳血管疾患、高血圧性疾患、糖尿病、虚血性心疾患である。
Q.20
メタボリックシンドロームと診断する際の必須条件はどれか。(第99回)
①高血圧
②空腹時高血糖
③内臓脂肪型肥満
④高脂血症(脂質異常症)
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正解:3
- 高血圧
メタボリックシンドロームと診断する際のステップ2で、血圧・脂質・血糖(これらの治療歴や喫煙歴を調べる質問票も実施する)について判定する。3つのうち2つ以上に該当するとメタボリックシンドロームとなる。よって高血圧が必須条件とはいえない。 - 空腹時高血糖
解説[1]のとおり、血圧・脂質・血糖の3つのうち2つ以上に該当するとメタボリックシンドロームとなる。よって空腹時高血糖が必須条件とはいえない。 - 内臓脂肪型肥満
メタボリックシンドロームと診断する際には、ステップ1として内臓脂肪蓄積に着目して腹囲をもってリスクを判定する。よって、内臓脂肪型肥満が診断の必須条件である。 - 高脂血症(脂質異常症)
解説[1]のとおり、血圧・脂質・血糖の3つのうち2つ以上に該当するとメタボリックシンドロームとなる。よって高脂血症(脂質異常症)が必須条件とはいえない。
メタボリックシンドロームを日本語に直訳すると代謝症候群となるが、国は「内臓脂肪症候群」としている。