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国家試験対策問題
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第60回 国家試験対策過去問題

国家試験

平成29年(2017年)の人口動態統計における、小児の年齢階級別死因のうち第1位が悪性新生物〈腫瘍〉である年齢階級はどれか。(第110回)

①0歳
②1~4歳
③5~9歳
④10~14歳

  1. 0歳
    0歳の第1位は先天奇形、変形及び染色体異常である。
  2. 1~4歳
    1~4歳の第1位は先天奇形、変形及び染色体異常である。
  3. 5~9歳
    5~9歳の第1位は悪性新生物(腫瘍)である。
  4. 10~14歳
    10~14歳の第1位は自殺である。

死因構造は年齢によって異なる。小児期の場合、年齢は0歳、1~4歳、5~9歳、10~14歳に分類されている。年齢階級別死因の特徴から考えよう。

平成30年(2018年)における我が国の10~14歳の死因の第1位はどれか。(第98回改変)

①自 殺
②心疾患
③悪性新生物
④不慮の事故

  1. 自 殺
    自殺は、平成30年(2018年)の10~14歳の死因の第2位となっている。厚生労働省の自殺対策白書などによると、10歳代前半の自殺の原因の解明は他の世代ほど進んでおらず、自殺予防対策の強化が求められている。
  2. 心疾患
    心疾患は、わが国の10~14歳の死因では第4位である。
  3. 悪性新生物
    悪性新生物は、わが国の10~14歳の死因では第1位である。平成30年(2018年)におけるわが国の死因全体の第1位は、悪性新生物である。
  4. 不慮の事故
    不慮の事故は、わが国の10~14歳の死因では第3位である。0歳では第3位、1~4歳では第2位、5~9歳では第2位である。

死因構造は年齢によって異なる。小児期の場合、年齢は0歳、1歳~4歳、5~9歳、10~14歳に分類されている。平成30年(2018年)の10~14歳の死因は、第1位が悪性新生物(腫瘍)、第2位が自殺、第3位は不慮の事故である。

乳児に水薬を与薬する方法で適切なのはどれか。(第103回追試)

①哺乳瓶の乳首に入れて吸啜させる。
②コップに入れて飲ませる。
③人工乳に混ぜて飲ませる。
④胃管を挿入して注入する。

  1. 哺乳瓶の乳首に入れて吸啜させる。
    哺乳瓶の乳首の部分だけを使い、その中に水薬を入れて乳児に吸啜させると、スムーズに与薬できる。
  2. コップに入れて飲ませる。
    コップを使って飲むことができるようになるのは1歳以降である。
  3. 人工乳に混ぜて飲ませる。
    重要な栄養源であるミルクを嫌いになる可能性がある。また、薬を混ぜたミルクをすべて飲めない場合、必要な薬剤量を投与できなくなるため、絶対にミルクに混ぜてはならない。
  4. 胃管を挿入して注入する。
    胃管の挿入は乳児にとって苦痛であり、治療のために重要な薬をどうしても飲めないなどのやむを得ない場合のみに行う。

乳児は薬を嫌がって吐き出したり、無理に飲ませるとむせて吐いたりすることがあり、飲ませ方に工夫が必要である。水薬の場合は、哺乳瓶の乳首やスポイト、経口用のシリンジを使用するとよい。

女性の第二次性徴に最も関与するホルモンはどれか。(第97回)

①オキシトシン
②エストロゲン
③アンドロゲン
④成長ホルモン

  1. オキシトシン
    オキシトシンは下垂体後葉から分泌される。授乳による吸啜刺激で分泌が促進され、射乳を引き起こす。また子宮収縮に影響するホルモンである。
  2. エストロゲン
    エストロゲンは卵巣から分泌される。第二次性徴の発現や初経は、エストロゲンによって引き起こされる。
  3. アンドロゲン
    アンドロゲンは男性ホルモンであり、精巣のライディッヒ細胞から分泌される。
  4. 成長ホルモン
    成長ホルモンは下垂体前葉から分泌される。

思春期は「性機能の発現開始、すなわち乳房発育、恥毛発生などの第二次性徴出現に始まり、初経を経て第二次性徴の完成と月経周期がほぼ順調になるまでの期間」と定義されている(日本産科婦人科学会)。

低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。(第105回)

①血栓症のリスクは増加しない。
②1日飲み忘れたときは中止する。
③授乳期間を通じて内服は可能である。
④副効用に月経前症候群〈PMS〉の軽減がある。

  1. 血栓症のリスクは増加しない。
    低用量経口避妊薬の内服により、静脈血栓塞栓症のリスクが増加する。
  2. 1日飲み忘れたときは中止する。
    1日1錠の内服で飲み忘れた場合は、なるべく早く服用し、残りの錠剤は予定通りに服用する。
  3. 授乳期間を通じて内服は可能である。
    授乳婦の場合は、低用量経口避妊薬の内服により乳汁分泌量が減少するため使用を避けるべきである。ただし、妊娠のリスクが高い場合は産後6か月以降から服用が可能である。
  4. 副効用に月経前症候群〈PMS〉の軽減がある。
    低用量経口避妊薬の有益な副効用として、月経前症候群(PMS)や月経困難症の軽減、卵巣癌・子宮体癌・子宮内膜症の予防、子宮内膜の症状緩和、過多月経などの抑制効果などがある。

低用量経口避妊薬には、有害な副作用のみならず、有益な副効用があることも押さえておこう。

不妊の原因となるのはどれか。(第103回追試)

①性器ヘルペス
②淋菌感染症
③重複子宮
④高血圧症
⑤糖尿病

  1. 性器ヘルペス
    単純ヘルペスウイルス(HSV)1型、2型を原因とする性感染症(STI)であり、外陰部に疼痛、潰瘍形成がみられる。初感染後に、神経節などに潜伏し、免疫力低下により再発することも多い。産道感染による新生児HSV感染症は重篤であり、帝王切開が選択されるが、適切に治療を行えば、不妊の直接的な原因とはならない。
  2. 淋菌感染症
    淋菌を原因とする性感染症(STI)である。症状が軽度または無症状であるため放置されやすく、子宮頸管炎、尿道炎を起こし、骨盤内炎症性疾患に至ると、不妊の原因となる。
  3. 重複子宮
    子宮奇形の1つである重複子宮は、2つの内腔と2つの頸管をもち、多くは腟中隔を伴う。流早産(不育症)との関連が報告されている。
  4. 高血圧症
    高血圧症の周産期のリスクとして、加重型妊娠高血圧腎症、常位胎盤早期剝離、周産期死亡や早産率の増加があるが、不妊の直接的な原因ではない。
  5. 糖尿病
    妊娠初期の血糖コントロールが不良な場合、先天奇形や流産のリスクが高まるが、不妊の直接的な原因ではない。

不妊症の原因の1つに性感染症(STI)がある。性感染症は従来、STD(sexually transmitted disease)というが、近年、自覚症状を伴わないものや全身症状を伴うものも含めて、STI(sexually transmitted Infection)ということがある。

女性を中心としたケア〈Women centered care〉の概念で適切なのはどれか。(第108回)

①父権主義を否定している。
②周産期にある女性を対象とする。
③全人的な女性という視点を重視する。
④女性特有の疾患に関する看護を行う。

  1. 父権主義を否定している。
    女性を中心としたケアの背景には医療・健康に関するシステムや政策のなかで男性または医療者が主体である現在の医療に対する反省があるが、父権主義を否定しているわけではない。
  2. 周産期にある女性を対象とする。
    必ずしも周産期に限定しているわけではない。
  3. 全人的な女性という視点を重視する。
    全人的(ホリスティック)な女性という視点が重要である。
  4. 女性特有の疾患に関する看護を行う。
    女性特有の疾患に関する医療は性差医療といわれる。女性を中心としたケアは全人的女性という視点を重視するため、女性特有の一部分に注目する看護はこれに当てはまらない。

女性を中心としたケア(Women centered care)は、女性の健康へのアプローチとして、①尊重、②安全、③ホリスティック、④パートナーシップという4つの特徴をもっており、女性が主体であることへの転換を意図している。

妊娠の成立について正しいのはどれか。2つ選べ。(第102回)

①プロラクチンの急増によって排卵が促される。
②排卵後、卵子が受精能を有するのは通常24時間である。
③射精後、精子が受精能を有するのは通常80時間である。
④着床は受精後7日前後である。
⑤受精後、プロゲステロンの分泌がなくなる。

  1. プロラクチンの急増によって排卵が促される。
    卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)により卵胞が成長し、成熟卵胞からは卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、子宮内膜を増殖させる。その後、脳下垂体から黄体形成ホルモン(LH)が急激に分泌され、排卵が起こる。これをLHサージという。プロラクチンは主に乳汁の産生を促進する。
  2. 排卵後、卵子が受精能を有するのは通常24時間である。
    排卵された卵子の受精能は24時間である。
  3. 射精後、精子が受精能を有するのは通常80時間である。
    射精後の精子の受精能は48~72時間である。
  4. 着床は受精後7日前後である。
    排卵された卵子が卵管に取り込まれ、精子が卵子の中に侵入し、両者の核が融合すると、受精が成立する。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管から子宮腔に移動する(卵割)。受精後3日には桑実胚、受精後4~5日後に胚盤胞(胞胚)となり、受精後6~7日目には胞胚は子宮内膜に着床する(=妊娠の成立)。着床後にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が産生される。
  5. 受精後、プロゲステロンの分泌がなくなる。
    妊娠中はプロゲステロンの分泌が増加し、妊娠の維持や妊娠中の排卵抑制の働きをする。

妊娠の成立に関する基本的な知識を問う問題である。ホルモン変化、排卵、受精、着床までの一連の過程について理解しよう。

妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。(第106回)

①風 疹 ― 白内障
②性器へルペス ― 聴力障害
③トキソプラズマ症 ― 先天性心疾患
④性器クラミジア感染症 ― 小頭症

  1. 風 疹 ― 白内障
    先天性風疹症候群の症状は、眼疾患(白内障・緑内障)、先天性心疾患、感音性難聴などで、妊娠10週までの初感染ではほぼ100%発症する。
  2. 性器へルペス ― 聴力障害
    新生児ヘルペスは中枢神経系への感染をきたしやすい。経腟分娩の際、初感染で30~60%の児が感染し、中枢神経型では死亡率15%、全身感染では50%以上であり、重篤な後遺症を残すことが多い。
  3. トキソプラズマ症 ― 先天性心疾患
    先天性トキソプラズマ症は、網脈絡膜炎、脳内石灰化、精神運動障害、小頭症を起こす。妊娠中の初感染の場合、胎児への感染率は15~45%だが、妊娠初期の感染ほど発症率が高い。
  4. 性器クラミジア感染症 ― 小頭症
    産道感染により、新生児にクラミジア結膜炎・咽頭炎・肺炎を発症する。また流早産の原因にもなる。

妊娠中の母体感染症は、母子垂直感染として母体だけでなく胎児・新生児への影響も同時に考慮しなければならない。感染経路しては、胎内感染(経胎盤感染、上行感染)、分娩時感染(経胎盤感染、産道感染)、授乳期感染(母乳感染)がある。

心音の聴取でⅠ音がⅡ音より大きく聴取されるのはどれか。ただし、●は聴取部位を示す。(第108回)


  1. 心臓の左下の部分(左第5肋間の鎖骨中線上)は僧帽弁領域であり、Ⅱ音よりもⅠ音のほうが大きく聴取できる。

  2. 心音の聴取部位ではない。

  3. 第2肋間の胸骨左縁は肺動脈弁領域で、Ⅰ音よりもⅡ音のほうが大きく聴取できる。図は胸骨左縁よりやや左となっている。

  4. 第2肋間の胸骨右縁は大動脈弁領域で、Ⅰ音よりもⅡ音のほうが大きく聴取できる。

Ⅰ音は僧帽弁と三尖弁が閉じる音で、Ⅱ音は肺動脈弁と大動脈弁が閉じる音である。音をよく聴くことができるのは弁の真上ではなく血流に沿った部分で、心臓の左下の部分でⅠ音をⅡ音よりも大きく捉えることができる。

出生前診断を目的とした羊水検査で適切なのはどれか。(第108回)

①先天性疾患のほとんどを診断することができる。
②診断された染色体異常は治療が可能である。
③合併症として流早産のリスクがある。
④妊娠22週以降は検査できない。

  1. 先天性疾患のほとんどを診断することができる。
    羊水検査では胎児の染色体異常や遺伝疾患、絨毛膜羊膜炎や血液型不適合妊娠、母子感染症、胎児肺成熟度の評価などについて診断が行われるが、ほとんどの先天性疾患を診断できるわけではない。
  2. 診断された染色体異常は治療が可能である。
    現在の医療では染色体異常の治療はできない。
  3. 合併症として流早産のリスクがある。
    羊水検査の合併症はまれだが0.1~0.3%にみられる。合併症には破水、感染、子宮収縮、出血、流早産、胎児の損傷などがある。そのうち、流早産のリスクは最も注意すべきである。
  4. 妊娠22週以降は検査できない。
    羊水検査は通常妊娠14週以降(16~18週ころ)に行われる。妊娠22週以降も行うことはでき、羊水中の成分などを測定して子宮内感染や胎児の肺成熟度、胎児のwell-beingの評価などに利用される。

出生前診断とは、妊娠中に胎児の疾患の有無を検査・診断することである。羊水検査は確定的検査(診断がほとんど確定する検査)であるが、侵襲的検査(検査による流産のリスクがある)でもある。

せん妄を起こしやすいのはどれか。(第99回)

①躁うつ病
②摂食障害
③頭部外傷
④人格障害

  1. 躁うつ病
    躁うつ病(気分障害)は、感情障害、欲動・行為の障害、思考障害などが主症状であり、せん妄を起こしやすい症状ではない。
  2. 摂食障害
    摂食障害は、大きく分けると神経性無食欲症、神経性過食症に分類され、食べないもしくは食べた後に自発嘔吐、緩下薬の服用、過食と絶食の繰り返しなどにより、体重増加に抵抗する障害である。
  3. 頭部外傷
    せん妄は意識の清明度の障害であり、器質脳疾患や頭部外傷などで起こしやすくなる。
  4. 人格障害
    人格障害(パーソナリティ障害)は、多くの人とは違う反応、行動、考え方などの特性により、生活様式や対人関係様式などの行動パターンの偏りが社会生活の中で大きな障害になり、本人が苦しんでいたり、周りが困る障害である。

せん妄は、見当識障害、意識混濁、錯覚、幻覚、精神運動興奮・不安などによる意識障害である。せん妄は、身体疾患、器質脳疾患で起こることが多い。突然発生して精神機能の変動をもたらすが、通常回復する。

意識障害を伴わないてんかん発作はどれか。(第103回追試)

①欠神発作

②強直間代発作
③単純部分発作
④複雑部分発作

  1. 欠神発作
    欠神発作では数秒間の意識消失を認めることが多い。
  2. 強直間代発作
    強直間代発作は意識消失を伴う全身性けいれんである。
  3. 単純部分発作
    単純部分発作は意識消失を伴わない。てんかんの国際分類(2010年改訂提案版)では、焦点発作の「意識障害なし」にほぼ相当する。
  4. 複雑部分発作
    複雑部分発作は意識障害を伴う。てんかんの国際分類(2010年改訂提案版)では、焦点発作の「意識障害あり」にほぼ相当する。

てんかんの国際分類(2010年改訂提案版)によると、てんかん発作は全般発作と焦点発作に大別される。1と2が全般発作、3と4は従来の分類名であるが、焦点発作にほぼ相当する。

脳波検査が診断・治療に有用な疾患はどれか。(第98回)

①うつ病
②てんかん
③総合失調症
④パーソナリティ障害

  1. うつ病
    うつ病の診断には使わない。
  2. てんかん
    けいれん発作、意識障害、頭痛などがある場合にてんかんかどうかの検査、てんかんと診断されたときの発作の型、障害の程度などを脳波検査で診断する
  3. 総合失調症
    統合失調症の診断には使わない。
  4. パーソナリティ障害
    人格の障害なので診断には使わない。

精神医学領域での脳波検査は、てんかん、意識障害の症例などに行われる。

てんかんの患者が強直、間代発作(大発作)を起こし畳の上に仰向けに倒れた。正しい対応はどれか。(第95回改変)

①発作の持続時間を観察する。
②上肢を固定し発作を抑制する。
③舌圧子を口腔内に挿入する。
④頸部を固定し保護する。

  1. 発作の持続時間を観察する。
    危険な場所で発作を起こしたときには安全な場所に移動させ、危険物を取り除く。設問では畳の上であるため、ある程度安全であると考えられる。そのうえで発作の継続時間を確認し、発作の様子を観察する。10分以上の発作や発作の繰り返しは要注意である。
  2. 上肢を固定し発作を抑制する。
    呼吸しやすいように、服のボタンやベルトを緩める必要はあるが、発作を抑制しようとしない。
  3. 舌圧子を口腔内に挿入する。
    口腔内に舌圧子や割り箸などを差し込むと口腔内を傷つけたり歯が折れたりする可能性がある。あごを少し挙げて舌を噛まないようにして、口の中には何も挿入しない。
  4. 頸部を固定し保護する。
    安全を確保して、発作が治まるまで見守ることが必要である。

強直・間代発作はてんかんの典型的なけいれん発作であり、意識消失を伴う。大発作ともいう。

Aさんは約1年前から覚醒剤を始め、警察が介入して入院した。Aさんは「覚醒剤を吸引すると気持ちよくなるし、疲れなくなるので止められませんでした」と言う。Aさんの薬物に対する状態はどれか。(第103回追試)

①依 存
②乱 用
③急性中毒
④慢性中毒

  1. 依 存
    Aさんは覚醒剤の使用を繰り返した結果、快楽のために止めたくても止められない依存状態にある。
  2. 乱 用
    乱用は覚醒剤のような精神作用物質を不適切に使用しているが、耐性や離脱といった依存に満たない状態である。
  3. 急性中毒
    覚醒剤の急性中毒の主な症状として、震え、不安、興奮、幻覚、けいれんなどの中枢神経症状、体温・血圧上昇、排尿障害、幻覚・幻聴、錯覚などがある。Aさんに現在このような症状はみられない。
  4. 慢性中毒
    覚醒剤の慢性中毒の症状として、空虚感、悲哀感、社会的ひきこもりを伴う感情鈍麻、フラッシュバック、性格変化などが混在する。Aさんに現在このような症状はみられない。

覚醒剤などの精神作用物質(アルコールを含む)は薬物依存を起こしやすいとともに急性中毒や精神障害(健忘、認知障害、精神病状態)が残る場合もある。薬物依存とは「薬物の作用による快楽を得るために、有害であることを知りながらその薬物を続けて使用せずにいられなくなった状態」である。

20代の女性。交通事故に遭って2か月経過したが、事故の夢を見たり、事故の様子が突然よみがえり怖くて仕事が手につかないと訴えて受診した。この障害はどれか。(第95回)

①人格(パーソナリティ)障害
②感情障害
③心的外傷後ストレス障害
④全般性不安障害

  1. 人格(パーソナリティ)障害
    人格(パーソナリティ)障害は、認知、感情、衝動コントロール、対人関係などの行動特性が一般の人のそれとはかけ離れていることによって、社会生活の中で大きな問題が起こる、人格の障害である。
  2. 感情障害
    感情障害(気分障害)とは、文字通り感情(気分)が下降したり、逆に高揚したりする障害である。
  3. 心的外傷後ストレス障害
    心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受け、著しい苦痛や生活機能の障害によって1か月以上日常生活に支障をきたす場合に診断されるストレス障害である。
  4. 全般性不安障害
    全般性不安障害は、不安の対象がはっきりしない漠然とした不安によりイライラや神経過敏を生じ、それが長期間続き日常生活に支障をきたしてしまう障害である。

この患者の場合は交通事故がトラウマになって心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状がみられている。

パニック発作でみられるのはどれか。(第97回)

①便 秘
②強い怒り
③強い予期不安
④間代性けいれん

  1. 便 秘
    便秘はみられない。
  2. 強い怒り
    怒りではなく、強い不安を伴う。
  3. 強い予期不安
    パニック発作を起こすと、再び発作が起こるのではないかとのおそれや不安を持ち続ける。これを予期不安という。
  4. 間代性けいれん
    間代性けいれんは、筋肉が収縮と弛緩を規則的に交互に繰り返すけいれんのことをいう。てんかん発作でみられる。

パニック発作とは、思いがけない状況で突然強い不安とともに、動悸、息切れ、手足の震えなどを伴う発作である。

強迫症状を持つ患者への看護で適切なのはどれか。(第99回)

①症状の弊害について説明する。
②気にしないように繰り返し話す。
③症状の無意味さについて説明する。
④不安や葛藤のつらさを受け止める。

  1. 症状の弊害について説明する。
    弊害について理解していても、止められずに苦しむため適切ではない。
  2. 気にしないように繰り返し話す。
    気にしないようにしても、気にしてしまうことが症状であり、そのことに苦しむため適切ではない。
  3. 症状の無意味さについて説明する。
    症状の無意味さがわかっても解決しないため適切ではない。
  4. 不安や葛藤のつらさを受け止める。
    不安や葛藤などのつらい感情を受け止めることが大切である。

強迫症状(強迫性障害)は、自分の意志に反して何度も考えが出現し、不安や苦痛をもたらし、考えを打ち消そうとするが成功しない。その考えを打ち消すために確認行動を繰り返してしまう。強迫性障害には強迫観念、強迫行為などがある。

精神遅滞について正しいのはどれか。2つ選べ。(第103回追試)

①適応機能の不全がある。
②有病率は7%程度である。
③知能指数がおよそ70またはそれ以下である。
④他の精神障害が併存する割合は健常児より低い。
⑤検査は改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉が用いられる。

  1. 適応機能の不全がある。
    精神遅滞の程度にもよるが、いろいろな場面で適応機能不全を起こしやすい。
  2. 有病率は7%程度である。
    有病率は約1%前後とされ、男女比は約1.5:1である。
  3. 知能指数がおよそ70またはそれ以下である。
    ICD-10では知能指数(IQ)70未満が精神遅滞に分類される。
  4. 他の精神障害が併存する割合は健常児より低い。
    他の精神障害が併存する割合は健常児よりも高く、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)、てんかん、統合失調症、気分障害の合併がみられる。
  5. 検査は改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉が用いられる。
    HDS-Rは認知症などの機能を評価するスケールである。

知的障害(精神遅滞)は、精神の発達停止または発達不全の状態で、認知、言語、運動および社会的能力など知的水準に関する能力の障害が発達期に明らかになる。

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