Q.1
シーツ交換時にシーツを引っ張る動作でボディメカニクスを応用した姿勢はどれか。(第104回)
①両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
②両足を前後に開き、両膝を曲げる。
③両足をそろえ、両膝を伸ばす。
④両足をそろえ、両膝を曲げる。
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正解:2
- 両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
両膝を伸ばすより曲げたほうがよい。 - 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
最もボディメカニクスを応用した姿勢である。 - 両足をそろえ、両膝を伸ばす。
両足をそろえるよりも前後に開いたほうがよい。また、両膝を伸ばすより曲げたほうがよい。 - 両足をそろえ、両膝を曲げる。
両足をそろえるよりも前後に開いたほうがよい。
両足をそろえた状態よりも開いた状態のほうが支持基底面が広く安定する。支持基底面とは地面や床と接している足の部分だけでなく、足に囲まれた面積全体を指す。また両膝を曲げて重心を低くしたほうが安定する。
Q.2
男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度で最も適切なのはどれか。(第107回)
①30~40度
②80~90度
③120~130度
④160~170度
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正解:2
- 30~40度
30~40度ではない。 - 80~90度
80~90度が適切である。 - 120~130度
120~130度ではない。 - 160~170度
160~170度ではない。
男性に導尿を行う際には、消毒後にカテーテルに潤滑剤を多めに付け、陰茎を腹壁に対して垂直に保持してカテーテルを挿入する。垂直にすると解剖学的に尿道が直線になるためである。挿入の途中、尿道球部で抵抗を感じるので、角度を下腿側に傾けて挿入を容易にする。バルーンのあるカテーテルの場合、規定の長さ(18~20cm)まで挿入したら陰茎を下肢のほうへ倒して尿の流出を確認してからバルーンを膨らませる。留置する場合は陰茎を下腹側に倒すように固定する。
Q.3
弛緩性便秘の患者に対する食事指導で適切なのはどれか。(第99回)
①水分摂取の制限
②脂肪の多い食品の摂取の制限
③塩分の多い食品の摂取の推奨
④食物残渣の多い食品の摂取の推奨
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正解:4
- 水分摂取の制限
弛緩性便秘の予防には十分な水分摂取が必要である。制限はしない。 - 脂肪の多い食品の摂取の制限
脂肪の多い食事を大量に摂ると下痢をすることからわかるように、適度の脂肪の摂取は弛緩性便秘の予防に効果がある。制限はしない。 - 塩分の多い食品の摂取の推奨
塩分の多い食品の摂取は弛緩性便秘の予防と関係がない。電解質ではマグネシウムに緩下作用がある。 - 食物残渣の多い食品の摂取の推奨
食物繊維が消化管で食物残渣となるので食物残渣の多い食品の摂取は推奨される。
弛緩性便秘では、食物繊維の不足や運動不足などにより腸蠕動の低下が起こる。なお、『慢性便秘症診療ガイドライン2017』では、慢性便秘(症)を、原因から器質性・機能性に、症状から排便回数減少型・排便困難型に、病態から大腸通過正常型・大腸通過遅延型・便排出障害に分類している。
Q.4
尿の回数が異常に多い状態を表すのはどれか。(第103回)
①頻 尿
②乏 尿
③尿 閉
④尿失禁
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正解:1
- 頻 尿
通常よりも尿の回数が異常に多い状態を頻尿という。排尿回数は個人差があるが、昼間は8回以上、夜間は2回以上を頻尿の目安とする。 - 乏 尿
1日尿量が400mL以下の場合を乏尿という。なお、100mL以下の場合を無尿という。 - 尿 閉
尿の生成はできているにもかかわらず、膀胱内の尿が自然排泄できない状態を尿閉という。 - 尿失禁
膀胱で尿の貯留・排泄をコントロールする機能が破綻し、尿を意識的に抑制できず、不随意に排泄する状態を尿失禁という。
排尿に関連する症状の名称と定義を整理しておこう。
Q.5
貧血の診断に用いられるのはどれか。(第100回)
①ヘモグロビン濃度
②収縮期血圧
③血糖値
④尿酸値
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正解:1
- ヘモグロビン濃度
ヘモグロビン濃度の基準値は男性13.5~17.5g/dL、女性11.5~15.0g/dLである。覚えるときは単位にも注意を払うこと。 - 収縮期血圧
貧血と収縮期血圧に関連はない。高血圧とは収縮期血圧が140mmHg以上かつ、または拡張期血圧が90mmHg以上をいう(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019より)。 - 血糖値
貧血と血糖値に関連はない。血糖値の基準値は空腹時で70~110mg/dL、食後2時間で140mg/dL未満である。覚えるときは単位にも注意を払うこと。 - 尿酸値
貧血と尿酸値に関連はない。尿酸値の基準値は男性3.8~7.0mg/dL、女性2.5~7.0mg/dLである。覚えるときは単位にも注意を払うこと。
ヘモグロビン濃度はヘモグロビン量ともいう。単位はg/dLである。主な貧血の指標にはヘモグロビン濃度の他、赤血球数・ヘマトクリットなどがある。
Q.6
鮮紅色の下血が見られた時の出血部位で正しいのはどれか。(第108回)
①胃
②食 道
③直 腸
④十二指腸
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正解:3
- 胃
胃から大量の出血があった場合には、タール便や暗赤色便が排泄される。 - 食 道
食道からの出血の場合には、タール便や暗赤色便が排泄される。 - 直 腸
直腸からの出血の場合には、鮮紅色となる。 - 十二指腸
十二指腸からの出血の場合には、タール便が排出される。
下血とは消化管からの出血が肛門から排出されることで、大腸癌や潰瘍性大腸炎などで見られる。胃~大腸の出血ではタール便や血便として排泄されるが、腸内停留時間が短い直腸からの出血の場合は鮮紅色となる。
Q.7
高齢者の転倒による骨折が最も多い部位はどれか。(第103回)
①頭蓋骨
②肩甲骨
③肋 骨
④尾 骨
⑤大腿骨
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正解:5
- 頭蓋骨
転倒によって頭蓋骨を折ることもあるが代表的とまではいえない。 - 肩甲骨
肩甲骨は該当しない。 - 肋 骨
転倒によって肋骨を折ることもあるが代表的とまではいえない。 - 尾 骨
転倒によって尾骨を折ることもあるが代表的とまではいえない。 - 大腿骨
高齢者の転倒で多発するのが大腿骨頸部骨折と大腿部転子部骨折である。骨粗鬆症が関連しているため女性に多い。
高齢者の転倒による骨折で多い部位は大腿骨、脊椎、上腕骨、橈骨である。
Q.8
神経性食欲不振症の症状または所見はどれか。(第102回)
①発 熱
②咳 嗽
③徐 脈
④高血圧
⑤過多月経
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正解:3
- 発 熱
低栄養状態となるため、低体温を生じやすい。 - 咳 嗽
ほかに疾患がなければ咳嗽は生じない。 - 徐 脈
低栄養状態となるため、徐脈を生じやすい。 - 高血圧
低栄養状態となるため、低血圧が生じやすい。 - 過多月経
低栄養状態となるため、無月経が生じやすい。
神経性食欲不振症は、DSM-5では「神経性やせ症/神経性無食欲症」という名称になった。
Q.9
副腎皮質ステロイド薬の長期投与による有害作用はどれか。(第95回)
①骨粗鬆症
②血圧低下
③聴力障害
④低血糖
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正解:1
- 骨粗鬆症
副腎皮質ステロイドは破骨細胞の成熟を促し、骨芽細胞を衰えさせるので骨量が減少し、長期使用で骨粗鬆症のリスクがある。 - 血圧低下
副腎皮質ステロイドの中には主に敗血症性ショックの治療に使用するものがある。細胞膜を安定化する作用がショック状態を改善するためである。また電解質コルチコイド作用も併せ持つ種類があり血圧を上昇させる作用を持つが低下はさせない。 - 聴力障害
副腎皮質ステロイド薬の長期使用により聴力障害は生じない。 - 低血糖
副腎皮質ステロイド薬は糖新生を促進し、血糖値を上昇させるため、低血糖ではなく高血糖になりやすい。
副腎皮質ステロイド薬の作用と副作用は頻出である。
Q.10
副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。(第104回)
①ジゴキシン
②インスリン
③フェニトイン
④ワルファリン
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正解:2
- ジゴキシン
強心薬であるジゴキシンの副作用は不整脈、消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)、視覚異常(光がないのにチラチラする、複視など)がある。低血糖症状はない。 - インスリン
糖尿病ではインスリンを用いて血糖値をコントロールするが、体調や食事、運動量などが影響して低血糖となる可能性がある。 - フェニトイン
フェニトインは抗てんかん薬である。副作用には悪性症候群、間質性肺炎、横紋筋融解症、肝機能障害などの重篤なものから骨の形成障害、歯肉増殖など多岐にわたるが、低血糖症状はない。 - ワルファリン
ワルファリンは抗血栓薬である。副作用は出血傾向や肝機能障害などがあるが、低血糖症状はない。
低血糖はインスリンの最も注意すべき副作用として覚えておきたい。
Q.11
日本の令和元年(2019年)における家族の世帯構造で最も少ないのはどれか。(第105回改変)
①単独世帯
②三世代世帯
③夫婦のみの世帯
④夫婦と未婚の子のみの世帯
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正解:2
- 単独世帯
単独世帯は全世帯の28.8%で、選択肢の中では最も多い。 - 三世代世帯
三世代世帯は平成元年(1989年)には14%台であったが、減少傾向にあり令和元年(2019年)には5.1%と過去最低となった。最も少ないのは三世代世帯である。 - 夫婦のみの世帯
夫婦のみの世帯は全世帯の24.4%で、選択肢の中では3番目に多い。 - 夫婦と未婚の子のみの世帯
夫婦と未婚の子のみの世帯は全世帯の28.4%で、選択肢の中で2番目に多い。
世帯構造に関して、過去の推移も踏まえて整理しておこう。
Q.12
令和2年(2020年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。(第109回改変)
①77年
②82年
③88年
④92年
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正解:3
- 77年
77年より長い。 - 82年
82年より長い。 - 88年
88年が最も近い。 - 92年
92年より短い。
令和2年(2020年)簡易生命表による平均余命(平均寿命)は、男性81.64年、女性87.74年で、男女とも前年より伸びている。
Q.13
我が国の令和2年(2020年)の死因順位の第1位はどれか。(第97回改変)
①肺 炎
②脳血管疾患
③悪性新生物
④不慮の事故
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正解:3
- 肺 炎
肺炎は死因順位の第5位(5.7%)であった。 - 脳血管疾患
脳血管疾患は死因順位の第4位(7.5%)であった。 - 悪性新生物
悪性新生物は死因順位の第1位(27.6%)であった。 - 不慮の事故
不慮の事故は死因順位の第7位(2.8%)であった。
1981年以降、悪性新生物は死因の第1位である。最近の死因に関するトピックとしては、多い順に悪性新生物→心疾患→脳血管疾患だったものが、平成30年(2018年)に悪性新生物→心疾患→老衰になったことである。
Q.14
我が国の令和2年(2020年)の死亡総数に対する悪性新生物の割合に最も近いのはどれか。(第96回改変)
①7%
②17%
③27%
④37%
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正解:3
- 7%
7%ではない。 - 17%
17%ではない。 - 27%
約27%であった。 - 37%
37%ではない。
1981年以降、悪性新生物は死因の第1位である。令和2年(2020年)の死亡総数に対する悪性新生物の割合は27.6%であった。
Q.15
水平移動時の移送方法の写真を別に示す。適切なのはどれか。(第103回)

①1
②2
③3
④4
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正解:3
- ①
水平移動では患者の足側から進行方向へ進むが、写真は頭側から進んでいるうえに、進行方向側でストレッチャーを操作する看護師が進む方向を向いていないため不適切である。 - ②
水平移動では患者の足側から進行方向へ進むが、写真は頭側から進んでいるので不適切である。 - ③
患者の足側から進行方向へ進み、進行方向側でストレッチャーを操作する看護師が進む方向を向いているので適切である。 - ④
水平移動では患者の足側から進行方向へ進む。進行方向側でストレッチャーを操作する看護師が進む方向を向いていなければならない。
水平移動では患者の足側から進行方向へ進み、進行方向側でストレッチャーを操作する看護師が進む方向を向いているのが適切である。
Q.16
成人の鼻孔から噴門までの長さで適切なのはどれか。(第104回)
①5~15cm
②25~35cm
③45~55cm
④65~75cm
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正解:3
- 5~15cm
5~15cmではない。 - 25~35cm
25~35cmではない。 - 45~55cm
成人の鼻孔から噴門までの長さを合計すると約47cmとなり、適切である。 - 65~75cm
65~75cmではない。
鼻腔入口から咽頭の長さが約10cm、咽頭の長さが約12cm、食道の長さが約25cmであるため、合計すると約47cmとなる。
Q.17
生理食塩水の塩化ナトリウム濃度はどれか。(第104回)
①0.9%
②5%
③9%
④15%
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正解:1
- 0.9%
生理食塩水は0.9%の濃度の塩化ナトリウム水溶液である。 - 5%
5%の濃度ではない。 - 9%
9%の濃度ではない。 - 15%
15%の濃度ではない。
血漿と浸透圧が等しい溶液には、0.9%生理食塩水と、5%ブドウ糖液がある。
Q.18
要介護者に対し看護、医学的管理の下において必要な医療や日常生活上の世話を行う施設はどれか。(第104回)
①授産施設
②保健センター
③介護老人保健施設
④特別養護老人ホーム
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正解:3
- 授産施設
生活保護法による授産施設は「身体上もしくは精神上の理由または世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労または技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設」である。授産とは、産=生活に必要な手段(職業)を授けるという意味である。助産と間違えないようにする。設問のように要介護者を対象とする施設ではない。 - 保健センター
保健センターは地域保健法に規定されている。保健所は広域的・専門的なサービスを実施し、乳幼児健診・訪問指導・健康相談など住民に身近な保健サービスは市区町村保健センターが担う。要介護者を対象とする施設ではない。 - 介護老人保健施設
介護老人保健施設は病状が安定期にあり入院加療の必要がなく、在宅復帰を目指している入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリテーション・必要な医療、介護などを提供する介護保険施設である。特別養護老人ホームとの違いは医療の提供があることである。 - 特別養護老人ホーム
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、常に介護が必要で自宅での生活が困難な人に、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供する介護保険施設である。入所する場合は、原則として要介護3以上であることが必要である。
医療・保健・福祉に関する施設の定義を整理しておこう。
Q.19
介護保険法に基づき設置されるのはどれか。(第107回)
①老人福祉センター
②精神保健福祉センター
③地域包括支援センター
④都道府県福祉人材センター
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正解:3
- 老人福祉センター
老人福祉センターは老人福祉法に基づき設置されている。地域の高齢者に対して、各種の相談に応じ、健康増進、教養向上、レクリエーションの場を総合的に提供している。 - 精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、都道府県が設置している。精神保健福祉の総合的なセンターとして、関係諸機関に対する助言・援助、困難事例に特化した相談支援、調査研究、精神医療審査会の事務などの業務を行っている。 - 地域包括支援センター
地域包括支援センターは平成18年(2006年)の介護保険法改正により、市町村に設置されている。業務は高齢者・その家族の相談支援や、権利擁護(虐待の早期発見など)、包括的かつ継続的なケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの役割を担う。 - 都道府県福祉人材センター
都道府県福祉人材センターは社会福祉法に基づき、都道府県社会福祉協議会に設置されている。社会福祉従事者に対する無料職業紹介事業、就業の促進に関する情報の提供、相談援助などを行う。
さまざまな施設の設置の根拠となる法律を整理しておこう。
Q.20
高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近いのはどれか。(第105回)
①45%
②55%
③65%
④75%
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正解:2
- 45%
45%は低すぎる。 - 55%
最も近いのは55%である。 - 65%
65%は高すぎる。 - 75%
75%は高すぎる。
体重に占める水分量の割合は新生児期が最も高く80%で、乳児期70%、幼児期~成人期で60%となり、老年期にはさらに低下し、50~55%となる。