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国家試験対策問題
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第108回 国家試験対策過去問題

国家試験

学童期の脈拍数の基準値はどれか。(第111回)

①50~70/分
②80~100/分
③110~130/分
④140~160/分

  1. 50~70/分
    50~70/分ではない。
  2. 80~100/分
    学童期の脈拍数の基準値は80~100/分である。正しい。
  3. 110~130/分
    110~130/分は乳児期の脈拍数の基準値である。
  4. 140~160/分
    140~160/分ではない。

乳児期、幼児期、学童期のバイタルサインの基準値をおさえておくこと。

令和2年度(2020年度)の学校保健統計調査における学童期の異常被患率で最も高いのはどれか。(第110回改変)

①高血圧
②摂食障害
③心電図異常
④むし歯(う歯)

  1. 高血圧
    高血圧は学校保健統計調査の項目にはない。
  2. 摂食障害
    摂食障害は学校保健統計調査の項目にはない。栄養状態という項目はあるが2.03%で最も高くはない。
  3. 心電図異常
    心電図異常は2.52%で、最も高くはない。
  4. むし歯(う歯)
    学童期(小学校)に最も高い異常はう歯(むし歯)で、40.21%であった。

令和2年度(2020年度)の学校保健統計調査において学童期に最も被患率が高い異常はう歯である。次に高いのは裸眼視力の低下(37.52%)である。

エリクソン,E.H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。(第109回)

①生殖性 対 停 滞
②勤勉性 対 劣等感
③自主性 対 罪悪感
④同一性 対 同一性混乱

  1. 生殖性 対 停 滞
    生殖性 対 停滞は、成人期に生じる。
  2. 勤勉性 対 劣等感
    勤勉性 対 劣等感は、学童期に生じる。
  3. 自主性 対 罪悪感
    自主性 対 罪悪感は、遊戯(幼児)期である。
  4. 同一性 対 同一性混乱
    同一性(アイデンティティ)の確立 対 同一性の混乱は、青年期である。

エリクソンの発達課題は頻出である。各期の発達の特徴を覚えておこう。

QOLを評価する項目で最も重要なのはどれか。(第107回)

①高度医療の受療
②本人の満足感
③乳児死亡率
④生存期間

  1. 高度医療の受療
    高度医療の受療を個人が希望しているとは限らないため、QOLの評価には向いていない。
  2. 本人の満足感
    本人の満足感が最も重要な評価項目である。
  3. 乳児死亡率
    乳児死亡率はQOLの評価項目ではない。
  4. 生存期間
    単に生存期間を延長するだけではQOLの向上にはつながらず、評価項目として重要ではない。

QOL(quality of life)は人生の質、生活の質などと訳され、評価するうえでは本人の満足感が最も重要である。

保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。(第100回)

①応招義務
②守秘義務
③処方箋交付の義務
④セカンドオピニオン提供の義務 

  1. 応招義務
    応招義務は医師や歯科医師にあり、看護師にはない。医師法で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とあり、要件については昭和24年(1949年)の厚生省の通達と令和元年(2019年)12月の厚生労働省通達がある。
  2. 守秘義務
    保健師助産師看護師法の第42条の2で「保健師、看護師、准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師、准看護師でなくなつた後においても、同様とする」と守秘義務が規定されている。なお、助産師の守秘義務は、刑法に規定されている。
  3. 処方箋交付の義務
    処方箋交付の義務とは医師法22条に定められた「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者または現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければならない」のことである。医師や歯科医師にあり、看護師にはない。
  4. セカンドオピニオン提供の義務
    日本医師会の指針では、医師は患者が希望した場合、または必要な場合には患者に(他の医師に)セカンドオピニオンを求めることを勧めることが望ましいとしている。

保健師助産師看護師法では免許・試験・業務・処分と再教育研修・守秘義務・名称独占などについて規定している。

業務に従事する看護師は、( )年ごとに保健師助産師看護師法に定める届出をしなければならない。( )に入る数字はどれか。(第108回)

①1
②2
③3
④4

  1. 1
    1年ごとではない。
  2. 2
    2年ごとに届出をしなければならない。
  3. 3
    3年ごとではない。
  4. 4
    4年ごとではない。

保健師助産師看護師法の第33条において、業務に従事する保健師、助産師、看護師、准看護師は2年ごとに氏名、住所などを就業地の都道府県知事に届け出ることが義務づけられている。

国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。(第106回)

①疾病の回復
②医師の補助
③苦痛の緩和
④薬剤の投与

  1. 疾病の回復
    疾病の回復は看護師の基本的責任とされていない。
  2. 医師の補助
    医師の補助は看護師の基本的責任とされていない。
  3. 苦痛の緩和
    苦痛の緩和が該当する。
  4. 薬剤の投与
    薬剤の投与は看護師の基本的責任とされていない。

1953年に採択され、その後2021年に改訂された国際看護師協会(ICN)による看護師の倫理綱領の前文には「看護師は一貫して次の4つの基本的な看護の責任を意識してきた。すなわち、健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和と尊厳ある死の推奨である。看護のニーズは普遍的である」とある。なお、これを踏まえて日本看護協会が2021年に公表した「看護職の倫理綱領」の前文にも、看護の目的として上記の4つが挙げられている。

介護保険制度における居宅サービス費の利用者負担の割合はどれか。(第100回改変)

①1 割
②2 割
③所得により1割と2割がある
④所得により1割と3割がある
⑤所得により1割と2割と3割がある

  1. 1 割
    1割ではない。
  2. 2 割
    2割ではない。
  3. 所得により1割と2割がある
    1割と2割ではない。
  4. 所得により1割と3割がある
    1割と3割ではない。
  5. 所得により1割と2割と3割がある
    利用者負担の割合は所得に応じて設定されており、1割または一定以上の所得がある場合は2割、特に所得の多い場合は3割になる。

平成30年(2018年)に介護保険法の改正が施行され、特に所得の高い者の自己負担が3割となった。平成30年(2018年)に介護保険制度における居宅サービス費の原則的な利用者負担の割合は所得により1割と2割から、1割と2割と3割になった。

医療保険の給付の対象となるのはどれか。(第101回)

①健康診断
②予防接種
③美容整形
④疾病の診察

  1. 健康診断
    健康診断は含まれない。
  2. 予防接種
    予防接種は含まれない。
  3. 美容整形
    美容整形は含まれない。
  4. 疾病の診察
    疾病の診察は該当する。

医療保険の給付は診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護である。

男女雇用機会均等法の目的はどれか。(第99回)

①子の看護休暇の取得促進
②女性の最低労働基準の設定
③雇用分野における男女差別の解消
④就業制限業務の規定による女性の保護

  1. 子の看護休暇の取得促進
    子の養育、または家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を目的として、育児休業及び介護休業に関する制度と子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を定めているのは、育児介護休業法であるが、子の看護休暇の取得の促進を目的としているわけではない。
  2. 女性の最低労働基準の設定
    男女を区別せずに最低労働基準の設定を規定しているのは労働基準法なので、女性についても同法が規定していることになる。
  3. 雇用分野における男女差別の解消
    男女雇用機会均等法は雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を図る、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的としている。雇用分野における男女差別の解消は目的であると判断できる。
  4. 就業制限業務の規定による女性の保護
    就業制限業務を規定することによって女性を保護しているのは労働基準法である。

必修問題で男女雇用機会均等法といえば妊娠中と出産後の健康管理に関する措置が頻出であるが、婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止や職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(いわゆるセクハラ防止の措置)などにも注意を払っておく。

日本の令和元年(2019年)における業務上疾病で発生件数が最も多いのはどれか。(第105回改変)

①振動障害
②騒音による耳の疾患
③負傷に起因する疾病
④じん肺症及びじん肺合併症

  1. 振動障害
    振動障害は4件であった。
  2. 騒音による耳の疾患
    騒音による耳の疾患は9件であった。
  3. 負傷に起因する疾病
    最も多かったのが負傷に起因する疾病(72.4%)で、その1つである災害性腰痛が全体の61.8%を占める。出題時、最も多いのが腰痛であると覚えていたものの、それが「負傷に起因する疾病」であると自信をもって選べない受験生がいたことに注意したい。
  4. じん肺症及びじん肺合併症
    じん肺症及びじん肺合併症は164件であった。

令和元年(2019年)の休業4日以上の業務上疾病の総数は8,310件である。

令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。(第109回改変)

①7%
②17%
③27%
④37%

  1. 7%
    7%は女性の割合に近い。
  2. 17%
    17%ではない。
  3. 27%
    27.1%なので、これが最も近い。
  4. 37%
    37%ではない。

令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査による20歳以上の者の喫煙習慣者の割合は、男性27.1%、女性7.6%であった。

我が国の令和2年(2020年)の女性の平均寿命に最も近いのはどれか。(第97回改変)

①67年
②77年
③87年
④97年

  1. 67年
    67年ではない。
  2. 77年
    77年ではない。
  3. 87年
    女性の平均寿命は87.74年、男性は81.64年であった。なお、前年(令和元年)は女性87.45年、男性81.41年だったので伸びていることになる。
  4. 97年
    97年ではない。

0歳の平均余命である平均寿命について女性と男性の数値は必須の項目である。

令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における平均世帯人数はどれか。(第109回改変)

①1.39
②2.39
③3.39
④4.39 

  1. 1.39
    平均世帯人数が1.39人まで低下したことはない。
  2. 2.39
    令和元年(2019年)の国民生活基礎調査による平均世帯人数は2.39人であった。ここ2~3年は微減傾向である。
  3. 3.39
    3.39ではない。昭和45年(1970年)は3.45人であった。
  4. 4.39
    4.39ではない。昭和28年(1953年)は5人であった。

平均世帯人数は、ここ2~3年は微減傾向である。

令和2年における我が国の合計特殊出生率に最も近いのはどれか。(第98回改変)

①0.9
②1.4
③1.8
④2.1 

  1. 0.9
    日本で0.9という水準になったことはない。 
  2. 1.4
    令和2年の合計特殊出生率は1.34で、令和元年は1.36なので低下した。1.4が最も近い。
  3. 1.8
    1.8は1980年ころの水準である。
  4. 2.1
    2.1は1970年ころの水準である。

合計特殊出生率については1990年の1.57ショック(前年の合計特殊出生率が1.57であることがわかり、それまで過去最低であった1966年の合計特殊出生率1.58を下回ったこと)と2005年の1.26ショックを知っておきたい。2005年以降は1.26より低い水準にはなっていない。

日本における令和2年(2020年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。(第108回改変)

①18%
②28%
③38%
④48% 

  1. 18%
    過去において18%程度だったのは平成12年(2000年)ころである。
  2. 28%
    令和2年(2020年)における、65歳以上の人である老年人口の割合は28.6%で、前年の28.4%より増加した。
  3. 38%
    将来的な推計〔出生中位(死亡中位)〕では、令和37年(2055年)に38.0%、令和47年(2065年)に38.4%に達するとされる。
  4. 48%
    48%ではない。

日本における令和2年(2020年)の総人口に占める老年人口の割合は28.6%であった。年少人口と生産年齢人口は少しずつ減少している中、老年人口は上昇を続けている(令和2年国勢調査人口基本集計結果)。

骨髄抑制が出現するのはどれか。(第108回)

①麻 薬
②利尿薬
③抗癌薬
④強心薬

  1. 麻 薬
    麻薬は悪性腫瘍末期などに鎮痛の目的で使用される。副作用には呼吸抑制などがある。
  2. 利尿薬
    利尿薬は高血圧症、浮腫、心不全に用いられる。副作用には低カリウム血症、高尿酸血症などがある。
  3. 抗癌薬
    骨髄抑制が副作用であるのは抗癌薬である。
  4. 強心薬
    強心薬は心不全の治療に用いる。副作用には不整脈、悪心・嘔吐、下痢などがある。

骨髄は造血組織であり、骨髄抑制とは赤血球・白血球・血小板の産生が低下することである(汎血球減少ともいう)。骨髄抑制による赤血球減少では貧血、白血球減少では易感染、血小板減少では出血傾向がみられる。

抗血小板作用と抗炎症作用があるのはどれか。(第103回)

①ヘパリン
②アルブミン
③アスピリン
④ワルファリン

  1. ヘパリン
    ヘパリン(ヘパリンナトリウム)は抗凝固薬で、作用機序は血液凝固因子の阻害である。
  2. アルブミン
    アルブミンは血漿蛋白の1つである。熱傷・ネフローゼ症候群などによるアルブミンの喪失、肝機能低下によるアルブミン合成低下に対して与薬する。血漿膠質浸透圧が維持できるようになり循環血液量を正常化させる。
  3. アスピリン
    アスピリンは低用量で抗血小板作用を示し、狭心症や心筋梗塞などの疾患について血栓・塞栓形成を抑制するために用いられる。また通常容量では、抗炎症・解熱・鎮痛作用を示す。
  4. ワルファリン
    ワルファリン(ワルファリンカリウム)はビタミンK依存性凝固因子の合成を阻害する抗凝固作用をもつ。

各薬剤の作用や適応を整理しておこう。

急性の頭痛を起こす可能性が最も高いのはどれか。(第104回)

①複 視
②外斜視
③緑内障
④眼瞼下垂

  1. 複 視
    複視とは物がだぶって見えることをいう。斜視や動眼神経麻痺、外転神経麻痺など脳神経の障害によるものが多く、急性の頭痛は起こらない。
  2. 外斜視
    外斜視とは右眼か左眼どちらかの視線が外側に向かっている状態のことをいう。正しく視線を調節しようとすることによって慢性の頭痛や肩こり、眼精疲労などを生じることがあるが、急性の頭痛を起こすことはない。
  3. 緑内障
    緑内障には開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障がある。閉塞隅角緑内障では、後眼房の圧が上昇することにより隅角が閉塞して房水の流出障害が起こる。これにより眼圧が上昇し、眼の痛み、頭痛、悪心・嘔吐、視力低下などが生じる。急性の頭痛が起こる可能性が最も高い。
  4. 眼瞼下垂
    眼瞼下垂とは、加齢や、上眼瞼を持ち上げる筋肉や腱の異常により眼瞼が下がってきた状態をいう。見えにくさを感じるため、慢性の頭痛や肩こり、眼精疲労などを生じる可能性はあるが、急性の頭痛を起こすことはない。

眼科疾患の随伴症状を整理しておこう。

咳嗽が起こりやすいのはどれか。(第105回)

①右心不全
②左心不全
③心筋梗塞
④肺梗塞 

  1. 右心不全
    心不全は心臓のポンプ機能が低下した結果、組織が必要とする血液量に見合う心拍出量が維持できない状態である。右心不全では右心系のポンプ機能が障害されるために、静脈系の血液のうっ滞が起こる。症状としては浮腫・頸静脈怒張・肝腫大・腹水などを生じる。
  2. 左心不全
    心不全は心臓のポンプ機能が低下した結果、組織が必要とする心拍出量が維持できない状態である。左心不全では左心系のポンプ機能が障害されるために、肺から肺静脈を通って左心房へ送られるはずの血液が停留して肺うっ血をきたす。症状として呼吸困難・咳嗽・泡沫状血痰などを生じる。
  3. 心筋梗塞
    心筋梗塞は冠状動脈が動脈硬化やアテロームによって完全に閉塞することによってその冠状動脈の灌流域の心筋が壊死に至り、心筋の収縮力が失われて心拍出量が低下する。症状は胸痛・呼吸困難などである。心筋梗塞から急性心不全に陥る可能性もある。
  4. 肺梗塞
    肺梗塞は静脈から肺動脈へと塞栓子(血栓・脂肪栓子など)が流れ、肺動脈を閉塞させ、肺の組織が壊死に至ったものである。胸痛・呼吸困難が主な症状である。

気道内の異物や分泌物を除去するための生体の防御反応の1つとして、咳嗽が起こる。

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