Q.1
82歳の男性。介護老人保健施設に入所中。脳卒中による片麻痺はあるが他に慢性疾患はない。8月のある朝ケアワーカーから元気がないと看護師に相談があった。体温37.5℃、意識レベルや他のバイタルサインに異常はない。皮膚は乾燥気味。最後の排尿は昨夜で濃縮尿だが混濁や排尿時痛はなかった。下痢や嘔吐はない。対応で優先度が高いのはどれか。(第99回)
①絶飲食とする。
②水分を摂取してもらう。
③角砂糖を摂取してもらう。
④抗菌薬の使用を医師と相談する。
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正解:2
- 絶飲食とする。
下痢や嘔吐など消化器症状はみられておらず絶飲食にする必要はない。 - 水分を摂取してもらう。
皮膚の乾燥や体温上昇がみられており高張性(水欠乏)性脱水が考えられるため、水分摂取を促す。 - 角砂糖を摂取してもらう。
低血糖ではないため不適切である。 - 抗菌薬の使用を医師と相談する。
発熱はみられるが濃縮尿や皮膚の乾燥などから、感染よりも脱水を疑う。
脱水症は、細胞外液の血漿中のナトリウム濃度により高張(水欠乏)性脱水、低張(ナトリウム欠乏)性脱水、等張(混合)性脱水に分類される。
Q.2
老人性白内障の症状で正しいのはどれか。(第105回)
①涙が流れ出る状態が続く。
②小さい虫が飛んでいるように見える。
③明るい場所ではまぶしくてよく見えない。
④遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
⑤暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。
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正解:3
- 涙が流れ出る状態が続く。
涙が流れ出る状態が続くのは、結膜炎や花粉症などでみられる症状である。 - 小さい虫が飛んでいるように見える。
小さい虫が飛んでいるように見えるのは、飛蚊症の症状である。 - 明るい場所ではまぶしくてよく見えない。
老人性白内障は加齢により水晶体が混濁した状態であり、視力低下、霧視(かすんで見える)、羞明(まぶしく感じる)などの症状が現れる。 - 遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
老人性白内障では、遠見視力·近見視力はともに低下する。 - 暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。
明暗順応の時間は加齢とともに増加するが、老人性白内障の症状ではない。
高齢者は加齢による視覚機能の低下に加え、疾患による影響により老人性白内障·加齢黄斑変性·緑内障などになりやすい。
Q.3
Aさん(80歳、女性)は、脳血管性認知症、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で施設に入所している。看護師が「お風呂に入りますよ」と声をかけると、Aさんは「男の人は入っていないか」と尋ねる。看護師が「男の人はいませんよ」と説明するが、Aさんは「本当にいないのか」と繰り返し、なかなか納得しない。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。(第102回)
①「男の人はいないから行きましょう」
②「お風呂に入ったら気持ちよくなりますよ」
③「遅くなるとお風呂に入れなくなりますよ」
④「男の人がいないことを一緒に確認してみましょうか」
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正解:4
- 「男の人はいないから行きましょう」
言葉だけの説明ではAさんの納得が得られない。 - 「お風呂に入ったら気持ちよくなりますよ」
Aさんの気がかりなことは男の人が入っていないかどうかなので、お風呂に入ったら気持ちよくなりますよと言っても話がずれてしまい納得しない。 - 「遅くなるとお風呂に入れなくなりますよ」
遅くなるとお風呂に入れなくなりますよと言っても、気がかりなことへの対応になっていない。 - 「男の人がいないことを一緒に確認してみましょうか」
「男の人がいないか、一緒に確認してみましょう」など、心配な点を事前に確認すると、納得が得られる。
MMSEの得点から中等度の認知症高齢者であるが、援助の基本は程度を問わず同じである。人権の尊重として、性への配慮を考える。
Q.4
認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。(第108回)
①表情を見せながら話す。
②高齢者の横から話しかける。
③会話の内容を記憶しているか確認する。
④言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
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正解:1
- 表情を見せながら話す。
認知症高齢者は注意障害や言葉による理解ができない場合があるので、ケア提供者は認知症高齢者の視野に入り、表情と言動を一致させてコミュニケーションをとることが大切である。 - 高齢者の横から話しかける。
認知症高齢者は言語的コミュニケーションが困難になるため、非言語的コミュニケーションを用い、高齢者の正面から安心できる雰囲気をつくることが大切である。 - 会話の内容を記憶しているか確認する。
認知症高齢者では、記憶力や理解力の障害が認められる。記憶内容の確認は高齢者の自尊心の低下につながるため行わない。 - 言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
高齢者は注意機能が低下しており、物の名前や人の名前が出てこないことがしばしばあり、時間をかけても困難である。言葉が出てこないときは、メモや連想などで補うことが有効である。
認知症高齢者とのコミュニケーションで必要なことは、簡単な文章、一度に1つのメッセージ、本人の納得と安心、五感を生かした非言語的コミュニケーションである。
Q.5
被験者が図形を描き写す内容が含まれる認知機能の評価はどれか。(第109回)
①認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
②Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
③高齢者の総合機能評価CGA簡易版〈CGA7〉
④改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉
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正解:2
- 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は、認知症の症状·行動·意思疎通の困難さを踏まえた日常生活の自立度を観察法で示したものである。 - Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
MMSEは国際的に使用されている認知症のスクリーニング検査である。質問式による認知機能検査で、視覚認知の描画、文章構成の書字、3段階の動作命令などが検査内容に含まれている。30点満点で23点以下が認知症の疑いである。 - 高齢者の総合機能評価CGA簡易版〈CGA7〉
CGA7は身体的、精神心理的、家庭·社会的問題の3分野で意欲、認知機能、基本的ADL、手段的ADL、情緒·気分などの7構成成分の生活機能障害を包括的に評価するものである。 - 改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉
HDS-Rはわが国でよく使用される認知症のスクリーニング検査である。視空間認知機能の内容は含まれない。野菜の名前の記憶を診るのが特徴である。
認知機能検査の内容を知っておくことが重要である。数値により認知症の診断や認知症の程度を評価する。視空間認知の機能、構成行為により書画を行う内容が含まれるものがある。
Q.6
Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。(第108回)
①シャツを前後反対に着る。
②調理の手順がわからなくなる。
③物音がすると食事を中断する。
④鏡に映った自分の姿に話しかける。
⑤歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。
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正解:2
- シャツを前後反対に着る。
運動機能が損なわれていないのに動作が行えなくなることを失行という。衣類の着脱ができなくなることを着衣失行という。 - 調理の手順がわからなくなる。
調理の手順がわからないのは実行機能障害である。料理の途中で手が止まってしまったら「次は包丁で切りましょう」、「お鍋に具材を入れましょう」など具体的に促すことで次の動作に進むことができる。 - 物音がすると食事を中断する。
同時に複数の事柄に注意を向けることができなくなるのは、注意障害である。 - 鏡に映った自分の姿に話しかける。
視覚機能が損なわれていないにもかかわらず、対象物を理解することができなくなるのは失認である。鏡に映る人物を誰なのか認識できないことを鏡現象ともいう。 - 歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。
失行の1つである観念失行は使い慣れたものでもどのように使うのかがわからなくなり、適切に使えなくなる。
実行機能障害とは、生活するうえで必要な行動に対して計画を順序立てて実行することができない、あるいは時間がかかるなどの障害である。
Q.7
Aさん(88歳、女性)は、中等度の認知症である。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。Aさんに入浴を勧めるとAさんは「風呂なんて嫌だ」と強い口調で言い、理由を聞いても話さない。
このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。(第104回)
①全身清拭する。
②入浴の必要性を説明する。
③石けんとタオルを見せる。
④気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。
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正解:4
- 全身清拭する。
入浴ができないわけではない。気持ちが落ち着いたら入浴を勧めてみる。 - 入浴の必要性を説明する。
しつこく説明をすると、自尊心を傷つけてしまう可能性がある。 - 石けんとタオルを見せる。
Aさんの認知症の程度から、石けんとタオルを見せても、失認や失行により入浴することであると理解できるとは限らない。 - 気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。
入浴したくないという理由を考え、気持ちが落ち着くのを待ち、再度入浴を勧めてみる。
Aさんの訴えを尊重しながら、看護師として必要な援助を考えよう。
Q.8
老人性皮膚瘙痒症で正しいのはどれか。(第98回)
①夏季に増悪する。
②胸部よりも下腿に発症しやすい。
③かゆみは皮膚の湿潤時に増強する。
④植物や金属に過敏になるために生じる。
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正解:2
- 夏季に増悪する。
空気の乾燥により皮膚も乾燥しやすくなるため、冬季に増悪する。 - 胸部よりも下腿に発症しやすい。
洋服などで保護されている胸部よりも、下腿のほうが外気にさらされやすいため発症しやすい。 - かゆみは皮膚の湿潤時に増強する。
瘙痒感(かゆみ)は皮膚の乾燥時に増強する。 - 植物や金属に過敏になるために生じる。
植物や金属に敏感になるのは接触性皮膚炎であり、老人性皮膚瘙痒症とは関係ない。
高齢者は皮膚が乾燥しやすいため、老人性皮膚瘙痒症になりやすい。
Q.9
高齢者が共同生活をする施設で、感染の拡大予防のために個室への転室などの対応を必要とするのはどれか。(第109回)
①白 癬
②帯状疱疹
③蜂窩織炎
④角化型疥癬
⑤皮膚カンジダ症
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正解:4
- 白 癬
白癬とは、皮膚糸状菌によって生じる皮膚感染症の1つで、いわゆる水虫である。接触感染するが、個室対応は必要ない。 - 帯状疱疹
帯状疱疹とは水痘-帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症の一種である。他者に感染することはないため、個室対応は必要ない。 - 蜂窩織炎
蜂窩織炎とは、皮膚の深い層から皮下の脂肪組織にかけて細菌が感染し、炎症を起こす疾患であり、他者へ感染することはない。 - 角化型疥癬
疥癬はヒゼンダニが皮膚の最外層である角質層に寄生し、人から人へ感染する疾患である。特に角化型疥癬は非常に多数のダニの寄生が認められるため強い感染力をもち、集団感染の感染源となる。 - 皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症は、カンジダという真菌が皮膚に感染して生じる皮膚感染症である。個室対応は必要ない。
高齢者が共同生活をする施設では、身体機能や認知機能が低下した高齢者も多いため、感染経路と拡大予防のための対処はしっかり把握しておこう。
Q.10
認知症患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。(第96回)
①母親が幼児と接するように話す。
②作話があるときは内容を訂正する。
③興奮状態の時は安全を確認して一旦席をはずす。
④同じ内容を繰り返す場合は会話をすぐに打ち切る。
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正解:3
- 母親が幼児と接するように話す。
幼児と接するように話すことは、大人として扱っていない姿勢であり、患者の尊厳を傷つけることにつながる。 - 作話があるときは内容を訂正する。
作話は記憶障害や幻覚、不安からくるものであり、自分の記憶が抜けている部分を補うために話をつくってしまう。相手をだまそうという気持ちからの作話ではないので、否定も肯定もせず落ち着いて傾聴する必要がある。 - 興奮状態の時は安全を確認して一旦席をはずす。
興奮状態のときに介入することで、自分の意思がうまく伝わらないことなどから余計に興奮することもある。安全のため一旦席を外すのは適切な対応である。 - 同じ内容を繰り返す場合は会話をすぐに打ち切る。
記憶障害からくるものである。本人にとっては初めて話すことであるため、話を打ち切られると否定されたと受けとめ、興奮や怒りにつながる危険性がある。
認知症であるから何もわからないと決めつけず、認知症患者の尊厳に配慮した対応を行うことが重要である。
Q.11
Lewy〈レビー〉小体型認知症の初期にみられる症状はどれか。(第106回)
①幻 視
②失 語
③脱抑制
④人格変化
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正解:1
- 幻 視
物がゆがんで見えたり、見間違える錯視や、小動物や人などの幻視、妄想、パーキンソニズムなどの症状がみられる。 - 失 語
通常、失語はみられない。 - 脱抑制
脱抑制は、前頭葉の障害により起こるとされており、主として前頭側頭型認知症でみられる。 - 人格変化
人格変化は、前頭葉の障害により起こるとされており、主として前頭側頭型認知症でみられる。
レビー小体型認知症に出現しやすい中核症状について考えよう。
Q.12
認知症の認知機能評価に用いられないのはどれか。(第103回追試)
①臨床認知症評価尺度〈CDR〉
②Katz index〈カッツ·インデックス〉
③柄澤式老人知能の臨床的判定基準
④Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
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正解:2
- 臨床認知症評価尺度〈CDR〉
CDRは認知症臨床的症状の重症度を評価する指標として用いる(0.5疑い、1軽度、2中等度、3重度)。 - Katz index〈カッツ·インデックス〉
カッツ·インデックスは加齢や慢性疾患による障害をもつ対象のADL6項目を「している-していない」で評価する方法である。 - 柄澤式老人知能の臨床的判定基準
柄澤式老人知能の臨床的判断基準は観察式による認知機能評価法である。なお、柄澤式は現在あまり用いられておらず、FASTが多く用いられる。 - Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
MMSEは国際的に使用する質問式による認知機能検査で、30点満点で23点以下が認知症の疑いである。
高齢者の検査などに用いられるスケールで認知機能に関連するものとして、質問式·観察式による評価法にHDS-R、MMSE、FASTなどがある。ADL/IADLなどの運動系のスケールにはカッツ·インデックスがある。また、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は介護認定の資料にも用いられる。
Q.13
軽度認知障害で正しいのはどれか。(第109回改変)
①一過性の障害である。
②実行機能障害がない。
③物忘れを自覚している。
④日常生活動作〈ADL〉が障害される。
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正解:3
- 一過性の障害である。
一過性の障害ではなく、年間10~15%程度が認知症に移行するといわれる。 - 実行機能障害がない。
日常生活には問題がないが、非健忘型MCIでは、物事を順序立てて行えなくなる実行機能障害がみられる。 - 物忘れを自覚している。
MCIは本人の記憶障害の自覚がある、または家族等の他者から記憶障害の訴えがあるという、臨床認知症評価尺度(CDR)で0.5=認知症の疑いがあるとの所見がみられる。 - 日常生活動作〈ADL〉が障害される。
日常生活動作が障害されていることはなく、日常生活に支障のない状態である。
軽度認知障害(MCI)は早期発見の重要性が注目され、この段階で発見し治療することで発症を抑えることも可能であるといわれ、認知症予備軍ともいわれる。
Q.14
Aさん(78歳、女性)は、中等度のAlzheimer〈アルツハイマー〉病であり、上部消化管内視鏡検査を受けるため入院した。検査当日、内視鏡室に入室すると、不安そうな様子がみられ「ここはどこですか。何をするの」と内視鏡検査室の看護師に聞いてきた。看護師の声かけで最も適切なのはどれか。(第103回追試)
①「胃の検査ですよ」
②「すぐに終わりますよ」
③「怖いことはしませんよ」
④「病室にすぐ戻りましょう」
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正解:1
- 「胃の検査ですよ」
事実を伝えている。しかし、実行機能障害を伴っている中等度のアルツハイマー型認知症患者は胃の検査と言われただけでは、段取りの検討がつかず混乱にいたる危険性もある。リスト化するなどして検査の段取りを1つひとつ確認するとよい。 - 「すぐに終わりますよ」
患者の疑問に応えていない。看護師の主観であり、Aさんの不安の軽減にはならない。 - 「怖いことはしませんよ」
患者の疑問に応えていない。看護師の主観であり、Aさんの不安の軽減にはならない。 - 「病室にすぐ戻りましょう」
患者の疑問に応えていない。これから検査を受けるときの声かけとして適切ではない。
アルツハイマー型認知症患者への声かけの原則について考えよう。
Q.15
胃癌についての組合せで正しいのはどれか。(第103回)
①腎臓転移 ― Wilms〈ウィルムス〉腫瘍
②肝臓転移 ― Schnitzler〈シュニッツラー〉転移
③卵巣転移 ― Krukenberg〈クルッケンベルグ〉腫瘍
④胃周囲リンパ節転移 ― Virchow〈ウィルヒョウ〉転移
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正解:3
- 腎臓転移 ― Wilms〈ウィルムス〉腫瘍
ウィルムス腫瘍とは、腎臓に生じる悪性腫瘍のことであり、腎芽腫とも呼ばれる。 - 肝臓転移 ― Schnitzler〈シュニッツラー〉転移
シュニッツラー転移とは、胃癌から癌細胞が腹腔内にこぼれてダグラス窩に定着し、転移巣を形成したものをいう。 - 卵巣転移 ― Krukenberg〈クルッケンベルグ〉腫瘍
クルッケンベルグ腫瘍とは、胃癌が進行して転移した、転移性の卵巣腫瘍のことを呼ぶ。 - 胃周囲リンパ節転移 ― Virchow〈ウィルヒョウ〉転移
ウィルヒョウ転移とは、胃癌が左鎖骨上窩リンパ節に転移することをいう。
胃癌の転移についてしっかり覚えておこう。
Q.16
潰瘍性大腸炎で正しいのはどれか。(第95回)
①回盲部に好発する。
②大量の水様性下痢をみる。
③家族性に発症する。
④大腸癌の危険因子である。
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正解:4
- 回盲部に好発する。
潰瘍性大腸炎は、直腸より口側に連続性に起こる。回盲部に好発することはない。 - 大量の水様性下痢をみる。
潰瘍性大腸炎では、下痢の症状が出現するが、大量の水様性下痢ではない。 - 家族性に発症する。
同じ家系内に発症者がいることも多いが、潰瘍性大腸炎の発症メカニズムはまだ解明されていない。 - 大腸癌の危険因子である。
潰瘍性大腸炎は、大腸癌の危険因子である。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍が形成される疾患である。直腸より口側に連続性に起こる。再燃と寛解を繰り返し、大腸癌の危険因子でもある。特に若年層に好発し、下痢やしぶり腹、粘血便、腹痛、貧血などの症状が出る。
Q.17
食道癌について正しいのはどれか。2つ選べ。(第104回)
①頸部食道に好発する。
②放射線感受性は低い。
③アルコール飲料は危険因子である。
④日本では扁平上皮癌に比べて腺癌が多い。
⑤ヨードを用いた内視鏡検査は早期診断に有用である。
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正解:3・5
- 頸部食道に好発する。
食道癌は中部食道、下部食道、上部食道の順に多発する。 - 放射線感受性は低い。
放射線感受性は高く、放射線治療が行われている。 - アルコール飲料は危険因子である。
アルコール飲料は危険因子である。喫煙や、熱いものを食べることも危険因子である。 - 日本では扁平上皮癌に比べて腺癌が多い。
日本では扁平上皮癌が最も多い。欧米では逆流性食道炎が原因となる腺癌が多い。 - ヨードを用いた内視鏡検査は早期診断に有用である。
色素内視鏡検査が行われ早期発見に有用である。色素内視鏡検査では、ヨード‐でんぷん反応を利用し、正常な細胞が染まるのに対し、癌などの異常のある部分は染まらないため発見できる。
食道癌の好発部位は、中部食道、下部食道、上部食道の順に多くなっている。扁平上皮癌と腺癌があり、日本では食道癌の90%が扁平上皮癌である。内視鏡検査では、染色液であるヨードを使用して異常を発見し、治療には放射線療法や手術を行う。アルコールや喫煙が危険因子といわれている。
Q.18
ストーマのパウチ交換で適切なのはどれか。(第100回)
①ストーマと同じサイズに面板を切る。
②パウチ周囲の皮膚はアルコールで拭く。
③パウチを装着する際は、患者は腹部を膨らませる。
④内容物がパウチ容量の8割を超えたらパウチを交換する。
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正解:3
- ストーマと同じサイズに面板を切る。
パウチの面板のストーマ孔はストーマと同じサイズにして皮膚に便が付着するのを防ぐ必要があるが、面板をストーマと同じサイズに切るとストーマ孔を開けることが困難になる。また、ほとんど接着面がなくなることからも適切ではない。 - パウチ周囲の皮膚はアルコールで拭く。
パウチ周囲の皮膚をアルコールで拭くとかぶれる危険があるため行わない。 - パウチを装着する際は、患者は腹部を膨らませる。
パウチを装着する際に、患者に腹部を膨らませてもらうとパウチが皮膚に密着しやすくなるため適切である。 - 内容物がパウチ容量の8割を超えたらパウチを交換する。
内容物がパウチ容量の8割を超えるのを待たずにパウチを交換すべきである。
ストーマは便を貯める袋となるため、皮膚に密着させて漏れがないようにしなくてはならない。
Q.19
難病医療費助成制度の対象疾患はどれか。(第97回改変)
①潰瘍性大腸炎
②慢性骨髄性白血病
③関節リウマチ
④重症急性呼吸器症候群(SARS)
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正解:1
- 潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、難病医療費助成制度の対象疾患である。 - 慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病は、難病医療費助成制度の対象疾患ではない。 - 関節リウマチ
悪性関節リウマチは難病医療費助成制度の対象疾患であるが、関節リウマチは対象疾患ではない。 - 重症急性呼吸器症候群(SARS)
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、難病医療費助成制度の対象疾患ではない。
難病医療費助成制度とは、指定難病に罹患し、認定を受けると医療費の自己負担分の一部が特定医療費として支給されることをいう。指定難病は338疾患(2021年11月1日現在)ある。
Q.20
食道癌で正しいのはどれか。2つ選べ。(第109回)
①女性に多い。
②日本では腺癌が多い。
③放射線感受性は低い。
④飲酒は危険因子である。
⑤胸部中部食道に好発する。
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正解:4・5
- 女性に多い。
男女比はおよそ5:1で、男性に多い。 - 日本では腺癌が多い。
約90%が扁平上皮癌である。口から食道までの消化管の粘膜は重層扁平上皮である。 - 放射線感受性は低い。
食道癌は扁平上皮癌が多いため、放射線感受性が高い。 - 飲酒は危険因子である。
飲酒、喫煙は危険因子である。一方、腺癌タイプの食道癌の危険因子は食道胃逆流症とこれに伴うバレット食道である。 - 胸部中部食道に好発する。
好発部位は胸部中部食道である。次いで胸部下部食道、胸部上部食道の順に多い。
主要な癌の組織型は押さえておく。