Q.1
サクセスフルエイジングの説明で適切なのはどれか。(第108回)
①老化の過程にうまく適応する。
②権威のある者によって一方的に守られる。
③生命あるものに共通して起こる現象である。
④社会的な役割から離脱することで自由になる。
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正解:1
- 老化の過程にうまく適応する。
サクセスフルエイジングは老化の過程にうまく適応でき、幸福な老年期を迎えることができることを指す。 - 権威のある者によって一方的に守られる。
老年期を積極的に生きるという意味合いから、サクセスフルエイジングは高齢者自身の主体的なものである。 - 生命あるものに共通して起こる現象である。
サクセスフルエイジングの要因には、身体的に健康であること、認知能力など精神機能、社会的機能が維持されていること、主観的幸福感が高いことが挙げられるため、すべての生物や人に共通するものではない。 - 社会的な役割から離脱することで自由になる。
社会的自立とは社会からの離脱ではない。
サクセスフルエイジングとは老化の過程にうまく適応でき、幸福な老年期を迎えることができることを指しており、高齢者が身体的、精神的、社会的にも自立している状態をいう。
Q.2
認知症の高齢者に対するノーマライゼーションで正しいのはどれか。(第105回)
①散歩を勧める。
②決められた服を着るように勧める。
③重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。
④食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。
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正解:1
- 散歩を勧める。
認知症の程度によっては 1人で外出したり散歩することは困難であるが、室内に閉じ込めたままでは行動範囲が限定されてしまうため、散歩を勧めて外出のサポートをすることは、ノーマライゼーションの一環となる。 - 決められた服を着るように勧める。
個別性や選択の自由を尊重していないことになるため誤りである。 - 重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。
認知症が重度だからといって精神科病棟に入院を勧めることは、認知症高齢者の理解や支援にならないため誤りである。 - 食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。
箸を使わないように勧めるのではなく、どうしたら十分な量が摂取できるかを検討すべきであるため誤りである。
ノーマライゼーションの理念は、障害があっても、障害のない人と同等に生活し活動する社会を目指すというものである。
Q.3
老年期の加齢に伴う睡眠の変化で正しいのはどれか。(第98回)
①就寝時刻が遅くなる。
②中途覚醒の回数は減る。
③早朝覚醒をきたしやすい。
④就寝から入眠までの時間が短くなる。
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正解:3
- 就寝時刻が遅くなる。
老年者の加齢に伴う睡眠の変化で、就寝時刻が遅くなるのでなく、早くなる。睡眠相が前進し早寝早起きとなる。 - 中途覚醒の回数は減る。
中途覚醒の回数は増える。睡眠は浅く中断しやすくなる。 - 早朝覚醒をきたしやすい。
高齢者は早朝覚醒をきたしやすい。早寝早起きになる。 - 就寝から入眠までの時間が短くなる。
就寝から入眠までの時間が短くなるのではなく、入眠までの時間が長い。しかし、総睡眠時間は短い。
睡眠を円滑にはたらかせる役割をもつ生体リズム(サーカディアンリズム)は加齢により変調しやすい。
Q.4
子どもの発達・発育で正しいのはどれか。(第99回)
①身体各部の発達の臨界期は一定である。
②脳神経系は乳幼児期に急速に発達する。
③基本的な運動発達は脚部から上方へ向かう。
④新生児期には遺伝よりも環境の影響が大きい。
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正解:2
- 身体各部の発達の臨界期は一定である。
臨界期とは、身体のある器官や機能の成長・発達にとって非常に重要な時期である。身体各部によって異なり、発達の臨界期は一定ではない。 - 脳神経系は乳幼児期に急速に発達する。
脳神経系は、それ以外の系統の臓器(リンパ系、生殖器系、その他の一般系の臓器)に比べ、乳幼児期に最も急速に発達する。 - 基本的な運動発達は脚部から上方へ向かう。
基本的な運動発達は、頭部から下部へ、中枢から末梢へ、粗大運動から微細な運動へと発達する。 - 新生児期には遺伝よりも環境の影響が大きい。
一般的には新生児期の発達・発育には環境による影響は少なく、遺伝の影響のほうが大きい。
子どもの発達・発育にはほぼ一定の順序と基本的な方向性があり、連続的であるが年齢によって発達の速度は異なる。発達・発育には臨界期という重要な時期があり、年齢が進むにつれて個体差が目立ってくる。
Q.5
乳幼児で人見知りが始まる時期はどれか。(第100回)
①生後2~3か月
②生後6~12か月
③生後18~24か月
④生後36~42か月
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正解:2
- 生後2~3か月
生後2~3か月は追視がみられる時期である。 - 生後6~12か月
人見知りが始まる時期は選択肢の中では生後6~12か月である。 - 生後18~24か月
生後18~24か月は二語文がみられる時期である。 - 生後36~42か月
生後36~42か月は簡単な会話ができるようになる。
乳幼児は生後3~4か月で首がすわるようになり、生後5~6か月で寝がえりをし、生後6~7か月でお座りができ、このころから人見知りがみられ、生後12~13か月で歩行ができるようになる。言語面では生後18~24か月では二語文がみられ、生後36~42か月では簡単な会話ができる。
Q.6
乳幼児の正常な言語発達で正しいのはどれか。(第108回)
①生後1か月で喃語が出始める。
②生後6か月で意味のある1語が言える。
③1歳2か月で2語文を話す。
④4歳で4つの色を正しく言える。
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正解:4
- 生後1か月で喃語が出始める。
喃語は、「アー」、「ウー」などの意味のない声で発声をすることで、生後2~3か月ころに出始める。 - 生後6か月で意味のある1語が言える。
喃語から、「ワンワン」「マンマ」などの1語文や意味のある言葉が言えるのは1歳以降である。 - 1歳2か月で2語文を話す。
2語文( 「ママ ネンネ」、「ニャンニャン イタ」など)が話せるようになるのは1歳半~2歳以降である。 - 4歳で4つの色を正しく言える。
赤・青・黄・緑といった基本の色がわかるのは3歳ころとされている。色の名前を理解するというのは、色覚ではなく言語能力であり、改訂版デンバー式発達スクリーニング検査によると、4歳の子どもの90%が4色の名前を言えるとされている。
言語発達には、いくつかの段階がある。言語発達の標準的な年齢を理解しておく。
Q.7
採血を受ける5歳児への声掛けで適切なのはどれか。(第95回)
①「動くと1回で終わらないよ」
②「この検査は痛くないよ」
③「泣いちゃいけないよ」
④「終わったら何をしようか」
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正解:4
- 「動くと1回で終わらないよ」
採血に対するおどしや恐怖感になるため適切でない。 - 「この検査は痛くないよ」
採血は痛みを伴う処置であり嘘をつくことになるため適切でない。 - 「泣いちゃいけないよ」
子どもが泣くことの感情表出の制限になる。子どもには、泣きたいときには泣いてもよいことを伝え安心できることが必要なため、適切でない。 - 「終わったら何をしようか」
5歳児が処置後にできることとして遊びなどへのイメージをもつことで採血へ取り組めるため、「終わったら何をしようか」の声掛けは適切である。
子どもにとって採血等の医療処置は苦痛であり、処置による痛みだけでなく不安や恐怖にも対処しなければならない。5歳児の発達として、生活や活動の見通しがつくようになる。子どもの発達段階の特徴を踏まえ、採血による苦痛に対する支援を考えよう。
Q.8
セクシュアリティの意義と関連する事項の組合せで正しいのはどれか。(第104回)
①生殖性の性 ― ジェンダー
②性別としての性 ― 常染色体
③連帯性としての性 ― 種の保存
④性役割としての性 ― 社会的規範
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正解:4
- 生殖性の性 ― ジェンダー
生殖性の性とは、子孫を残すための性を指す。 - 性別としての性 ― 常染色体
性別としての性とは、生物学的な性であり、性染色体(男性XY、女性XX)のことを指す。 - 連帯性としての性 ― 種の保存
連帯性としての性とは、愛情を維持し信頼関係を築くことを指す。 - 性役割としての性 ― 社会的規範
性役割としての性とは、社会文化的につくられる男性性、女性性としての性(ジェンダー)を指す。
アメリカ心理学会の見解では、「セクシュアリティの構成要素」が以下の4つにまとめられている。①性的指向(sexual orientation):特定の性(gender)をもつ人に対する持続的な魅力。ヘテロ・ゲイ・バイセクシュアルなど。②生物学的性(biological sex):性器を柱とする生物学的な性。③性自認(gender identity):私が男性である、あるいは女性であるという自己意識のこと。④社会的性役割(gender role):社会的に規定された性役割や身体理解などの文化によってつくられた性差を指す。生物学的性と分けられる。
Q.9
性周期とホルモンについて正しいのはどれか。(第98回)
①卵胞期の体温は上昇する。
②卵胞刺激ホルモン(FSH)は視床下部から分泌される。
③妊娠が成立しない場合の黄体の寿命は20日間である。
④成熟卵胞に黄体化ホルモン(LH)が作用して排卵が起きる。
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正解:4
- 卵胞期の体温は上昇する。
体温が上昇するのは黄体期で、プロゲステロンの作用による。 - 卵胞刺激ホルモン(FSH)は視床下部から分泌される。
卵胞刺激ホルモン(FSH)は下垂体前葉から分泌される。視床下部から分泌されるのは、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)である。 - 妊娠が成立しない場合の黄体の寿命は20日間である。
妊娠が成立しない場合の黄体の寿命は約14日間である。 - 成熟卵胞に黄体化ホルモン(LH)が作用して排卵が起きる。
黄体化ホルモン(LH)は成熟卵胞に排卵を促す。
月経周期の機序や性周期における卵巣・子宮内膜・体温の変化とホルモンとの関係をまとめて理解しておこう。
Q.10
不妊症について正しいのはどれか。(第104回)
①6か月間避妊せずに性交渉があっても妊娠しない状態である。
②頻度は妊娠を希望し避妊しないカップル10組に3組である。
③体外受精に要する費用の公的な助成制度がある。
④女性の年齢と不妊症の治療効果は関係しない。
⑤男性側の原因は7割程度である。
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正解:3
- 6か月間避妊せずに性交渉があっても妊娠しない状態である。
妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年間妊娠しないものを不妊症という。 - 頻度は妊娠を希望し避妊しないカップル10組に3組である。
一般的に頻度は10組に1組といわれているが、近年は7組に1組に増加しているといわれている。 - 体外受精に要する費用の公的な助成制度がある。
不妊に悩む方への特定治療支援事業により、公的に費用に一部が助成される。2019年12月現在、対象者は①特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、またはきわめて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦、②治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦、となっている。 - 女性の年齢と不妊症の治療効果は関係しない。
年齢が高くなれば着床率は下がるため、関係しないとはいえない。 - 男性側の原因は7割程度である。
男性側の要因と女性側の要因の割合は各5割である。もしくは、女性側の要因を「排卵因子」、「卵管因子」と分類することで、男性側の要因1/3、排卵因子1/3、卵管因子1/3と考える場合もある。
不妊症の原因には、女性側の要因(排卵因子、卵管因子など)、男性側の要因(精子因子など)の両方がある。不妊治療は男性、女性両者ともに実施する必要がある。不妊症の定義、原因、検査について知識を整理しておこう。
Q.11
正常の分娩経過で正しいのはどれか。(第100回)
①第1頭位では右臍棘線上で胎児心音を聴取する。
②陣痛周期が10分以内になった時点を分娩開始にする。
③排臨は胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である。
④分娩第2期は子宮口全開大から胎盤が娩出するまでである。
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正解:2
- 第1頭位では右臍棘線上で胎児心音を聴取する。
第1頭位では、児背が母体の左臍棘線中央に位置し、その近くで胎児心音が聴取できる。 - 陣痛周期が10分以内になった時点を分娩開始にする。
分娩開始は、陣痛周期が10分以内もしくは1時間に6回以上の陣痛となったときである。 - 排臨は胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である。
胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態は、発露である。発露の前の、胎児先進部が陣痛発作時には陰裂間に見えて、陣痛間欠時には見えない状態を排臨という。 - 分娩第2期は子宮口全開大から胎盤が娩出するまでである。
分娩第2期は子宮口全開大から児娩出までの期間をいう。
分娩経過についての理解、言葉の意味、定義を理解していれば解答できる問題である。
Q.12
営業職の男性。「このごろ運転中に居眠りをしそうになる。妻からはいびきがひどいと言われている」と受診した。寝つきは悪くないがいつも寝足りない感じがあり、毎朝頭痛がする。服薬歴と既往歴とはなく、半年前の定期健康診断で異常はなかった。身長160cm、体重76.8kg。脈拍78/分。血圧140/78mmHg。最も考えられるのはどれか。(第99回)
①睡眠時無呼吸症候群
②低血糖症状
③もやもや病
④うつ病
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正解:1
- 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群では、日中の眠気、大きないびき、覚醒時の倦怠感や頭痛、高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞などを発症する。 - 低血糖症状
低血糖の状態では、冷や汗、動悸、意識障害、けいれん、手指の振戦などの症状が現れる。 - もやもや病
もやもや病では、太い脳血管(内頸動脈)の終末部が細くなり、脳の血液不足が起こりやすくなり、一時的な手足の麻痺、言語障害を起こす。 - うつ病
うつ病の睡眠では、眠れない、眠りが浅い、朝早く目が覚める(早朝覚醒)、日中ぼーっとするなどの不眠の症状を現すが、うつ病は、気分の強い落ち込み、無気力などの精神的な症状が主となる障害である。
選択肢の症状をそれぞれ理解しておく。
Q.13
せん妄で正しいのはどれか。(第96回)
①意識障害である。
②内因性精神障害である。
③見当識障害を伴わない。
④身体疾患と関連がない。
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正解:1
- 意識障害である。
せん妄は、見当識障害、意識混濁、錯覚、幻覚、精神運動興奮・不安などによる意識障害である。 - 内因性精神障害である。
原因がはっきりしないのに精神症状がみられる統合失調症、躁うつ病はこれまで内因性精神病と呼ばれてきた。せん妄とは直接関係がない。 - 見当識障害を伴わない。
せん妄は、時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多くみられる。 - 身体疾患と関連がない。
せん妄は、身体疾患、中枢神経系疾患で起こることが多い。
せん妄は、アルコールなどの中毒、感染症、脳外傷などの身体疾患、中枢神経系疾患で起こることが多い。突然発生して精神機能の変動をもたらすが、通常回復する。
Q.14
覚せい剤使用の影響で正しいのはどれか。(第100回)
①精神依存は生じない。
②ウェルニッケ脳症を生じる。
③耐性が生じ、使用量が増加する。
④使用を中止すれば、精神病症状は再燃しない。
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正解:3
- 精神依存は生じない。
覚せい剤の使用では精神依存は生じるが、身体依存は生じないとされる。 - ウェルニッケ脳症を生じる。
ウェルニッケ脳症は、アルコールの大量摂取などによる、ビタミンB1の欠乏によって起こる脳症であり、覚せい剤の使用ではみられない。 - 耐性が生じ、使用量が増加する。
覚せい剤は使用することによって耐性が生じる。 - 使用を中止すれば、精神病症状は再燃しない。
覚せい剤による精神病症状は、幻覚妄想状態を主とする症状である。再燃現象は、覚せい剤、アルコールなど依存性薬物によるもの(薬物による再燃)だけではなく、薬物を使用しなくても知覚への刺激や感情的ストレスによって再燃が起こることがある〔自然再燃(フラッシュバック)〕。
覚せい剤の急性中毒症状では、精神神経症状として精神運動興奮、気分発揚、多幸、万能感、多弁、不安・焦燥感などがみられ、身体中毒症状として不眠、食欲減退、頻尿、血圧上昇、振戦などがみられる。覚せい剤の効果がなくなると無欲、疲労、脱力、不快感、抑うつ気分などが起こる。
Q.15
アルコール離脱症状はどれか。(第100回)
①作 話
②幻 視
③思考途絶
④観念奔逸
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正解:2
- 作 話
作話はアルコール精神病の1つであるコルサコフ精神病の症状である。 - 幻 視
アルコールの離脱症状では、意識障害や幻覚を伴う振戦せん妄状態が起こる。幻覚は小動物、こびと、情景などが見える幻視が主となる。 - 思考途絶
思考途絶は、思考の流れが突然中断してしまう思考過程の障害であり、統合失調症にみられる。 - 観念奔逸
観念奔逸は、次々と考えが浮かび、思考がまとまらなくなる思考過程の障害であり、躁状態や飲酒時の酩酊状態にみられる。
アルコールの離脱症状には約48時間以内に起こる小離脱と、その後2~3日持続する大離脱がある。
Q.16
悪性症候群の症状はどれか。(第98回)
①徐 脈
②便 秘
③発 熱
④過飲水
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正解:3
- 徐 脈
徐脈ではなく頻脈が現れる。 - 便 秘
便秘は悪性症候群の症状に含まれないが、抗コリン作用をもつ抗精神病薬の副作用としてみられる。 - 発 熱
発熱症状がみられる。 - 過飲水
過飲水は悪性症候群の症状に含まれないが、抗精神病薬による口渇の結果、過飲水となりやすい。
悪性症候群とは、主に抗精神病薬の服薬により、発熱、発汗、意識障害、筋強剛、頻脈、血圧の上昇などの自律神経症状が現れ、治療をしなければ死に至る副作用である。
Q.17
躁状態でよくみられる症状はどれか。2つ選べ。(第99回)
①誇大妄想
②罪業妄想
③観念奔逸
④予期不安
⑤行動制止
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正解:1、3
- 誇大妄想
誇大妄想は、自分の能力や家柄などを過大評価する妄想で、躁状態で起こりやすい。 - 罪業妄想
罪業妄想は、自分は人に迷惑をかけている罪深い人間だとする妄想で、うつ病の三大妄想(罪業妄想、貧困妄想、心気妄想)の1つである。 - 観念奔逸
観念奔逸は、考えが次々と浮かび、話の内容が最初の目標からずれていき、話のまとまりがなくなる思考過程(思路)の障害で、躁状態にみられる。 - 予期不安
予期不安とは、パニック発作を経験したとき、あの恐ろしい発作がまた起きるのではないかという不安が生じることで、パニック障害で起こりやすい。 - 行動制止
行動制止は、行動にブレーキがかかった状態で、思考制止とともにうつ病にみられる。
躁状態の思考内容(妄想)、思考形式の障害など症状について考える。
Q.18
知的障害〈精神遅滞〉の原因となる疾患はどれか。(第108回)
①統合失調症
②フェニルケトン尿症
③Alzheimer〈アルツハイマー〉病
④Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
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正解:2
- 統合失調症
統合失調症では知能検査の結果では健常者よりも劣る場合が多いとされているが、知的障害の原因にはならない。 - フェニルケトン尿症
フェニルケトン尿症は、知的障害の背景にある先天的な生化学的異常が初めて解明された疾患で、新生児マススクリーニングが実施されている。 - Alzheimer〈アルツハイマー〉病
アルツハイマー病は、高齢者における認知症の最も多い原因疾患である。不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる。知的障害の原因にはならない。 - Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
クロイツフェルト・ヤコブ病は、全身の不随意運動と急速に進行する認知症状を主徴とする中枢神経の変性疾患である。知的障害の原因にはならない。
知的障害(精神遅滞)は、精神の発達停止または発達不全の状態で、認知、言語、運動および社会的能力など知的水準に関する能力の障害が発達期に明らかになる。「①全般的な知的機能が同年齢の子どもと比べて明らかに遅滞し」、「②適応機能の明らかな制限が」、「③18歳未満に生じる」と定義される。知的障害のIQによる分類(ICD-10)は、IQ70~85が境界水準、IQ50~69が軽度、IQ35~49が中等度、IQ20~34が重度、IQ0~19が最重度の精神遅滞である。
Q.19
Asperger<アスペルガー>症候群について正しいのはどれか。(第102回)
①女性に多い。
②出生時に診断される。
③自我障害が特徴である。
④知的能力の発達は保たれる。
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正解:4
- 女性に多い。
男子に多く、男女比は3:1といわれている。 - 出生時に診断される。
発達早期に症状として現れ、3歳ぐらいまでには診断されるが、状態の現れ方によっては成人以降に診断される場合もある。 - 自我障害が特徴である。
アスペルガー症候群の症状は次の3つの領域である。①相互的社会的(対人)関係障害、②コミュニケーション障害、③関心・行動の制限・常同性である。 - 知的能力の発達は保たれる。
アスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害の中では高機能であり、知的な能力はIQ70以上(IQ69以下が知的障害)である。
日本では発達障害の中の1つの症候群ととらえられており、現在は自閉症スペクトラム障害(ASD)の中の高機能領域に含まれている。
Q.20
広汎性発達障害に特徴的なのはどれか。(第101回)
①重篤な不安発作が繰り返される。
②ボディイメージ<身体像>の障害が認められる。
③非言語的コミュニケーションが適切にとれない。
④声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。
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正解:3
- 重篤な不安発作が繰り返される。
広汎性発達障害では、不安や恐怖に敏感なためストレスを受けやすく不安(パニック)障害を伴うこともあるが、主たる症状ではない。 - ボディイメージ<身体像>の障害が認められる。
ボディイメージの障害は、摂食障害でみられる。 - 非言語的コミュニケーションが適切にとれない。
DSM-5の診断基準によれば、対人的相互作用で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥がある。 - 声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。
自分の考えが人に伝わってしまうように感じられる思考の体験様式の異常を思考(考想)伝播といい、統合失調症にみられる。
現在、広汎性発達障害には自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)という診断名がついている(DSM-5)。