Q.1
全身に動脈血を送り出すのはどれか。(第100回)
①右心房
②右心室
③左心房
④左心室
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正解:4
- 右心房
右心房は右心室に静脈血を送り出す。 - 右心室
右心室は肺へ静脈血を送り出す。 - 左心房
左心房は左心室へ動脈血を送り出す。 - 左心室
全身に動脈血を送り出すのは左心室で、収縮によって大動脈へと動脈血を送り全身へと供給する。
心臓の主となるポンプは左心室の心筋がつくり出す血液を送る力によって成立する。
Q.2
低血糖によって分泌が促進されるのはどれか。(第99回)
①アルドステロン
②テストステロン
③甲状腺ホルモン
④副腎皮質刺激ホルモン
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正解:4
- アルドステロン
アルドステロンは副腎皮質から分泌され、脱水・血圧低下・腎血流量の低下・高カリウム血症・アンジオテンシンⅡの刺激によって分泌が促される。 - テストステロン
テストステロンの分泌を促すのは、上位のホルモンである下垂体からの性腺刺激ホルモンである。適切な運動や脂質の摂取などが関連しているとされるが、分泌刺激であるとまではいえない。 - 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンの分泌を促すのは上位のホルモンである下垂体からの甲状腺刺激ホルモンと、甲状腺ホルモンの血中濃度の低下、寒冷・興奮・妊娠などである。 - 副腎皮質刺激ホルモン
低血糖、疼痛・不安などのストレスによって副腎皮質刺激ホルモンは分泌が促進される。
ホルモンが分泌される状況・刺激を問うている。やや難しい問題といえる。
Q.3
大動脈に血液を送り出す部位はどれか。(第106回)
①左心室
②右心室
③左心房
④右心房
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正解:1
- 左心室
大動脈に血液を送り出すのは左心室である。 - 右心室
右心室は肺動脈に血液を送り出す。 - 左心房
左心房は左心室に血液を送り出す。 - 右心房
右心房は右心室に血液を送り出す。
左心室から全身に血液を送り出す血管を問う問題のアレンジで、ここでは心臓の部位をきいている。
Q.4
脂肪分解酵素はどれか。(第109回)
①ペプシン
②リパーゼ
③マルターゼ
④ラクターゼ
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正解:2
- ペプシン
胃液に含まれるペプシンは、蛋白質をポリペプチドに分解する。 - リパーゼ
胃液や膵液に含まれるリパーゼは、脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する。 - マルターゼ
腸液に含まれるマルターゼは、麦芽糖をブドウ糖に分解する。 - ラクターゼ
腸液に含まれるラクターゼは、乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解する。
主な消化酵素と作用について覚えておこう。
Q.5
成人の1日の平均尿量はどれか。(第103回)
①100mL以下
②200mL~400mL
③1,000mL~1,500mL
④3,000mL以上
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正解:3
- 100mL以下
成人で、1日の平均尿量が100mL以下であれば無尿と判断される。 - 200mL~400mL
成人で、1日の平均尿量が400mL以下であれば乏尿と判断される。 - 1,000mL~1,500mL
成人の1日の平均尿量は1,000~1,500mLである。 - 3,000mL以上
成人で、1日の平均尿量3,000mL以上は多尿と判断される。
成人の1日の平均尿量は1,000~1,500mLである。
Q.6
肝臓の機能で正しいのはどれか。(第107回)
①胆汁の貯蔵
②脂肪の吸収
③ホルモンの代謝
④血漿蛋白質の分解
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正解:3
- 胆汁の貯蔵
胆汁は肝臓でつくられるが、貯蔵するのは胆囊である。 - 脂肪の吸収
脂肪を吸収するのは小腸の中の空腸で行われる。脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解され、胆汁酸の乳化作用によりミセルとなり小腸上皮細胞に吸収される。 - ホルモンの代謝
役目を終えたホルモンは肝臓で不活化されて代謝される。肝機能障害のある男性が女性化乳房となることがあるのはこの機能が低下するためである。 - 血漿蛋白質の分解
肝臓はγグロブリン以外の血漿蛋白質を産生するが分解はしない。食事由来の蛋白質は胃・十二指腸・空腸で消化酵素の作用によりアミノ酸に分解され、血液中の主な蛋白質であるアルブミンは皮膚や筋肉などで分解される。
肝臓は代謝や解毒、胆汁の生成など重要な機能をもつ臓器である。肝臓の機能を整理しておこう。
Q.7
出血性ショックで起こるのはどれか。(第96回)
①体温の上昇
②尿量の増加
③血圧の低下
④皮膚の紅潮
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正解:3
- 体温の上昇
出血性ショックでは循環血液量が減少し、体温はむしろ低下する傾向がある。 - 尿量の増加
出血性ショックでは腎臓への血流量が減少し、尿が生成できなくなるため尿量は低下する。 - 血圧の低下
出血性ショックでは循環血液量が減少し、血圧が低下する。 - 皮膚の紅潮
出血性ショックでは循環血液量が減少し、末梢の皮膚の色が蒼白になる。皮膚が紅潮するショックは血液分布異常性ショックのうちの敗血症性ショックである。
出血により循環血液量が減少したらどうなるかを考える。
Q.8
貧血の定義で正しいのはどれか。(第104回)
①血圧が下がること
②脈拍を自覚すること
③立ち上がると失神すること
④血色素量が減っていること
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正解:4
- 血圧が下がること
貧血の定義に血圧は関係ない。 - 脈拍を自覚すること
貧血の定義に脈拍は関係ない。貧血になると頻脈や動悸が生じる。 - 立ち上がると失神すること
立ち上がると失神することを俗に脳貧血というが貧血ではなく、病態は起立性低血圧である。 - 血色素量が減っていること
血色素(ヘモグロビン)量が減少した状態である。
貧血とはヘモグロビンや赤血球が減少した状態である。ヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリットが貧血の指標となる。
Q.9
典型的なうつ病の症状はどれか。(第107回)
①幻 聴
②感情失禁
③理由のない爽快感
④興味と喜びの喪失
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正解:4
- 幻 聴
統合失調症の典型的な症状の1つである。 - 感情失禁
感情をコントロールできず、些細なことで怒りや悲しみを表出してしまう状態である。脳血管性認知症などでみられる。 - 理由のない爽快感
理由のない爽快感は、双極性障害の躁状態でみられる。 - 興味と喜びの喪失
興味と喜びの喪失は、うつ病の典型的な症状の1つである。
ICD-10に基づくうつ病の典型的な症状として抑うつ気分、易疲労性に加えて興味と喜びの喪失が挙げられている。
Q.10
血中濃度を確認する必要性が最も高い医薬品はどれか。(第104回)
①アスピリン
②フロセミド
③テオフィリン
④インドメタシン
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正解:3
- アスピリン
抗血小板薬・抗炎症薬であるアスピリンは、血中濃度を確認する必要性は低い。 - フロセミド
利尿薬のフロセミドは、血中濃度を確認する必要性は低い。 - テオフィリン
テオフィリンは気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などに使用されるが、けいれん、意識障害、消化管出血など重篤な副作用は血中濃度の上昇に起因することが多いため、血中濃度の確認が必要である。 - インドメタシン
抗炎症薬のインドメタシンは、血中濃度を確認する必要性は低い。
血液中の有効濃度と副作用発現濃度の幅が狭い薬剤においては、定期的に血液中の薬物濃度を測定する血中薬物濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring:TDM)を行う。
Q.11
浮腫の原因となるのはどれか。(第108回)
①膠質浸透圧の上昇
②リンパ還流の不全
③毛細血管内圧の低下
④毛細血管透過性の低下
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正解:2
- 膠質浸透圧の上昇
肝硬変などで肝臓の蛋白質産生能力が低下すると低アルブミン血症となり膠質浸透圧が低下して浮腫が生じる。 - リンパ還流の不全
臓器周囲のリンパ節郭清や乳癌によるリンパ節郭清によりリンパ還流が障害されると浮腫が生じる。 - 毛細血管内圧の低下
うっ血性心不全などでは毛細血管内圧の上昇によって浮腫が起こる。 - 毛細血管透過性の低下
アレルギー反応などで毛細血管透過性が亢進すると浮腫の原因となる。
浮腫は組織の間質に体液が過剰に貯留した状態であり、さまざまな原因がある。
Q.12
脳塞栓症を生じやすい不整脈はどれか。(第109回)
①心室頻拍
②心房細動
③心房性期外収縮
④完全房室ブロック
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正解:2
- 心室頻拍
心室頻拍は脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。 - 心房細動
心房細動によって心臓内に血栓ができやすくなり、心原性脳塞栓症を起こす恐れがある。 - 心房性期外収縮
心房性期外収縮は脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。 - 完全房室ブロック
完全房室ブロックは意識消失などを起こすが、脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。
脳梗塞は、脳血栓症と脳塞栓症に分けられる。塞栓は、閉塞血管とは違う部位で生じた栓子が流れてきて起こる。
Q.13
体温低下を引き起こすのはどれか。(第110回)
①カテコラミンの分泌亢進
②甲状腺ホルモンの分泌低下
③副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
④副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進
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正解:2
- カテコラミンの分泌亢進
カテコラミンの主な機能は心拍数や血糖の上昇、血圧上昇である。分泌亢進は褐色細胞腫を引き起こす。 - 甲状腺ホルモンの分泌低下
甲状腺ホルモンの主な機能は熱量産生、基礎代謝亢進である。分泌低下は低体温を引き起こす。 - 副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
副甲状腺ホルモン〈PTH〉の主な機能は血中Ca濃度の上昇である。分泌低下は、テタニーを引き起こす。 - 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進
副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の主な機能は糖質コルチコイドの合成と分泌亢進である。このホルモンの分泌低下により体温が低下することがあるが、選択肢は分泌亢進なので選ぶことができない。
ホルモンは目的とする組織や器官の働きの調節に関与する特殊な化学物質である。産生部位や機能を覚えておこう。
Q.14
巨赤芽球性貧血の原因はどれか。(第110回)
①ビタミンA欠乏
②ビタミンB12欠乏
③ビタミンC欠乏
④ビタミンE欠乏
⑤ビタミンK欠乏
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正解:2
- ビタミンA欠乏
ビタミンAの欠乏で起こるのは夜盲症である。 - ビタミンB12欠乏
ビタミンB12の欠乏で巨赤芽球性貧血が起こる。 - ビタミンC欠乏
ビタミンCの欠乏で起こるのは、壊血病である。 - ビタミンE欠乏
ビタミンEの欠乏で起こるのは、溶血性貧血である。 - ビタミンK欠乏
ビタミンKの欠乏では、出血傾向となる。
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏が原因で起こる貧血である。
Q.15
喀血の特徴はどれか。(第110回)
①酸性である。
②泡沫状である。
③食物残渣を含む。
④コーヒー残渣様である。
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正解:2
- 酸性である。
喀血はアルカリ性、吐血は酸性である。 - 泡沫状である。
喀血は鮮血で泡沫状になりやすい。 - 食物残渣を含む。
喀血は食物残渣は含まない。食物残渣が含まれることがあるのは吐血である。 - コーヒー残渣様である。
コーヒー残渣様となりやすいのは吐血である。
呼吸器からの喀血と消化管からの吐血は比較しながら覚えるとよい。
Q.16
開放骨折で正しいのはどれか。(第95回)
①複数の骨が同時に折れている。
②複雑な折れ方をしている。
③骨折部が外界と交通している。
④骨片の転位を起こしていない。
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正解:3
- 複数の骨が同時に折れている。
複数の骨が同時に折れているのが開放骨折ではない。 - 複雑な折れ方をしている。
複雑な折れ方をしている骨折を粉砕骨折という。複雑骨折ではないので注意する。 - 骨折部が外界と交通している。
骨折部が外界と交通している(=皮膚の損傷を伴う)ものを開放骨折あるいは複雑骨折という。 - 骨片の転位を起こしていない。
骨片の転位を起こしていない骨折が開放骨折ではない。転位とは折れた骨の骨片が本来の位置からずれていることをいう。
開放骨折は複雑骨折とも呼ばれる。その他、ヒビが入った程度の骨折を不全骨折といい、骨の連続性が完全に断たれた状態を完全骨折という。
Q.17
認知症の認知機能障害(中核症状)はどれか。(第105回改変)
①幻 聴
②抑うつ
③希死念慮
④見当識障害
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正解:4
- 幻 聴
幻聴はBPSDである。 - 抑うつ
抑うつはBPSDである。 - 希死念慮
BPSDに抑うつ症状や不安があり、希死念慮からの自殺に注意すべきであるが、認知機能障害ではない。 - 見当識障害
見当識障害は認知症の認知機能障害である。
認知症の認知機能障害(中核症状)は、①記憶障害、②見当識障害、③認知障害(失語、失行、失認)、④実行機能障害である。一方、認知機能障害を基盤に患者の性格や環境などに影響して出現する妄想・幻覚・抑うつ症状・興奮・徘徊・意欲の低下などの症状を行動・心理症状(BPSD)という。
Q.18
せん妄の誘発因子はどれか。(第106回)
①身体拘束
②心血管障害
③低栄養状態
④電解質バランス異常
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正解:1
- 身体拘束
身体拘束は誘発因子である。 - 心血管障害
心血管障害は直接因子である。 - 低栄養状態
低栄養状態は直接因子である。 - 電解質バランス異常
電解質バランス異常は直接因子である。
せん妄発生のメカニズムでは直接因子(それだけでも意識障害をきたしうる要因)、準備因子(代表例は高齢、認知症、脳血管疾患の既往など)、誘発因子(集中治療室などの環境要因、身体拘束、不快な身体症状など)等を考える。
Q.19
経口与薬するワクチンはどれか。(第96回改変)
①麻 疹
②風 疹
③ジフテリア
④急性灰白髄炎(ポリオ)
⑤ロタウイルス感染症
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正解:5
- 麻 疹
麻疹ワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。 - 風 疹
風疹ワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。 - ジフテリア
ジフテリアワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。 - 急性灰白髄炎(ポリオ)
ポリオワクチンは現在は皮下注射である。経口接種は廃止された。 - ロタウイルス感染症
令和2年(2020年)に定期接種となったロタウイルスのワクチンは2種類あるが、どちらも経口接種である。
かつては定期接種のポリオは経口接種であったが現在は皮下注射である。
Q.20
母体から胎児への感染はどれか。(第107回)
①水平感染
②垂直感染
③接触感染
④飛沫感染
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正解:2
- 水平感染
水平感染はヒトからヒトへ直接病原微生物が伝わる感染様式だが、垂直感染は除外される。 - 垂直感染
垂直感染とは、母体から胎児・児に直接病原微生物が伝わって感染する。具体的には胎盤を介した感染、産道を介した感染、母乳を介した感染である。 - 接触感染
病原微生物をもつヒトとの濃厚接触(性行為など)、病原微生物をもつ動物との接触や咬傷などから感染することを接触感染という。 - 飛沫感染
咳やくしゃみなどを通じて、直径5μm以上の飛沫粒子によって感染を生じるのが飛沫感染である。
感染様式を整理しておこう。