第78回　国家試験対策過去問題

正解：４

1. 右心房
   右心房は右心室に静脈血を送り出す。
2. 右心室
   右心室は肺へ静脈血を送り出す。
3. 左心房
   左心房は左心室へ動脈血を送り出す。
4. 左心室
   全身に動脈血を送り出すのは左心室で、収縮によって大動脈へと動脈血を送り全身へと供給する。

心臓の主となるポンプは左心室の心筋がつくり出す血液を送る力によって成立する。

正解：４

1. アルドステロン
   アルドステロンは副腎皮質から分泌され、脱水・血圧低下・腎血流量の低下・高カリウム血症・アンジオテンシンⅡの刺激によって分泌が促される。
2. テストステロン
   テストステロンの分泌を促すのは、上位のホルモンである下垂体からの性腺刺激ホルモンである。適切な運動や脂質の摂取などが関連しているとされるが、分泌刺激であるとまではいえない。
3. 甲状腺ホルモン
   甲状腺ホルモンの分泌を促すのは上位のホルモンである下垂体からの甲状腺刺激ホルモンと、甲状腺ホルモンの血中濃度の低下、寒冷・興奮・妊娠などである。
4. 副腎皮質刺激ホルモン
   低血糖、疼痛・不安などのストレスによって副腎皮質刺激ホルモンは分泌が促進される。

ホルモンが分泌される状況・刺激を問うている。やや難しい問題といえる。

正解：１

1. 左心室
   大動脈に血液を送り出すのは左心室である。
2. 右心室
   右心室は肺動脈に血液を送り出す。
3. 左心房
   左心房は左心室に血液を送り出す。
4. 右心房
   右心房は右心室に血液を送り出す。

左心室から全身に血液を送り出す血管を問う問題のアレンジで、ここでは心臓の部位をきいている。

正解：２

1. ペプシン
   胃液に含まれるペプシンは、蛋白質をポリペプチドに分解する。
2. リパーゼ
   胃液や膵液に含まれるリパーゼは、脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する。
3. マルターゼ
   腸液に含まれるマルターゼは、麦芽糖をブドウ糖に分解する。
4. ラクターゼ
   腸液に含まれるラクターゼは、乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解する。

主な消化酵素と作用について覚えておこう。

正解：３

1. 100mL以下
   成人で、1日の平均尿量が100mL以下であれば無尿と判断される。
2. 200mL～400mL
   成人で、1日の平均尿量が400mL以下であれば乏尿と判断される。
3. 1,000mL～1,500mL
   成人の1日の平均尿量は1,000～1,500mLである。
4. 3,000mL以上
   成人で、1日の平均尿量3,000mL以上は多尿と判断される。

成人の1日の平均尿量は1,000～1,500mLである。

正解：３

1. 胆汁の貯蔵
   胆汁は肝臓でつくられるが、貯蔵するのは胆囊である。
2. 脂肪の吸収
   脂肪を吸収するのは小腸の中の空腸で行われる。脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解され、胆汁酸の乳化作用によりミセルとなり小腸上皮細胞に吸収される。
3. ホルモンの代謝
   役目を終えたホルモンは肝臓で不活化されて代謝される。肝機能障害のある男性が女性化乳房となることがあるのはこの機能が低下するためである。
4. 血漿蛋白質の分解
   肝臓はγグロブリン以外の血漿蛋白質を産生するが分解はしない。食事由来の蛋白質は胃・十二指腸・空腸で消化酵素の作用によりアミノ酸に分解され、血液中の主な蛋白質であるアルブミンは皮膚や筋肉などで分解される。

肝臓は代謝や解毒、胆汁の生成など重要な機能をもつ臓器である。肝臓の機能を整理しておこう。

正解：２

1. 膠質浸透圧の上昇
   肝硬変などで肝臓の蛋白質産生能力が低下すると低アルブミン血症となり膠質浸透圧が低下して浮腫が生じる。
2. リンパ還流の不全
   臓器周囲のリンパ節郭清や乳癌によるリンパ節郭清によりリンパ還流が障害されると浮腫が生じる。
3. 毛細血管内圧の低下
   うっ血性心不全などでは毛細血管内圧の上昇によって浮腫が起こる。
4. 毛細血管透過性の低下
   アレルギー反応などで毛細血管透過性が亢進すると浮腫の原因となる。

浮腫は組織の間質に体液が過剰に貯留した状態であり、さまざまな原因がある。

正解：２

1. 心室頻拍
   心室頻拍は脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。
2. 心房細動
   心房細動によって心臓内に血栓ができやすくなり、心原性脳塞栓症を起こす恐れがある。
3. 心房性期外収縮
   心房性期外収縮は脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。
4. 完全房室ブロック
   完全房室ブロックは意識消失などを起こすが、脳塞栓症を生じやすい不整脈ではない。

脳梗塞は、脳血栓症と脳塞栓症に分けられる。塞栓は、閉塞血管とは違う部位で生じた栓子が流れてきて起こる。

正解：２

1. 酸性である。
   喀血はアルカリ性、吐血は酸性である。
2. 泡沫状である。
   喀血は鮮血で泡沫状になりやすい。
3. 食物残渣を含む。
   喀血は食物残渣は含まない。食物残渣が含まれることがあるのは吐血である。
4. コーヒー残渣様である。
   コーヒー残渣様となりやすいのは吐血である。

呼吸器からの喀血と消化管からの吐血は比較しながら覚えるとよい。

正解：３

1. 複数の骨が同時に折れている。
   複数の骨が同時に折れているのが開放骨折ではない。
2. 複雑な折れ方をしている。
   複雑な折れ方をしている骨折を粉砕骨折という。複雑骨折ではないので注意する。
3. 骨折部が外界と交通している。
   骨折部が外界と交通している（＝皮膚の損傷を伴う）ものを開放骨折あるいは複雑骨折という。
4. 骨片の転位を起こしていない。
   骨片の転位を起こしていない骨折が開放骨折ではない。転位とは折れた骨の骨片が本来の位置からずれていることをいう。

開放骨折は複雑骨折とも呼ばれる。その他、ヒビが入った程度の骨折を不全骨折といい、骨の連続性が完全に断たれた状態を完全骨折という。

正解：４

1. 幻 聴
   幻聴はBPSDである。
2. 抑うつ
   抑うつはBPSDである。
3. 希死念慮
   BPSDに抑うつ症状や不安があり、希死念慮からの自殺に注意すべきであるが、認知機能障害ではない。
4. 見当識障害
   見当識障害は認知症の認知機能障害である。

認知症の認知機能障害（中核症状）は、①記憶障害、②見当識障害、③認知障害（失語、失行、失認）、④実行機能障害である。一方、認知機能障害を基盤に患者の性格や環境などに影響して出現する妄想・幻覚・抑うつ症状・興奮・徘徊・意欲の低下などの症状を行動・心理症状（BPSD）という。

正解：１

1. 身体拘束
   身体拘束は誘発因子である。
2. 心血管障害
   心血管障害は直接因子である。
3. 低栄養状態
   低栄養状態は直接因子である。
4. 電解質バランス異常
   電解質バランス異常は直接因子である。

せん妄発生のメカニズムでは直接因子（それだけでも意識障害をきたしうる要因）、準備因子（代表例は高齢、認知症、脳血管疾患の既往など）、誘発因子（集中治療室などの環境要因、身体拘束、不快な身体症状など）等を考える。

正解：５

1. 麻 疹
   麻疹ワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。
2. 風 疹
   風疹ワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。
3. ジフテリア
   ジフテリアワクチンは皮下注射である。経口接種ではない。
4. 急性灰白髄炎（ポリオ）
   ポリオワクチンは現在は皮下注射である。経口接種は廃止された。
5. ロタウイルス感染症
   令和2年（2020年）に定期接種となったロタウイルスのワクチンは2種類あるが、どちらも経口接種である。

かつては定期接種のポリオは経口接種であったが現在は皮下注射である。

正解：２

1. 水平感染
   水平感染はヒトからヒトへ直接病原微生物が伝わる感染様式だが、垂直感染は除外される。
2. 垂直感染
   垂直感染とは、母体から胎児・児に直接病原微生物が伝わって感染する。具体的には胎盤を介した感染、産道を介した感染、母乳を介した感染である。
3. 接触感染
   病原微生物をもつヒトとの濃厚接触（性行為など）、病原微生物をもつ動物との接触や咬傷などから感染することを接触感染という。
4. 飛沫感染
   咳やくしゃみなどを通じて、直径5μm以上の飛沫粒子によって感染を生じるのが飛沫感染である。

感染様式を整理しておこう。