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国家試験対策問題
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第83回 国家試験対策過去問題

国家試験

ジゴキシンの主な有害な作用はどれか。(第103回)

①振 戦

②不整脈
③聴覚障害
④満月様顔貌〈ムーンフェイス〉

  1. 振 戦
    振戦は、抗精神病薬などの副作用である。
  2. 不整脈
    ジゴキシンによる主な有害作用は不整脈である。
  3. 聴覚障害
    聴覚障害は、ストレプトマイシンなどの副作用である。
  4. 満月様顔貌〈ムーンフェイス〉
    満月様顔貌(ムーンフェイス)は副腎皮質ステロイド薬の副作用である。

薬剤の有害な作用と、その原因となる主な薬剤の組合せを整理しておこう。

インスリン自己注射の投与経路はどれか。(第98回)

①皮 内

②皮 下
③筋肉内
④静脈内

  1. 皮 内
    皮内注射はツベルクリン反応検査や、アレルギー検査の皮内テストなどで行われる。
  2. 皮 下
    皮下注射が正しい。自己注射用のペン型注射器では、皮膚をつまんで直角に針を刺入する。注射に適した部位としては、腹部、殿部、大腿部などがある。
  3. 筋肉内
    インスリン製剤の多くは皮下注射で与薬されることを前提に作られている。不適切な自己注射で、皮下注射より深い筋肉内注射となってしまうことがあるが、製剤が想定の速度で効果を発現しないため注意する。
  4. 静脈内
    速効型のインスリン製剤は静脈内点滴をすることが可能だが、自己注射では行わない。

インスリン製剤は基本的には皮下注射で与薬する。

出血傾向を考慮し手術前に投与の中止を検討するのはどれか。(第107回)

①アドレナリン
②テオフィリン
③ワルファリン
④バンコマイシン

  1. アドレナリン
    アドレナリンは昇圧薬であり、出血傾向とは関連が薄い。
  2. テオフィリン
    テオフィリンは気管支拡張薬であり、出血傾向とは関連がない。
  3. ワルファリン
    出血傾向を考慮し手術前に投与の中止を検討するのは、抗血栓薬のワルファリンである。
  4. バンコマイシン
    バンコマイシンは抗菌薬であり、出血傾向とは関連がない。

抗血栓薬は、出血傾向を考慮して手術や内視鏡検査の前には中止を検討する必要がある。

医薬品表示を別に示す。劇薬の表示で正しいのはどれか。(第106回)


  1. 黒地に白枠、白字で表すのは毒薬である。

  2. ②は白地に黒枠、黒字であり誤りである。

  3. ③は該当せず誤りである。

  4. 該当するのは④である。

劇薬は、白地に赤枠、赤字で「劇」と記載されていなければならない。

15%塩化カリウム注射液原液の静脈内投与で起こり得るのはどれか。(第99回)

①無 尿
②発 熱
③心停止
④骨髄抑制

  1. 無 尿
    15%塩化カリウム注射液原液の静脈内投与後に無尿は生じない。なお、無尿時にカリウムを含む補液は、カリウムの排泄低下により高カリウム血症を招く恐れがあるため禁忌である。
  2. 発 熱
    15%塩化カリウム注射液原液の静脈内投与後に発熱は生じない。
  3. 心停止
    高カリウム血症が生じるため、致死性の不整脈や心停止の恐れがある。
  4. 骨髄抑制
    15%塩化カリウム注射液原液の静脈内投与後に骨髄抑制は生じない。

血清カリウムの基準値は3.5~5.0mEq/Lと範囲が狭い。15%塩化カリウム注射液原液の静脈内投与では過剰投与となり、高カリウム血症が生じる。

患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。(第104回)

①専門用語を用いて説明する。
②視線を合わせずに会話をする。
③沈黙が生じたら会話を終える。
④患者の非言語的な表現を活用する。

  1. 専門用語を用いて説明する。
    適切ではない。専門用語を用いずに誰にでもわかる言葉で説明する。
  2. 視線を合わせずに会話をする。
    視線は非言語的な表現の1つである。視線を合わせていないと、話を聞いていない印象を与えてしまう。適度に視線を合わせるとよい。
  3. 沈黙が生じたら会話を終える。
    沈黙によって会話が終了することもあるかもしれないが、聞き方や話題を変える、沈黙の意味などを汲み取って、必要時、患者が思いを表出できるよう関わる、などを試みる必要があり、適切とはいえない。
  4. 患者の非言語的な表現を活用する。
    患者とのコミュニケーションにおいて、表情や顔色、視線などの非言語的な表現を活用するのは正しい。

コミュニケーションには言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションがある。

関節可動域〈ROM〉の単位はどれか。(第104回)

①回
②度
③kg
④cm


  1. 単位は回ではない。

  2. 角度を測定するため、単位は度である。
  3. kg
    単位はkgではない。
  4. cm
    単位はcmではない。

関節が生理的に運動することができる範囲(角度)のことを関節可動域(ROM)という。測定は、自然に立っている状態で体幹や四肢のとる肢位を解剖学的肢位0度とし、関節角度計を用いて関節の運動範囲を5度刻みに測定する。

意識レベルを評価するスケールはどれか。(第109回)

①Borg〈ボルグ〉スケール
②フェイススケール
③ブリストルスケール
④グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉

  1. Borg〈ボルグ〉スケール
    ボルグスケールは、主観的運動強度を評価するもので、運動時の息切れを評価して、運動強度を調節するのに用いる。
  2. フェイススケール
    フェイススケールは、疼痛(痛み)の程度を評価するスケールである。
  3. ブリストルスケール
    ブリストルスケールは、便の性状を評価するスケールである。
  4. グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉
    グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は、意識レベルを評価するスケールである。開眼機能(E)、言語反応(V)、運動反応(M)を評価する。

意識レベルを評価するスケールには、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)以外に、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)がある。

聴診時、呼吸音が消失している場合に考えられる病態はどれか。(第103回追試)

①肺 炎
②肺水腫
③肺梗塞
④無気肺

  1. 肺 炎
    肺炎では、水泡音が生じる。
  2. 肺水腫
    肺水腫では、水泡音が生じる。
  3. 肺梗塞
    肺梗塞では呼吸音の減弱や水泡音が生じる。
  4. 無気肺
    無気肺は肺胞に空気が入らなくなっているため呼吸音が消失する。そのほか、患側で呼吸音が減弱または消失する疾患に気胸がある。

呼吸音が減弱・消失しているか、増強しているか、また音の種類などにより、病態や疾患を推測することができる。

自動体外式除細動器〈AED〉の電極パッドの貼付位置を図に示す。適切なのはどれか。(第110回)


  1. 右前胸部と左側胸部に貼るのが標準的であり、これが適切である。

  2. 左右の胸部中央となっており、適切ではない。

  3. 右胸部中央・右側胸部となっており、心臓もはさんでおらず、適切ではない。

  4. 右側胸部・左前胸部となっており、適切ではない。

AEDの電極パッドは心臓をはさむように、右前胸部と左側胸部に装着する。慌てないように貼る位置のイラストが電極パッド自体に印刷されているので、見覚えがあるかもしれない。

嚥下障害のある患者の食事介助で適切なのはどれか。(第102回)

①水分はとろみをつける。
②頸部を伸展する。
③一口量を多くする。
④むせたときには水を飲ませる。

  1. 水分はとろみをつける。
    水分そのものや、水分と固形分が混じったものはむせやすいため、水分にはとろみをつけるのが適切である。
  2. 頸部を伸展する。
    嚥下障害のある場合、頸部を少し前屈したほうが、咽頭と気道に角度がついて誤嚥しにくくなる。逆に、頸部が伸展して咽頭と気道が直線になっていると、誤嚥しやすくなる。
  3. 一口量を多くする。
    「嚥下=飲み込み」が障害されるので、一口量を多くすると飲み込みきれない摂取物が口の中に残ったり、飲み込む力が不足しているために窒息の危険がある。一口量は患者や食物の種類によって異なるので適切な量に調整する。
  4. むせたときには水を飲ませる。
    水分そのものや、水分と固形分が混じったものはむせやすいので、適切ではない。食事中にむせた場合は前かがみになり、しっかりと咳をするよう促し、口の中にあるものを取り除く。むせが治まったら深呼吸をしてもらう。

嚥下障害のある患者が、安全に栄養を摂取するための適切な食事介助を考えよう。

グリセリン浣腸を実施する際、腸管穿孔の危険性が最も高い体位はどれか。(第102回)

①立 位
②側臥位
③仰臥位
④シムス位

  1. 立 位
    立位では肛門部の緊張が強く浣腸のチューブを挿入しにくくなり、チューブを強く押し込みがちになる。肛門部を観察しにくいため盲目的になるうえ、解剖学的に直腸はカーブしているのでまっすぐに押し込むと腸管の穿孔の危険性がある。
  2. 側臥位
    選択肢の体位の中では(左)側臥位が最もよい。これは解剖学的に結腸が左にあるために浣腸液の進入と停留が起こりやすいからである。
  3. 仰臥位
    側臥位がとれない患者の場合、仰臥位で行うこともあるが、肛門部にチューブを挿入するときには十分注意し、浣腸液の流出に備えて準備する。
  4. シムス位
    シムス位(半腹臥位)がとれるのであれば側臥位で行ったほうがよい。(左)側臥位だと解剖学的に結腸が左にあるために浣腸液の進入と停留が起こりやすいからである。

浣腸を実施する体位について、腸管の解剖学的形態も踏まえて適切な体位を押さえておこう。

骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。(第105回)

①溢流性尿失禁

②切迫性尿失禁
③反射性尿失禁
④腹圧性尿失禁

  1. 溢流性尿失禁
    前立腺肥大症など尿路に異常があって残尿が多量となり膀胱から尿が溢れる形で失禁するのが溢流性尿失禁である。尿路異常の治療によって改善することがある。
  2. 切迫性尿失禁
    切迫性尿失禁は神経因性膀胱や膀胱機能の加齢変化が原因で、突然に強い尿意をもよおし、我慢できずに尿が漏れてしまう。過活動膀胱や頻尿を伴うことが多い。過活動膀胱は適度に尿を我慢するような習慣をつけたり、薬物治療をしたりすることによって改善する。
  3. 反射性尿失禁
    反射性尿失禁は脊髄損傷などで起こる。通常は排尿してもよい状況であると身体が判断すれば大脳皮質からの排尿に対する抑制がなくなり排尿反射が引き起こされるが、脊髄の損傷によりこの抑制がない状態で反射的な刺激を受けると尿失禁が生じる。ただし、脊髄損傷では腹圧性尿失禁なども生じやすい。
  4. 腹圧性尿失禁
    腹圧性尿失禁は腹圧がかかるくしゃみや咳、動作などで尿が漏れる。骨盤底筋群の弛緩や前立腺の術後などに起こる。出産や生活習慣、加齢の影響で弛緩した骨盤底筋群を鍛えることで改善できることがある。

尿失禁の種類や原因、対処方法を整理しておこう。

爪の切り方の模式図を示す。爪のケアとして適切な切り方はどれか。(第102回)


  1. 美容的にはスクエアという形で割れにくいとされるが、指の先端から出ている部分が長く、爪の端が四角いため、衣類や皮膚をひっかける恐れがあり安全性では選択肢[2]に劣る。

  2. 指の先端と爪の長さが同じくらいで、爪が指を保護する役割を最も果たしている。また爪の両端を指の形に合わせていることから衣類や皮膚をひっかける恐れもない。最も適切である。

  3. 美容的にはポイントという形に近いが、爪の先端がとがっており、指の先端から出ている部分も長いため、爪が割れやすく、皮膚などを傷つける恐れがある。作業やセルフケアをやりにくい切り方である。

  4. 形は正答の選択肢[2]と同じであるが深爪すぎるため、爪が皮膚に食い込んだり変形して伸びてきやすい。また指の先端を保護するという意味でも安全性が選択肢[2]に劣る。

正しい爪切りの方法を確認しよう。

患者の洗髪の介助方法で適切なのはどれか。(第110回)

①30℃の湯をかける。
②脱脂綿で耳栓をする。
③指の腹を使って洗う。
④強い振動を加えて洗う。

  1. 30℃の湯をかける。
    30℃では低い。洗髪の湯温は38~41℃くらいがよい。
  2. 脱脂綿で耳栓をする。
    脱脂綿では水分を吸ってしまうため、油分を多く含む青梅綿で耳栓をする。
  3. 指の腹を使って洗う。
    看護師の爪で頭皮を傷つけたりすることがないよう、指腹で洗う。
  4. 強い振動を加えて洗う。
    強い振動を加えると、めまいを起こしたりするおそれがあり、適切ではない。

清潔の援助の基本は実習で行うことも多いので確実に覚えておこう。

最も高い照度を必要とするのはどれか。(第104回)

①病 室
②手術野
③外来の廊下
④ナースステーション

  1. 病 室
    病室は100ルクスと規定されている。
  2. 手術野
    手術室は最も高い照度が求められ1,000ルクスで、手術野では10,000~100,000ルクスとされている。
  3. 外来の廊下
    外来の廊下は200ルクスと規定されている。
  4. ナースステーション
    ナースステーションは看護婦室として500ルクスとされている。

日本産業標準調査会の照明基準総則(JIS Z9110-2010)で保健医療施設として推奨の照度が規定されている。

インシデントレポートの目的はどれか。(第103回)

①責任の追及
②再発の防止
③懲罰の決定
④相手への謝罪

  1. 責任の追及
    責任の追及のためではない。
  2. 再発の防止
    再発防止を目的とする。
  3. 懲罰の決定
    懲罰の決定が目的ではない。
  4. 相手への謝罪
    相手への謝罪が目的ではない。

インシデントレポートあるいはアクシデントレポートは医療事故になりそうな事例や医療事故について記述し、報告・共有するものである。目的は、事実を組織として分析し、その要因を明らかにし、再発防止のための対策を講じることである。

スタンダードプリコーションで予防するのはどれか。(第101回)

①誤 薬
②誤 嚥
③患者誤認
④院内感染
⑤転倒・転落

  1. 誤 薬
    誤薬は予防できない。
  2. 誤 嚥
    誤嚥は予防できない。
  3. 患者誤認
    患者誤認は予防できない。
  4. 院内感染
    スタンダードプリコーションはすべての患者を対象にして感染症の伝播を防ぎ院内感染を予防する。
  5. 転倒・転落
    転倒・転落は予防できない。

感染症の有無にかかわらず、すべての患者の血液・体液・汗を除く分泌物・排泄物・粘膜・損傷した皮膚が感染源であるとするのがスタンダードプリコーションである。

鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。(第103回)

①肺 炎
②気 胸
③嗄 声
④無気肺

  1. 肺 炎
    鎖骨下静脈への中心静脈カテーテル挿入によって肺炎は生じない。
  2. 気 胸
    中心静脈カテーテル挿入の際に気胸が起こりやすい。X線撮影によりカテーテルの走行と先端の位置を確認することが重要である。
  3. 嗄 声
    鎖骨下静脈への中心静脈カテーテル挿入によって嗄声が起こる可能性は低い。
  4. 無気肺
    鎖骨下静脈への中心静脈カテーテル挿入によって無気肺は生じない。

鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際には気胸、血栓形成、カテーテル位置異常などが起こりやすい。

皮下注射で適切なのはどれか。(第109回)

①注射部位を伸展する。
②注射針は18~20Gを使用する。
③針の刺入角度は45~90度にする。
④皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。

  1. 注射部位を伸展する。
    皮下注射は、注射部位の皮膚を少しつまみ上げて行う。
  2. 注射針は18~20Gを使用する。
    皮下注射の注射針は、23~25Gを用いる。
  3. 針の刺入角度は45~90度にする。
    皮下注射の針の刺入角度は、10~30度である。
  4. 皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。
    皮下注射は、皮下脂肪が5mm以上ある部位に行う。上腕伸側、腹部、大腿前面が用いられる。

皮下注射は、インスリン注射やワクチン接種などで用いられる注射法である。

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