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国家試験対策問題
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第90回 国家試験対策過去問題

国家試験

QOLを評価する上で最も重要なのはどれか。(第103回追試)

①本人の満足感

②在院日数の短縮
③生存期間の延長
④高度医療の受療

  1. 本人の満足感
    個人の生活における満足感、幸福感などが大きく関係する。
  2. 在院日数の短縮
    在院日数の短縮によって満足感や幸福感を得ることができなければQOLは向上せず、評価もできない。
  3. 生存期間の延長
    生存期間の延長によって満足感や幸福感を得ることができなければQOLは向上せず、評価もできない。
  4. 高度医療の受療
    高度医療の受療によって満足感や幸福感を得ることができなければQOLは向上せず、評価もできない。

QOL(quality of life)は人生の質、生活の質などと訳される。世界保健機関(WHO)は1994年に「個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準または関心に関連した自分自身の人生の状態に対する認識」と定義している。

胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。(第108回)

①肺動脈

②肺静脈
③臍動脈
④臍静脈

  1. 肺動脈
    胎児循環では母体から酸素が供給されているため、肺は機能しておらず肺へ循環する血液はわずかである。また上半身からの静脈血は右心房に集まり臍静脈からの動脈血と混じり合うため、右心房からの肺動脈の血液は臍静脈を流れる動脈血より酸素は少ない。
  2. 肺静脈
    選択肢[1]の解説のとおり、胎児循環では肺は機能しておらず、肺を通ってきた肺静脈の血液は臍静脈を流れる動脈血より酸素は少ない。
  3. 臍動脈
    胎児から胎盤へ戻る臍動脈には胎児の静脈血が流れ、酸素は少ない。
  4. 臍静脈
    臍へ向かうのが臍動脈で、臍からくるのが臍静脈である。胎盤から胎児へ向かう臍静脈には胎盤で酸素や栄養を受け取った血液である動脈血が流れる。

胎児期には胎盤が肺の役割を担っており、肺循環は未完成である。

大泉門が閉鎖する時期はどれか。(第99回)

①1か月
②6か月
③1歳6か月
④3歳

  1. 1か月
    1か月ではない。
  2. 6か月
    6か月ではない。
  3. 1歳6か月
    大泉門が閉鎖するのは生後1年3か月~1年6か月であるため、1歳6か月は正しい。脳圧が亢進する異常があると膨隆し、脱水時には陥没する。なお、小泉門は生後まもなく閉鎖する。
  4. 3 歳
    3歳ではない。

分娩時には児の頭蓋骨の結合は緩く、骨同士で重なることができる。頭蓋骨には大泉門・小泉門という隙間がある。大泉門が閉鎖するのは生後1年3か月~1年6か月である。

二次性徴で正しいのはどれか。(第99回)

①ホルモン変化を伴う。
②男子にはみられない。
③特定の身長になると発現する。
④乳房の発育と初経の発来の順序は個人によって異なる。

  1. ホルモン変化を伴う。
    小児期には視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン・下垂から性腺刺激ホルモンが分泌されていないが、思春期にこれらのホルモンが分泌されるようになると二次性徴が出現する。つまりホルモン変化によるものである。
  2. 男子にはみられない。
    解説[1]のとおり、二次性徴に伴うホルモン変化は男女ともに起こる。
  3. 特定の身長になると発現する。
    体型の成長が早いと二次性徴が早く起こる傾向はあるが、特定の身長になると二次性徴が発現するとはいえない。
  4. 乳房の発育と初経の発来の順序は個人によって異なる。
    二次性徴の現れ方には順序がある。よって、乳房の発育と初経の発来の順序は個人によって異なるというのは誤りである。

必修問題のためには細かく二次性徴の内容や順序を覚える必要はないが、基本的な特徴は押さえておく。

成人期において基礎代謝量が最も多い時期はどれか。(第102回)

①青年期
②壮年前期
③壮年後期
④向老期

  1. 青年期
    基礎代謝量は体重1kg当たりの1日の基礎代謝基準値に体重を乗じて計算する。基礎代謝基準値は年齢が若いほど高いが、体重を乗じて算出すると青年期が最も高くなる。
  2. 壮年前期
    基礎代謝量は青年期をピークに加齢に従って低下していくため、壮年前期は基礎代謝量が最も多い時期ではない。
  3. 壮年後期
    基礎代謝量は青年期をピークに加齢に従って低下していくため、壮年後期は基礎代謝量が最も多い時期ではない。
  4. 向老期
    基礎代謝量は青年期をピークに加齢に従って低下していくため、向老期は基礎代謝量が最も多い時期ではない。

基礎代謝量は青年期をピークに加齢に従って低下していくため、青年期>壮年前期>壮年後期>向老期と低くなっていく。

乳歯がはえそろう時期はどれか。(第95回改変)

①6か月~1歳
②2~3歳
③3~4歳
④4~5歳

  1. 6か月~1歳
    はえそろうのは6か月~1歳ではない。
  2. 2~3歳
    2~3歳ころに計20本がはえそろう。
  3. 3~4歳
    はえそろうのは3~4歳ではない。
  4. 4~5歳
    はえそろうのは4~5歳ではない。

乳歯がはえ始めるのは生後6~8か月ころで、2~3歳ころに計20本がはえそろう。永久歯は6歳ころから乳歯に代わってはえ始め、13歳ころに智歯(親知らず)4本を除く28本がはえそろう。

我が国の令和元年(2019年)の児童の疾病・異常被患率で最も多いのはどれか。(第97回改変)

①う歯
②肥満傾向
③心電図異常
④裸眼視力1.0未満

  1. う 歯
    う歯は44.8%で最も多い。
  2. 肥満傾向
    肥満傾向は「主な疾病・異常罹患率」の中に含まれておらず、栄養状態として肥満と痩身を一緒にしている。1.54%であった。
  3. 心電図異常
    心電図異常は2.42%であった。
  4. 裸眼視力1.0未満
    裸眼視力1.0未満は34.6%であった。

最も多い疾病・異常は幼稚園・小学校ではう歯であるが、中学校・高等学校では裸眼視力1.0未満となる。

老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。(第103回追試)

①視野は拡大する。
②味覚は敏感になる。
③唾液の量は増加する。
④胃液の分泌は減少する。

  1. 視野は拡大する。
    老年期には眼瞼下垂、網膜の神経細胞数の減少などから視野が狭くなる。
  2. 味覚は敏感になる。
    老年期には味蕾細胞数の減少、唾液分泌量の低下、嗅覚の低下などが起こり、味覚は鈍感になる。
  3. 唾液の量は増加する。
    老年期には唾液の量が減少する。これによって生理的な口腔の清浄化や嚥下が障害される。
  4. 胃液の分泌は減少する。
    老年期には胃粘膜の萎縮、胃底腺の減少などにより胃液分泌量が減少する。

老年期の生理的変化について整理しておこう。

加齢によって衰えやすい機能はどれか。(第104回)

①記銘力
②洞察力
③判断力
④統合力

  1. 記銘力
    流動性知能には計算力や記銘力が含まれ、加齢によって衰えやすい。
  2. 洞察力
    洞察力は結晶性知能であり、経験や知識により獲得され、統合されるものであるため、老年期にも低下しにくい。
  3. 判断力
    判断力は結晶性知能であり、経験や知識により獲得され、統合されるものであるため、老年期にも低下しにくい。
  4. 統合力
    統合力の定義が不明であるが、経験や知識により獲得されたさまざまな能力を統合したものであると仮定すれば、結晶性知能に該当し、老年期にも低下しにくい。

知能は流動性知能と結晶性知能に分けられる。

体位の写真を別に示す。Fowler〈ファウラー〉位はどれか。(第102回)

Fowler

  1. 側臥位である。基底面積が狭いため不安定となりやすいので四肢の屈曲やクッションで安定させるとよい。

  2. 仰臥位で下肢を挙上した体位である。脳血流が低下したときに下肢からの静脈還流の増加を目的として用いるが、血圧上昇の効果は一時的である。

  3. 仰臥位である。基底面積が広く安定するため、エネルギー消費が少ない。

  4. ファウラー位(半座位)である。横隔膜や内臓が下がり、呼吸を楽にする体位である。

  5. 顔を右に向けた腹臥位である。基底面積が広いが、胸腹部が圧迫されるため、呼吸がしにくくなったり苦痛を感じたりする可能性がある。

それぞれの体位の名称とその特徴を押さえておこう。

機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。(第104回)

①1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つ。
②内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
③1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
④患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。

  1. 1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つ。
    結果として1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つようになることはあっても、毎日異なる患者を受け持つルールをもつ看護体制はない。リーダーを置きチームをつくるチームナーシングや、1人の看護師が複数の特定の患者を受け持つ「受け持ち看護方式」では毎日異なる患者を担当する形になることはありうる。機能別看護方式ではない。
  2. 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
    看護業務ごとに担当者を決めて看護を行う。
  3. 1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
    1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つのはプライマリーナーシング方式である。機能別看護方式ではない。
  4. 患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。
    患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つのは固定チームナーシングが最も近い。機能別看護方式ではない。

看護体制(看護提供システム)のうち、機能別看護方式は患者に対して行われる看護業務に主眼を置き、バイタルサインの担当・患者の保清ケアの担当などと看護業務ごとに担当者を決めて看護を行う看護体制のことである。

輸液ポンプに設定する項目はどれか。(第104回)

①流量
②開始時刻
③薬剤の濃度
④薬剤の処方内容

  1. 流 量
    流量は輸液ポンプに設定する項目に含まれる。
  2. 開始時刻
    輸液ポンプに開始時刻や終了時刻を設定する機能はない。
  3. 薬剤の濃度
    輸液ポンプに薬剤の濃度を設定する機能はない。
  4. 薬剤の処方内容
    輸液ポンプに薬剤の処方内容を設定する機能はない。ただし、赤外線や無線LANを活用した輸液ポンプ・シリンジポンプが販売されており、薬剤ライブラリー(過去にポンプで使用した薬剤の情報蓄積)機能などをもつようになってきている。今後の機能の向上を注視したい。

静脈内に正確に輸液を滴下するために輸液ポンプを使う。設定するのは流量と予定輸液量である。

成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なのはどれか。(第110回)

①足 背

②鼠 径
③前腕内側
④肘関節付近

  1. 足 背
    足背でも可能ではあるが、最も適切ではない。
  2. 鼠 径
    中心静脈カテーテルの挿入では鼠径部から大腿静脈へと穿刺することがあるが、持続点滴静脈内注射では鼠径は選択しない。
  3. 前腕内側
    前腕内側が最も適切である。
  4. 肘関節付近
  5. 持続点滴は時間を要すため、関節付近は避ける。

持続点滴静脈内注射では、利き手や関節を避けた部位を選択するとよい。

成人に血液検査のための静脈血採血をする際、最も適した注射針はどれか。(第101回)

①16G

②18G
③22G
④27G

  1. 16G
    16Gを採血に使用することはない。
  2. 18G
    18Gあるいは19Gの注射針は成人への輸血の際に使われる。
  3. 22G
    成人では21Gあるいは22Gが向いている。
  4. 27G
    27Gの注射針はかなり細く、皮内注射に使用される。採血には使用しない。細い針で採血すると血球が壊れる恐れがある。

成人では21Gあるいは22Gが向いている。注射針は値が大きいほど細くなる。細い針で採血すると血球が壊れる恐れがある。

温罨法の作用で正しいのはどれか。(第108回)

①平滑筋が緊張する。
②局所の血管が収縮する。
③還流血流量が減少する。
④痛覚神経の興奮を鎮静する。

  1. 平滑筋が緊張する。
    温罨法の温熱刺激で平滑筋が弛緩する。
  2. 局所の血管が収縮する。
    温罨法の温熱刺激で局所の血管が拡張する。
  3. 還流血流量が減少する。
    温罨法の温熱刺激で還流血流量が増加し血行が促進される。
  4. 痛覚神経の興奮を鎮静する。
    温罨法の温熱刺激で痛覚神経(知覚神経)の興奮を鎮静する。これにより疼痛の緩和を図ることができる。

温罨法とは、温熱刺激を身体の一部に与えることで、血管や筋肉、神経系に働きかけ、身体の回復を図るものである。

酸素投与時の加湿に用いるのはどれか。(第99回)

①滅菌精製水
②生理食塩液
③ポビドンヨード
④5%ブドウ糖液

  1. 滅菌精製水
    肺胞まで加湿が届くことを考えると滅菌蒸留水がよい。細菌の混入や繁殖を防止するために閉鎖式の容器も使用されている。
  2. 生理食塩液
    生理食塩水中の塩分が器具内で結晶化する可能性があるため適さない。
  3. ポビドンヨード
    吸入酸素の中に蒸気として含まれ呼吸器官に取り込まれるので、ポビドンヨードのような消毒薬は適さない。
  4. 5%ブドウ糖液
    ブドウ糖液の糖分が器具内で結晶化する可能性があるため適さない。

酸素吸入時、経鼻カニューレでは3L/分まで、ベンチュリーマスクでは酸素流量に関係なく酸素濃度40%までは酸素を加湿する必要はないとする考え方も普及している。

成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。(第108回)

①外頸静脈
②大腿静脈
③大伏在静脈
④肘正中皮静脈

  1. 外頸静脈
    外頸静脈は頸部の浅いところを下行する細い静脈で、採血には適していない。成人の採血で最も用いられるとはいえない。
  2. 大腿静脈
    大腿静脈は深部にある静脈(深静脈)で大腿動脈と伴行するため、採血には向いていない。
  3. 大伏在静脈
    大伏在静脈は下肢にあり、足背から内くるぶし(内果)の前方を通り、下腿と大腿の内側面を上行し、大腿静脈に合流する。成人の採血でも最も用いられるとはいえない。
  4. 肘正中皮静脈
    肘正中皮静脈は橈側皮静脈や尺側皮静脈と吻合しており、肘関節に近い位置にあるため穿刺しやすく採血によく使われる。

上肢の静脈は動脈に伴行する深部にある静脈(深静脈)である橈骨静脈や尺骨静脈などと、皮下にある皮静脈である橈側皮静脈や尺側皮静脈、肘正中皮静脈がある。

酸素ボンベ内の残量を確認する方法はどれか。(第95回)

①バルブを開けた時の噴出音
②圧力計の示す値
③加湿ビン内の気泡の量
④酸素流量計の目盛

  1. バルブを開けた時の噴出音
    バルブを開けた時の噴出音で残量を確認することはできない。
  2. 圧力計の示す値
    圧力計の示す値から計算で確認できる。圧力計の値は現在残っている圧を示すため、「圧力計の値÷充填圧」で満タンから見てどのくらいの割合が残っているかがわかり、それをボンベの容量に乗じると酸素残量が計算できる。つまり計算式は、ボンベの容量(L)×圧力計の値(MPa)÷充填圧(目いっぱい入れた時の値、MPa)となる。
  3. 加湿ビン内の気泡の量
    加湿ビン内の気泡量で残量を確認することはできない。
  4. 酸素流量計の目盛
    酸素流量計の目盛りは今どれくらいの酸素を使っているかを表しているのであり、残量は表していない。

酸素ボンベ内の残量や使用可能時間を計算する問題は頻出だが、計算のしかたを覚えておけば難しくない。

成人の静脈血採血で通常用いられる注射針の太さはどれか。(第109回)

①14G
②18G
③22G
④26G

  1. 14G
    14Gではない。
  2. 18G
    18Gではない。
  3. 22G
    22Gである。
  4. 26G
    26Gではない。

静脈血採血で用いられるのは、21~23Gの採血針である。

体位ドレナージの直接の目的はどれか。(第104回)

①痛みの軽減
②睡眠の導入
③排痰の促進
④廃用症候群の予防

  1. 痛みの軽減
    体位ドレナージで痛みの軽減はできない。
  2. 睡眠の導入
    体位ドレナージで睡眠の導入はできない。
  3. 排痰の促進
    体位ドレナージは重力を利用して排痰の促進を図る方法である。
  4. 廃用症候群の予防
    体位ドレナージで廃用症候群を予防することはできない。

体位ドレナージは、気道分泌物が貯留した肺領域を高い位置にすることで、重力を利用して排痰の促進を図る方法である。

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