Q.1
薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。(第105回)
①坐 薬
②経口薬
③筋肉内注射
④静脈内注射
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正解:4
- 坐 薬
坐薬は血中濃度の上昇が速いが、静脈内注射には劣る。 - 経口薬
選択肢の中で薬剤の血中濃度の上昇が一番遅いのは経口薬である。 - 筋肉内注射
筋肉内注射は血中濃度の上昇が速いが、静脈内注射には劣る。 - 静脈内注射
静脈内注射は、直接血管内に投与した薬物がすぐに全身循環にのって運ばれるため、吸収が最も速く確実な方法である。
薬剤の血中濃度の上昇速度は、投与方法によって異なる。
Q.2
キューブラ・ロスによる死にゆく人の心理過程で第1段階はどれか。(第95回)
①死なねばならないことへの怒り
②延命のための取り引き
③死を認めようとしない否認
④死の恐怖や不安による抑うつ
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正解:3
- 死なねばならないことへの怒り
死ななければならないことへの怒りは第2段階である。 - 延命のための取り引き
延命のための取り引きは第3段階である。 - 死を認めようとしない否認
死を認めようとしない否認は第1段階である。 - 死の恐怖や不安による抑うつ
死の恐怖や不安による抑うつは第4段階である。
アメリカの精神科医キューブラ・ロスは2004年に死去しており、出題された95回試験(2006年実施)では比較的タイムリーな出題であった。死にゆく人の心理過程は、①死を認めようとしない否認、②死ななければならないことへの怒り、③延命のための取り引き、④死の恐怖や不安による抑うつ、⑤死ぬことへの諦め(受容)、の順である(①~⑤は第1~5段階を表す)。
Q.3
健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。(第110回)
①右心室
②右心房
③左心室
④左心房
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正解:3
- 右心室
心室は心房よりも心臓壁が厚いが、最も厚いのは左心室であり、右心室ではない。 - 右心房
心房は心室より心臓壁が薄い。したがって右心房は最も厚い部位ではない。 - 左心室
左心室の心臓壁は右心室の約3倍の厚さがあり、最も厚い。 - 左心房
心房は心室より心臓壁が薄い。したがって左心房は最も厚い部位ではない。
心臓の構造と機能について理解しておこう。解説の生理的な構造のほかに、左心室の心臓壁は大動脈の弾性低下による収縮期血圧上昇、心室収縮に対する抵抗の増大により負荷がかかるため、最も肥厚しやすい性質がある。
Q.4
胃から分泌される消化管ホルモンはどれか。(第110回)
①ガストリン
②セクレチン
③胃抑制ペプチド
④コレシストキニン
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正解:1
- ガストリン
ガストリンは胃幽門部にある幽門腺のG細胞から分泌される消化管ホルモンである。 - セクレチン
セクレチンは十二指腸のS細胞から分泌される消化管ホルモンである。 - 胃抑制ペプチド
胃抑制ペプチド〈GIP〉は十二指腸から分泌される消化管ホルモンである。 - コレシストキニン
コレシストキニンは十二指腸から分泌される消化管ホルモンである。
胃から分泌されるホルモンはガストリンのみである。
Q.5
徐脈性不整脈で起こりやすいのはどれか。(第96回)
①失 明
②失 神
③失 語
④失 認
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正解:2
- 失 明
徐脈性不整脈により、視覚機能を失う失明は起こらない。 - 失 神
徐脈性不整脈で脳への血流が不足して、めまいや意識消失(失神)が起こる可能性がある。正しい。 - 失 語
徐脈性不整脈により、言語の理解と表出の機能が失われる失語は起こらない。 - 失 認
徐脈性不整脈により、1つまたは複数の感覚において対象を感知できなくなった状態である失認は起こらない。
徐脈性不整脈で最も問題になるのは脳への血流が不足することである。
Q.6
成人の乏尿の基準はどれか。(第98回)
①100mL/日以下
②200mL/日以下
③300mL/日以下
④400mL/日以下
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正解:4
- 100mL/日以下
1日100mL以下は無尿の基準である。 - 200mL/日以下
1日200mL 以下という基準はない。 - 300mL/日以下
1日300mL 以下という基準はない。 - 400mL/日以下
1日400mL以下は乏尿の基準である。
無尿と乏尿の基準は頻出である。
Q.7
不足すると貧血になるのはどれか。(第96回)
①ビタミンA
②ビタミンB12
③ビタミンD
④ビタミンE
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正解:2
- ビタミンA
ビタミンAが不足しても貧血にはならない。夜盲症や角膜軟化症などが起こる。 - ビタミンB12
ビタミンB12や葉酸の不足によって、DNA合成が障害され細胞の核の成熟障害をきたし、異常な巨赤芽球が産生される。正しい。 - ビタミンD
ビタミンDが不足しても貧血にはならない。小児ではくる病、成人では骨軟化症となる。 - ビタミンE
ビタミンEが不足すると、神経や筋肉に障害が起こる。
不足すると貧血になるのはビタミンB12の他、葉酸と鉄がある。
Q.8
関節や神経叢の周辺に限局して起こる感覚障害の原因はどれか。(第107回)
①脊髄障害
②物理的圧迫
③脳血管障害
④糖尿病の合併症
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正解:2
- 脊髄障害
末梢神経や神経叢よりも中枢部分を障害する脊髄障害は複数の神経機能を侵す。 - 物理的圧迫
物理的圧迫では限局した神経の障害の可能性がある。 - 脳血管障害
末梢神経や神経叢よりも中枢部分を障害する脳血管障害は複数の神経機能を侵す。 - 糖尿病の合併症
糖尿病の合併症は限局した末梢神経や神経叢を侵すわけではない。
感覚障害は症状が発現する部位により、原因を推定することができる。
Q.9
前立腺癌に特徴的な腫瘍マーカーはどれか。(第102回)
①AFP
②CA19-9
③CEA
④PSA
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正解:4
- AFP
AFP(αフェトプロテイン)は胎児性蛋白で、肝細胞癌の腫瘍マーカーである。 - CA19-9
CA19-9は糖鎖関連抗原で消化器癌、膵臓癌などの腫瘍マーカーである。 - CEA
CEAは胎児性蛋白で、大腸癌などの消化器癌の腫瘍マーカーである。 - PSA
PSAは組織産生物質で前立腺癌に特異的な腫瘍マーカーである。
腫瘍マーカーとは腫瘍によって産生される物質をいう。癌と腫瘍マーカーの組合せでスクリーニング、治療効果の測定など目的が異なることに注意する。
Q.10
全身清拭時、洗面器に準備する湯の温度で適切なのはどれか。(第105回)
①20~25℃
②30~35℃
③40~45℃
④50~55℃
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正解:4
Q.11
認知症を説明しているのはどれか。(第101回)
①知的発達の遅延
②意識障害の出現
③全身の筋肉の進行性萎縮
④一度獲得した知的機能の衰退
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正解:4
- 知的発達の遅延
認知症では知的能力の発達の遅延はなく、一度獲得したものが衰退する。 - 意識障害の出現
意識障害の出現は認知症を説明していない。認知症が進行すると会話・飲食・歩行などができない状態になり衰弱していく。この過程で意識障害が生じる可能性はある。 - 全身の筋肉の進行性萎縮
認知症では全身の筋肉の進行性萎縮は生じない。 - 一度獲得した知的機能の衰退
一度獲得した知的機能の衰退が認知症である。
認知症とは脳の後天的な器質的病変(診断する人が変わっても特定の場所に特定の変化が認められること)によって知的機能が低下することをいう。
Q.12
メタボリックシンドロームの診断に必須の診断基準項目はどれか。(第103回追試)
①腹 囲
②脂 質
③血 圧
④血 糖
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正解:1
- 腹 囲
必須項目として、腹囲(ウエスト周囲径)で内臓脂肪の蓄積について評価する。男性85cm以上・女性90cm以上が該当する。 - 脂 質
必須項目に加え、①脂質代謝異常・②高血圧・③高血糖のうち2つ以上該当すれば、メタボリックシンドロームと診断される。脂質は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。 - 血 圧
選択肢[2]の解説のとおり、血圧は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。 - 血 糖
選択肢[2]の解説のとおり、血糖は診断基準にはあるが、必須は腹囲である。
メタボリックシンドロームの診断は2段階に分けられる。必須項目として、ウエスト周囲径で内臓脂肪蓄積を評価するのに加えて、①トリグリセリド(中性脂肪)およびHDLコレステロール値で脂質代謝異常、②高血圧、③高血糖、を評価し、必須項目+①~③項目のうち2項目以上が該当するとメタボリックシンドロームと診断される。
Q.13
飛沫感染するのはどれか。(第106回)
①疥 癬
②コレラ
③A型肝炎
④インフルエンザ
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正解:4
- 疥 癬
疥癬の原因となるヒゼンダニの感染経路は接触感染である。 - コレラ
コレラ菌の感染経路は経口感染である。 - A型肝炎
A型肝炎の感染経路は経口感染(病原体を含む糞が手指を介して口へ入る糞口感染を含む)である。 - インフルエンザ
インフルエンザの感染経路は飛沫感染である。
飛沫感染とは直径5μm以上の飛沫粒子を介して感染することをいう。飛沫粒子は咳や痰などから生じる。インフルエンザや百日咳などが該当する。
Q.14
狭心症発作時の硝酸薬(ニトログリセリン)の適切な使用法はどれか。(第96回)
①内 服
②舌 下
③皮膚貼用
④筋肉内注射
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正解:2
- 内 服
ニトログリセリンを内服すると肝臓で代謝を受けてから全身に運ばれるため、効率が悪く、内服という方法はない。内服の形態があるのは同じ作用を持つ硝酸イソソルビドである。 - 舌 下
ニトログリセリンを舌下投与すると、口腔粘膜から吸収された薬物が肝臓で代謝を受ける前に静脈血中に入るので速やかに効果を発現する。正しい。 - 皮膚貼用
ニトログリセリンの皮膚貼用では、効果発現まで1時間程度と時間がかかるため、狭心症発作時に使用するのは適切ではない。 - 筋肉内注射
ニトログリセリンは筋肉内注射という与薬方法は適さない。
ニトログリセリンは血管を拡張させる。与薬の形態は舌下、舌下へのスプレー、軟膏、テープ、静脈内点滴がある。
Q.15
抗癌薬の副作用(有害事象)である骨髄抑制を示しているのはどれか。(第104回)
①嘔 吐
②下 痢
③神経障害
④白血球減少
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正解:4
- 嘔 吐
嘔吐は該当しない。 - 下 痢
下痢は該当しない。 - 神経障害
神経障害は該当しない。 - 白血球減少
白血球が減少する。
骨髄抑制は抗癌薬の副作用(有害事象)の1つであり、造血機能が抑制されるため白血球、赤血球、血小板などすべての血球が減少し、それぞれ易感染状態、貧血、出血傾向を引き起こす。
Q.16
鍵のかかる堅固な設備で保管しなければならないのはどれか。(第99回)
①ヘパリン
②インスリン
③風疹ワクチン
④モルヒネ塩酸塩
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正解:4
- ヘパリン
ヘパリンは普通薬なので保管について特定の規制はない。 - インスリン
インスリンは劇薬である。他の薬品と区別して保管するよう規定されている(なお、遮光して2~8℃で保存する必要がある)。 - 風疹ワクチン
風疹ワクチンは劇薬である。他の薬品と区別して保管するよう規定されている(さらに遮光して5℃以下で保存する必要がある)。 - モルヒネ塩酸塩
モルヒネ塩酸塩は麻薬なので他の薬品と区別して、鍵のかかる堅固な設備内に保管するよう規定されている。
保管の仕方については、普通薬・劇薬・毒薬・麻薬・向精神薬ごとに整理しておくこと。
Q.17
カルシウム拮抗薬の服用時に避けた方がよい食品はどれか。(第105回)
①納 豆
②牛 乳
③わかめ
④グレープフルーツ
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正解:4
- 納 豆
納豆はビタミンKを含むため、ワルファリン服用時に避けたほうがよい。 - 牛 乳
便秘薬・制酸薬・抗菌薬・骨粗鬆症治療薬の中に牛乳と一緒、あるいは間隔をあけずに服用しないほうがよいものがある。カルシウム拮抗薬は該当しない。 - わかめ
甲状腺機能低下症患者は一般的にヨードを含む海藻類を控えたほうがよいとされる。ヨードを摂取するとかえって甲状腺ホルモンの分泌が抑制されるためである。甲状腺機能亢進症患者もヨードを含む食品は大量に食べないほうがよい。 - グレープフルーツ
グレープフルーツジュースに含まれる成分が、薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYP3A4)に対して阻害作用をもつことからカルシウム拮抗薬の血中濃度を上昇させる。
薬剤と飲食物の相互作用について整理しておこう。
Q.18
Open-ended question〈開かれた質問〉はどれか。(第103回追試)
①「食欲はありますか」
②「昨晩は眠れましたか」
③「心配なことは何ですか」
④「階段をのぼることはできますか」
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正解:3
- 「食欲はありますか」
食欲があるかどうかを「はい/いいえ」で答えることができるためClosed questionである。 - 「昨晩は眠れましたか」
昨晩は眠れたどうかを「はい/いいえ」で答えることができるためClosed questionである。 - 「心配なことは何ですか」
心配なことを自由に伝えてもらうにはOpen-ended questionが向いている。 - 「階段をのぼることはできますか」
階段をのぼることができるかどうかを「はい/いいえ」で答えることができるためClosed questionである。
「はい/いいえ」で答えられるなど回答範囲を限定した質問をClosed question(閉じた質問)、自由に答えることができる制約を設けない質問をOpen-ended question(開かれた質問)という。
Q.19
看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。(第108回)
①問題解決思考である。
②医師の指示の下で計画を立てる。
③看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
④アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。
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正解:1
- 問題解決思考である。
ケアや支援に際してのアプローチには問題解決型思考と目標志向型思考がある。看護過程は、情報の収集やアセスメントから問題を明確化し、問題を解決するプロセスであり、問題解決型思考が中心となる。目標志向型思考は対象のもつ能力や強みを生かしながら生活における目標を達成できるよう支援する思考である。 - 医師の指示の下で計画を立てる。
看護過程を展開するにあたり、対象である患者に向けて医師に指示されたことは守らなくてはならないが、看護師が医師の指示の下で計画を立てるわけではない。 - 看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
看護過程の目標は患者を主体とし、期待される結果を設定する。看護師の価値ではなく、患者と、必要に応じて患者の家族の価値と希望に基づいてゴールを設定する。 - アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。
看護過程はアセスメント・問題の明確化・計画立案・実施・評価の5段階のプロセスをもつ。アセスメント、計画立案、評価の3段階ではない。
看護過程とは、対象者のニーズを見極め、必要な援助を提供するための方法論の1つである。
Q.20
巨赤芽球性貧血の原因はどれか。(第110回)
①ビタミンA欠乏
②ビタミンB12欠乏
③ビタミンC欠乏
④ビタミンE欠乏
⑤ビタミンK欠乏
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正解:2
- ビタミンA欠乏
ビタミンAの欠乏で起こるのは夜盲症である。 - ビタミンB12欠乏
ビタミンB12の欠乏で巨赤芽球性貧血が起こる。 - ビタミンC欠乏
ビタミンCの欠乏で起こるのは、壊血病である。 - ビタミンK欠乏
ビタミンKの欠乏では、出血傾向となる。
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏が原因で起こる貧血である。