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国家試験対策問題
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第106回 国家試験対策過去問題

国家試験

末梢血液中の( )が低下した状態を貧血という。( )に入るのはどれか。(第102回)

①血漿量
②血小板数
③アルブミン濃度
④ヘモグロビン濃度

  1. 血漿量
    血漿は血液の液体成分である。体内の血漿量は血漿中の蛋白質濃度や水分量などによって変化する。血液重量の55%が血漿である。別の見方をすると成人の体重の60%を占める水分のうちの5%が血漿である。
  2. 血小板数
    血小板は止血機能に関わるため、血小板数が低下すると出血傾向・止血困難となる。
  3. アルブミン濃度
    アルブミンは血漿中の蛋白質の1つであり、アルブミン濃度の低下は低蛋白血症となる。
  4. ヘモグロビン濃度
    ヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリットが貧血の指標となる。ヘモグロビン濃度は全血液中のヘモグロビンの量、ヘマトクリット値は全血液量に占める赤血球の容積率である。酸素を運搬する能力はヘモグロビンが反映するため、ヘモグロビン濃度が低下した鉄欠乏性貧血は赤血球数が基準値内でも起こることがある。

貧血の種類と定義を押さえておこう。

胸痛を訴えるのはどれか。(第106回)

①髄膜炎
②腎結石
③急性心筋梗塞
④Ménière〈メニエール病〉

  1. 髄膜炎
    髄膜炎では頭痛や項部硬直、嘔吐などが生じる。胸痛は起こらない。
  2. 腎結石
    腎結石では下腹部・腰の疝痛や血尿が生じる。胸痛は起こらない。
  3. 急性心筋梗塞
    急性心筋梗塞では20分以上続く胸痛、左肩・左顎などに生じる関連痛が生じる。
  4. Ménière〈メニエール病〉
    メニエール病は回転性めまい、感音性難聴、耳鳴などが症状である。胸痛は起こらない。

各疾患で起こりやすい症状を整理しておこう。

下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。(第109回)

①低カリウム血症
②高カルシウム血症
③高ナトリウム血症
④低マグネシウム血症

  1. 低カリウム血症
    下痢により消化管からカリウムを喪失するため、低カリウム血症になりやすい。
  2. 高カルシウム血症
    高カルシウム血症は、骨からのカルシウム放出の増加や、カルシウムの吸収が促進される疾患で生じやすい。
  3. 高ナトリウム血症
    下痢では、高ナトリウム血症ではなく、低ナトリウム血症を生じやすい。高ナトリウム血症は、水欠乏性脱水、原発性アルドステロン症、尿崩症などで生じやすい。
  4. 低マグネシウム血症
    慢性的な下痢によって、マグネシウムの吸収障害を起こし低マグネシウム血症になる可能性はあるが、選択肢[1]に劣る。

下痢では、水分とともに電解質も喪失し、脱水を起こす。

感冒の原因で最も多いのはどれか。(第99回)

①真 菌
②細 菌
③ウイルス
④クラミジア

  1. 真 菌
    真菌は感冒の原因としては少ない。
  2. 細 菌
    感冒の80~90%がウイルスによるものであるとされ、残りが細菌やマイコプラズマなどである。
  3. ウイルス
    解説[2]のとおり、最も多いのはウイルスである。
  4. クラミジア
    クラミジアは感冒の原因としては少ない。

感冒の定義はいくつかあるが、急性の上気道感染症すなわち風邪のことである。

良性腫瘍と比較して悪性腫瘍でみられる特徴はどれか。(第107回)

①被膜がある。

②遠隔転移する。
③周囲組織に浸潤しない。
④増殖速度が緩やかである。 

  1. 被膜がある。
    被膜があるのは、悪性腫瘍と比較した良性腫瘍の特徴である。
  2. 遠隔転移する。
    遠隔転移は悪性腫瘍の特徴である。
  3. 周囲組織に浸潤しない。
    悪性腫瘍は組織への浸潤を起こすことが特徴である。
  4. 増殖速度が緩やかである。
    増殖速度が緩やかなのは、悪性腫瘍と比較した良性腫瘍の特徴である。

悪性腫瘍は、①細胞の異常増殖、②組織への浸潤・破壊、③遠隔転移、④再発を起こすことが特徴である。その他、悪性腫瘍が正常な細胞の分まで栄養を奪ってしまい栄養状態が悪化する悪液質が特徴である。

日本の令和2年(2020年)の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。(第105回改変)

①50%
②60%
③70%
④80%

  1. 50%
    50%ではない。
  2. 60%
    最も近いのは60%である。
  3. 70%
    70%ではない。
  4. 80%
    80%ではない。

生産年齢人口は15~64歳までの人口である。令和2年(2020年)の15~64歳の人口は7,508万8,000人で59.5%であった(令和2年国勢調査人口基本集計結果)。

令和元年(2019年)の病院報告による一般病床の平均在院日数はどれか。(第107回改変)

①6日
②16日
③26日
④36日 

  1. 6日
    6日ではない。
  2. 16日
    令和元年(2019年)は16日であった。
  3. 26日
    26日ではない。
  4. 36日
    36日ではない。

令和元年(2019年)の「病院報告」によると、一般病床は16日であった。介護療養病床が最も長く301.4日、次いで精神病床が265.8日となっている。なお、ここでは「病院報告」による平均在院日数が問われているが、「患者調査」による平均在院日数もあり、平成29年(2017年)の「患者調査」における施設の種類別では、病院30.6日、一般診療所12.9日であった。

日本における令和元年の1歳から4歳までの子どもの死因で最も多いのはどれか。(第100回改変)

①インフルエンザ
②心疾患
③悪性新生物
④先天奇形、変形及び染色体異常

  1. インフルエンザ
    インフルエンザは4.8%で第5位であった。なお、0歳の死亡では5位以内に入らない。
  2. 心疾患
    心疾患は6.0%で第4位であった。なお、0歳児では5位以内に入らない。
  3. 悪性新生物
    悪性新生物は9.8%で第3位であった。なお、0歳児では5位以内に入らない。
  4. 先天奇形、変形及び染色体異常
    先天奇形、変形及び染色体異常は最も多く、21.4%であった。0歳児でも第1位である。

小児の各年齢階級の死因の動向を覚えておく。

日本における令和元年(2019年)の人口ピラミッドはどれか。(第103回追試改変)

①1
②2
③3
④4 


  1. 年少の人口ほど多く、老年の人口ほど少ないグラフで、令和元年(2019年)の人口ピラミッドではない。

  2. 10歳くらいの年齢の人口が多く、老年人口が少ないグラフで、令和元年(2019年)の人口ピラミッドではない。

  3. 令和元年(2019年)の人口ピラミッドである。

  4. 60~70歳代の人口がボリュームゾーンであるグラフで、40歳代の人口に第二次ベビーブームの影響がみられないため、令和元年(2019年)の人口ピラミッドではない。

日本の人口ピラミッドについて、歴史的背景も踏まえて正しい形を覚えておこう。

自己実現の欲求はどれか。(第103回追試)

①自分の能力を生かしたい。
②集団に所属したい。
③痛みを避けたい。
④尊重されたい。
⑤休みたい。

  1. 自分の能力を生かしたい。
    自己実現の欲求は最高次(最も上)の欲求であり、自分の能力を生かしたい、発揮したいが該当する。
  2. 集団に所属したい。
    「集団に所属したい」は上から3番目の、所属と愛の欲求に該当する。
  3. 痛みを避けたい。
    「痛みを避けたい」は上から4番目の、安全の欲求に該当する。
  4. 尊重されたい。
    「尊重されたい」は上から2番目の、承認(自尊)欲求に該当する。他者から認められたいという欲求や自尊心に関する欲求が含まれる。
  5. 休みたい。
    「休みたい」は一番下の階層の、生理的欲求に該当する。生命維持のために必要な欲求である。

マズローが論じた欲求階層では下位から、①生理的欲求・②安全の欲求・③所属と愛の欲求・④承認欲求・⑤自己実現の欲求(=最上位)である。①②が基本的欲求、③④⑤が社会的欲求とされる。

標準的な発育をしている乳児の体重が出生時の体重の約2倍になる時期はどれか。(第106回)

①生後3か月
②生後6か月
③生後9か月
④生後12か月

  1. 生後3か月
    生後3か月が正しい。
  2. 生後6か月
    生後5~6か月では男子7.67kg・女子7.17kgで該当しない。
  3. 生後9か月
    生後9~10か月では男子8.73kg・女子8.20kgで該当しない。
  4. 生後12か月
    生後12か月(=1年0~1か月)では男子9.28kg・女子8.71kgで該当しない。

厚生労働省による平成22年(2010年)の「乳幼児身体発育調査」(10年おきに実施)によると、出生時の男子の平均体重は2.98kg、女子は2.91kgであった。平均体重が2倍を超えるのは男女ともに生後3~4か月で、男子6.63kg・女子6.16kgである。

言語の発達で2歳ころに可能になるのはどれか。(第99回)

①喃語を話す。
②音を真似る。
③二語文を話す。
④接続詞を使う。

  1. 喃語を話す。
    機嫌のよいときに「アーアー」などの発声をすることを喃語といい、生後2~3か月で始まり、生後6か月ころに盛んになる。2歳ではない。
  2. 音を真似る。
    音を真似るのは7~10か月ころである。2歳ではない。
  3. 二語文を話す。
    「ワンワン イタ」のような二語文を話すようになるのは2歳ころである。
  4. 接続詞を使う。
    接続詞を使うようになるのは3~4歳ころである。

言語などの発達が正常かどうかは、改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査などで評価する。

思春期の特徴はどれか。(第97回)

①分離不安
②第二次性徴
③第一次反抗期
④ギャングエイジ

  1. 分離不安
    分離不安は生後6~7か月ころに母親がそばを離れると泣いたり、探し始めることをいう。人見知りの時期とほぼ同じころである。思春期の特徴ではない。
  2. 第二次性徴
    思春期に視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン・下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されるようになると、第二次性徴が出現する。
  3. 第一次反抗期
    第一次反抗期は2~3歳ころで、否定や反抗する態度が増加する。思春期に訪れるのは第二次反抗期で、身近な成人に対して反抗的、批判的態度をみせるようになる。
  4. ギャングエイジ
    学童期に仲間を求め、集団で行動することが多くなる時期をギャングエイジという。思春期の特徴ではない。

思春期の特徴として、身体面では成長のスパートや第二次性徴、心理面ではアイデンティティの確立などが挙げられる。

老年期の身体的な特徴で正しいのはどれか。(第106回)

①尿量の増加
②味覚の感度の向上
③体温調節能の低下
④外来抗原に対する抗体産生の亢進

  1. 尿量の増加
    高齢者の尿量は減少あるいは変化しないことが多く、増加するとはいえない。
  2. 味覚の感度の向上
    味蕾細胞数の減少、唾液分泌の低下などにより味覚の感度は一般に低下しやすい。
  3. 体温調節能の低下
    皮下脂肪の減少、皮膚血管運動反応の低下、エクリン汗腺数の減少、寒冷刺激の知覚低下、熱産生機能の低下などにより体温調節能は低下する。高齢者が熱中症にかかりやすいのはそのためである。
  4. 外来抗原に対する抗体産生の亢進
    免疫グロブリンの血中濃度には変化がないとされ、外来抗原に対する抗体産生は亢進しない。ただし、自己細胞・組織に対する抗体の産生は亢進するため、高齢者は自己免疫疾患を発症しやすい。

老年期の生理的変化について整理しておこう。

市町村保健センターの業務はどれか。(第100回)

①専門的で広域的な健康課題への対応
②地域住民に密着した健康相談
③看護師免許申請の受理
④病気の治療

  1. 専門的で広域的な健康課題への対応
    専門的で広域的な健康課題への対応は保健所の業務である。厚生労働省による「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」において、保健所の整備について「地域保健における広域的、専門的かつ技術的拠点としての機能を強化するため、地域の特性を踏まえつつ規模の拡大並びに施設及び設備の充実を図る」とある。
  2. 地域住民に密着した健康相談
    地域保健法は市町村保健センターについて、住民に対し、健康相談・保健指導・健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設として規定している。
  3. 看護師免許申請の受理
    看護師免許の申請の受理は住所地の保健所(一部の県においては県庁)が担当する業務である。
  4. 病気の治療
    病気の治療は医療機関の業務である。なお保健所については、地域住民の健康の保持及び増進を図るために必要があるときには歯科疾患その他厚生労働大臣の指定する疾病の治療を行うことが地域保健法に規定されているので、治療の機能をもたないわけではないことに注意する(ただし、市町村保健センターは治療の機能をもたない)。

市町村保健センターの業務は地域保健法に規定されている。

平成18年(2006年)の介護保険法改正で、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を支援することを目的として市町村に設置されたのはどれか。(第108回)

①保健所
②市町村保健センター
③地域包括支援センター
④訪問看護ステーション

  1. 保健所
    保健所ではない。
  2. 市町村保健センター
    市町村保健センターではない。
  3. 地域包括支援センター
    地域包括支援センターである。保健師、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)、社会福祉士が配置されている。高齢者・家族の相談支援や、権利擁護(虐待の早期発見など)、包括的かつ継続的なケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの役割を担う。
  4. 訪問看護ステーション
    訪問看護ステーションではない。

平成18年(2006年)の介護保険法改正で市町村に設置されたのは地域包括支援センターである。

日本の法令で定められている酸素ボンベの色はどれか。(第101回)

①赤
②黄
③緑
④黒


  1. 赤は水素ガスのボンベである。

  2. 黄は塩素ガスのボンベである。

  3. 緑は二酸化炭素(炭酸ガス)のボンベである。

  4. 医療用ガスボンベは誤接続を予防するため、ガスの種類ごとに色が決まっており、黒は酸素ボンベである。

高圧ガス保安法に基づく容器保安規則より、中身によるボンベの色は決まっているが、病院の壁などの医療ガスの配管設備の色とは異なるため、注意する。

直流除細動器の使用目的はどれか。(第104回)

①呼吸の促進
②血圧の降下
③不整脈の治療
④意識レベルの評価

  1. 呼吸の促進
    心臓の働きが回復することで呼吸機能が改善することがあるが、直流除細動器の使用目的そのものではない。
  2. 血圧の降下
    血圧を降下させることが使用目的ではない。
  3. 不整脈の治療
    直流除細動器は医師が手動で除細動を行う機器であり、看護師や一般市民も扱えるAED(automated external defibrillator:自動体外式除細動器)とは異なる。
  4. 意識レベルの評価
    意識レベルの評価とは関係がない。

除細動は、心室頻拍や心室細動といった致死的な不整脈の治療のために実施する。

月経周期が順調な場合、最終月経の初日を0日とすると分娩予定日はどれか。(第104回)

①240日目
②280日目
③320日目
④360日目

  1. 240日目
    240日では早産である。
  2. 280日目
    280日目である。
  3. 320日目
    320日ではない。
  4. 360日目
    360日ではない。

在胎週数37週0日から41週6日までが正期産となるが、分娩予定日は40週0日なので、最終月経の初日を0日として40×7=280日である。

成人の膀胱の平均容量はどれか。(第105回)

①100mL
②500mL
③1,000mL
④1,500mL 

  1. 100mL
    100mLでは少なすぎる。
  2. 500mL
    安全に膀胱に尿をためることができる量は300~600mL以下であり、該当するのは500mLである。
  3. 1,000mL
    1,000mLでは多すぎる。
  4. 1,500mL
    1,500mLでは多すぎる。

膀胱内容量が150~300mLを超えると尿意が生じ、600~800mLになると膀胱壁が過伸展して痛みを感じるようになる。

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