Q.1
内分泌器官はどれか。(第105回)
①乳 腺
②涙 腺
③甲状腺
④唾液腺
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正解:3
- 乳 腺
乳腺は外分泌器官である。 - 涙 腺
涙腺は外分泌器官である。涙腺で、血液から涙液がつくられ、外側から油層・涙液層・ムチン層の3層構造になっている。角膜の表面を覆い、通常は鼻涙管から鼻腔へ運ばれる。 - 甲状腺
甲状腺は内分泌器官である。サイロキシン・トリヨードサイロニン・カルシトニンを血液中へ分泌する。 - 唾液腺
唾液腺は外分泌器官である。
生体内の分泌腺が血液中にホルモンを分泌する仕組みを内分泌と呼ぶ。ホルモンの働きが絶妙に調節されることで体の恒常性(ホメオスタシス)が保たれている。これに対して、血液から分泌液を産生する腺上皮から導管を通して体表面や、消化管などの臓器の内腔に放出する腺を外分泌腺という。
Q.2
球関節はどれか。(第109回)
①肩関節
②膝関節
③下橈尺関節
④手根中手関節
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正解:1
- 肩関節
肩関節は球関節である。 - 膝関節
膝関節は蝶番関節である。 - 下橈尺関節
下橈尺関節は車軸関節である。 - 手根中手関節
母指の手根中手関節は鞍関節である。
球関節は、多軸性で、多方面の運動(屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋、分回し)が可能である。肩関節と股関節が該当する。
Q.3
嚥下に関わる脳神経はどれか。(第107回)
①嗅神経
②外転神経
③滑車神経
④迷走神経
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正解:4
- 嗅神経
嗅神経は嗅覚に関与し、嚥下運動には関係しない。 - 外転神経
外転神経は眼球運動に関与し、嚥下運動には関係しない。 - 滑車神経
滑車神経は眼球運動に関与し、嚥下運動には関係しない。 - 迷走神経
迷走神経は咽頭と喉頭の運動と感覚をつかさどり、嚥下に関与する。
嚥下に関わる脳神経は次のとおりである。
舌咽神経(Ⅸ)が咽頭筋の運動と感覚、迷走神経(X)が咽頭と喉頭の運動と感覚、舌下神経(Ⅻ)が舌筋の運動をつかさどる。
Q.4
後頭葉にあるのはどれか。(第110回)
①嗅覚野
②視覚野
③聴覚野
④体性感覚野
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正解:2
- 嗅覚野
- 視覚野
- 聴覚野
- 体性感覚野
この問題の選択肢に出てきた領域と機能のほか、言語野・体性運動野・味覚野は確実に理解しておこう。
Q.5
後腹膜器官はどれか。(第110回)
①胃
②肝 臓
③空 腸
④腎 臓
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正解:4
- 胃
胃は腹膜腔内に位置する。 - 肝 臓
肝臓は腹膜腔内に位置する。 - 空 腸
空腸は腹膜腔内に位置する。 - 腎 臓
腎臓は腹膜腔より後方に位置する後腹膜器官である。
腹膜腔より後方に位置する後腹膜器官は、腎臓、副腎、十二指腸、膵臓、上行結腸、下行結腸、直腸である。
Q.6
脳死の判定基準に含まれないのはどれか。(第98回改変)
①深昏睡
②心停止
③脳幹反射の消失
④自発呼吸の消失
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正解:2
- 深昏睡
脳死の判定基準に深昏睡がある。意識レベルをみるJCSあるいはGCSで最も低いレベルであることを確認する。 - 心停止
心停止していたら、脳死ではなく死亡していることになる。誤りである。 - 脳幹反射の消失
脳死の判定基準に脳幹反射の消失がある。7つの脳幹反射について確認する。なお、脊髄反射は脳幹反射ではないので注意すること。 - 自発呼吸の消失
脳死の判定基準に自発呼吸の停止がある。人工呼吸器を一定の条件で止めて確認する。
否定形の問題は出題されなくなったが、演習問題としてチャレンジしよう。
Q.7
死の三徴候に含まれるのはどれか。(第109回)
①筋の弛緩
②角膜の混濁
③呼吸の停止
④呼名反応の消失
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正解:3
- 筋の弛緩
筋の弛緩は死の三徴候ではない。筋肉は死後硬直し、その後、硬直がとける。 - 角膜の混濁
角膜の混濁は死の三徴候に含まれない。 - 呼吸の停止
呼吸の停止は死の三徴候に含まれる。 - 呼名反応の消失
呼名反応の消失は死の三徴候に含まれない。意識障害の判定に用いる。
死の三徴候とは、心臓(心拍動)の停止、自発呼吸の停止、瞳孔散大および対光反射の消失である。
Q.8
脳死の判定基準に含まれるのはどれか。(第100回)
①徐 脈
②除脳硬直
③平坦脳波
④けいれん
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正解:3
- 徐 脈
脳死の判定基準に徐脈はない。 - 除脳硬直
脳死の判定基準に除脳硬直はない。日本移植学会は自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、けいれん、ミオクローヌス(筋肉の不随意運動)があるときは脳死判定を中止すべきとしている。 - 平坦脳波
平坦脳波は脳死の判定基準に含まれる。最低でも4種類の導出(導出とは測定点の組合せ)で刺激を加えても30分以上平坦であることを確認する。 - けいれん
脳死の判定基準にけいれんはない。
脳死の判定基準はグループ化して覚える。「心停止はしていないが(心停止したら脳死ではない)自発呼吸は消失している」、「脳の機能の消失は深昏睡・脳波の平坦化・脳幹反射消失、瞳孔は左右とも4mm以上で固定」である。
Q.9
チアノーゼの際に増加しているのはどれか。(第101回)
①直接ビリルビン
②間接ビリルビン
③酸化ヘモグロビン
④還元ヘモグロビン
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正解:4
- 直接ビリルビン
直接ビリルビンと間接ビリルビンのいずれか、あるいは両方が増加すると黄疸になる。チアノーゼでは増加しない。 - 間接ビリルビン
解説[1]のとおりである。 - 酸化ヘモグロビン
チアノーゼでは酸素と結合しているヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)は減少する。 - 還元ヘモグロビン
チアノーゼでは動脈血中の酸素と結合していない還元ヘモグロビンが5g/dL以上に増加する。
還元ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンが同義であることを覚えておこう。
Q.10
麻薬性鎮痛薬の副作用はどれか。(第101回)
①心悸亢進
②食欲の亢進
③腸蠕動の抑制
④骨髄機能の抑制
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正解:3
- 心悸亢進
心悸亢進とは、心臓の拍動が速くなったり強くなったりして違和感を感じることである(動悸)。麻薬性鎮痛薬の過量投与では心拍数の減少が起こることがあるが、心悸亢進とは反対の状態である。 - 食欲の亢進
麻薬性鎮痛薬に食欲を亢進させる作用はない。副作用に悪心・嘔吐・便秘があるため、これらにより食欲が減退することはある。 - 腸蠕動の抑制
麻薬性鎮痛薬には胃腸管の運動を低下させる作用があり、腸液などの消化液の分泌も低下する。 - 骨髄機能の抑制
麻薬性鎮痛薬で骨髄機能の抑制は生じない。重要な副作用は呼吸機能の抑制である。
麻薬の副作用と保管について学習しておく。
Q.11
黄疸を最も認めやすい部位はどれか。(第95回)
①眼球結膜
②爪 床
③口 唇
④耳 朶
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正解:1
- 眼球結膜
粘膜はピンク色の部分が多いが、眼球結膜は本来白っぽいので黄染を認めやすい。また指でめくるだけで目視できる点も利点である。 - 爪 床
爪床も血流の影響を受けるため黄疸となるが、爪が表面を覆っており、本来ピンク色であるため最も確認しやすいとはいえない。 - 口 唇
口唇はピンク色であるため、白い眼球結膜よりも黄染が確認しやすいとはいえない。 - 耳 朶
耳朶(耳たぶ)も皮膚なので黄疸となるが、眼球結膜のほうが確認しやすい。
血清総ビリルビン値の上昇による皮膚の黄染が黄疸である。ほかに皮膚が黄染されるものに、カロテンが多く含まれるミカンやカボチャを食べたことによる柑皮症がある。
Q.12
頻回の嘔吐で起こりやすいのはどれか。(第103回)
①脱 水
②貧 血
③発 熱
④血 尿
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正解:1
- 脱 水
食物や水分を失うことによって摂取カロリーの減少や脱水が生じる。 - 貧 血
長期にわたる嘔吐による栄養不良がなければ、一時的な頻回の嘔吐で貧血になるとは考えにくい。 - 発 熱
頻回の嘔吐で脱水になると発熱する可能性はあるが、脱水を先に仮定しているので正答とはいえない。 - 血 尿
頻回の嘔吐と血尿との間に関連はない。血尿は膀胱炎・前立腺炎などの泌尿器系の炎症、悪性腫瘍や結石などが原因となる。
頻回の嘔吐で喪失するのは主に胃液と胃内容物である。胃液には塩酸と電解質が含まれ、胃内容物には摂取した食物や水分が含まれる。したがって、頻回に嘔吐すると塩酸が失われ代謝性アルカローシスを生じる。電解質はCl-・Na+・K+が失われる。
Q.13
乏尿はどれか。(第101回)
①1日の尿量が少ない。
②尿意が乏しい。
③排尿痛がない。
④尿比重が低い。
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正解:1
- 1日の尿量が少ない。
1日400mL以下は乏尿の基準であり、1日の尿量が少ないという表現が該当する。 - 尿意が乏しい。
尿意が乏しいのは乏尿の定義ではない。 - 排尿痛がない。
排尿痛がないのは乏尿の定義ではない。 - 尿比重が低い。
尿比重が低いのは乏尿の定義ではない。なお、尿量が多くなると尿比重は下がる傾向にあり、少なくなると上がる傾向がある。
乏尿・無尿の定義は必修問題で頻出である。
Q.14
全身性浮腫で起こる変化はどれか。(第96回)
①食欲亢進
②体重増加
③色素沈着
④眼球突出
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正解:2
- 食欲亢進
全身性浮腫は、心不全による心性、腎不全やネフローゼ症候群などによる腎性、肝硬変などによる肝性、低栄養性などに分類できる。倦怠感や活動量の低下、塩分の制限などが影響して食欲は低下することが多い。 - 体重増加
細胞外液のうち組織間液が異常に増加した状態が浮腫なので、全身性に起こると水分の増加によって体重は増加する。正しい。 - 色素沈着
細胞外液のうち組織間液が異常に増加した状態が浮腫なので、皮膚は引き延ばされ脆弱化する。全身性浮腫そのもので色素沈着は起こらない。 - 眼球突出
眼球突出は甲状腺機能亢進症による炎症や眼窩の腫瘍などでみられる。全身性浮腫そのもので眼球突出は起こらない。
必要事項を記憶していれば解ける問題ではなく、考えて解く問題である。
Q.15
成人の1日の尿量で乏尿と判断する基準はどれか。(第95回)
①100mL以下
②200mL以下
③400mL以下
④600mL以下
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正解:3
- 100mL以下
1日100mL以下は無尿の基準である。 - 200mL以下
1日200mL 以下という基準はない。 - 400mL以下
1日400mL以下は乏尿の基準である。 - 600mL以下
1日600mL 以下という基準はない。
無尿と乏尿の基準は頻出である。
Q.16
ショックはどれか。(第103回追試)
①顔面が蒼白になる。
②皮膚温が低下する。
③心拍数が増加する。
④血圧が維持されない。
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正解:4
- 顔面が蒼白になる。
ショックの典型症状の1つに顔面蒼白があるが、敗血症性ショックでは顔面紅潮がみられることがある。 - 皮膚温が低下する。
循環血液減少性ショック・心外閉塞/拘束性ショック・心原性ショックでは皮膚温が低下しやすいが、敗血症性ショックのように皮膚温が上昇したり、アナフィラキシーショックや神経原性ショックのように皮膚温が変化しないショックもある。 - 心拍数が増加する。
心外閉塞/拘束性ショックや神経原性ショックでは、心拍数が低下することがあり、すべてのショックで心拍数が増加するとはいえない。 - 血圧が維持されない。
血液が全身に供給されない状態では血圧が維持されず低下する。
何らかの原因で血液が全身に供給されなくなり、細胞が低酸素状態に陥り機能不全となるのがショックである。ショックは原因により分類があるが、ここでは共通してみられる症状が問われている。
Q.17
サーカディアンリズムの周期はどれか。(第95回)
①90分
②12時間
③24時間
④28日
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正解:3
- 90分
90分ではない。 - 12時間
12時間ではない。 - 24時間
24時間が正しい。 - 28日
28日ではない。
サーカディアンリズムは概日リズムともいい、生命活動において約24時間周期の自己発振性のリズムを持つことである。海外旅行時の時差ぼけはサーカディアンリズムの乱れである。
Q.18
脂質1gが体内で代謝されたときに生じるエネルギー量はどれか。(第98回)
①4kcal
②9kcal
③14kcal
④19kcal
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正解:2
- 4kcal
4kcalは炭水化物・蛋白質のアトウォーター指数である。 - 9kcal
9kcalは脂質のアトウォーター指数で、正しい。 - 14kcal
14kcalというアトウォーター指数はない。 - 19kcal
19kcalというアトウォーター指数はない。
摂取エネルギーを求めるために必須の知識である。アトウォーター指数は消化吸収率を考慮した指数で、生理的燃焼値ともいう。つまり炭水化物、脂質、蛋白質をそれぞれ1g摂取したときに吸収された栄養素が燃焼して発生するエネルギーのことである。
Q.19
飲酒に起因する健康障害はどれか。(第102回)
①肝硬変
②膠原病
③Ménière〈メニエール〉病
④Parkinson〈パーキンソン〉病
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正解:1
- 肝硬変
多量の飲酒により、脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変と肝機能障害が進行していく。 - 膠原病
膠原病は全身の臓器において非特異的にフィブリノイド変性が生じる自己免疫疾患である。自己免疫疾患の発症には多くの遺伝子が関与していることがわかっているが、原因は明らかになっておらず、飲酒が起因しているとはいえない。 - Ménière〈メニエール〉病
メニエール病の原因としてストレス・ウイルス・アレルギーなどさまざまな説があるが明らかにはなっていない。既往歴のある人はふたたび発作を起こさないように飲酒やカフェインなどの刺激物を避けたほうがよいが、原因であるとまではいえない。 - Parkinson〈パーキンソン〉病
パーキンソン病は中脳の黒質・青斑核などの神経細胞の減少による線条体におけるドパミン不足によって起こる。ドパミン不足が生じる原因として、加齢による変化や遺伝子の関与が推測されているが明らかになっていない。飲酒が起因しているとはいえない。
飲酒はさまざまな身体疾患の原因になるのみならず、さまざまな社会問題の原因にもなっている。飲酒が及ぼす影響について整理しておこう。
Q.20
運動習慣が身体機能に与える影響で正しいのはどれか。(第105回)
①筋肉量の減少
②体脂肪率の増加
③最大換気量の減少
④基礎代謝量の増加
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正解:4
- 筋肉量の減少
運動によって筋肉量は維持でき、あるいは増大する。 - 体脂肪率の増加
身体に占める脂肪の割合を体脂肪率という。体脂肪は余ったエネルギーが脂肪細胞になったもので、主に中性脂肪である。運動によってエネルギーが必要になると蓄えられた中性脂肪を消費することによって体脂肪率は低下する。 - 最大換気量の減少
運動によって呼吸筋や呼吸補助筋が増大し、最大換気量が増加する可能性がある。 - 基礎代謝量の増加
基礎代謝量を臓器別にすると、筋肉・肝臓・脳がおよそ2割ずつを消費しており、筋肉の少ない人は基礎代謝量が低くなる。よって、運動習慣が身体機能に与える影響として基礎代謝量の増加は正しい。
健康日本21(第二次)では運動は生活習慣病の予防、社会生活機能の維持と向上、生活の質の向上の点で重要であるとしている。